すげーマンガに出会った。
表紙絵だけ見ても、あんまりヤバさ・すごさの類が伝わらないと思う。
でも、それがかえってヤバいんですよ…。
ヤバさを出す人と、安定した人が組んだ証拠になっていて、なおさらヤバいのです。
理想的な意味で原作と作画が足りないところを補い合ってる作品
表紙絵にインパクトを感じないのは良くも悪くも安定しているからだ。
よくある萌え絵というか、よくできた萌え絵というか…いい意味でも悪い意味でも無難な印象を受けてしまう。
…これは作画担当のさがら梨々さんがそれなりにライトノベルの挿絵や、商用のマンガ、同人活動と手広くこなしている作家さんなのに、ウィキペディアの記事もできず、イマイチ知名度が上がらない。…そういう作家さんだからだ。
作者ツイッター:さがら梨々@ソウナンですか?1巻8/4 (@sagarariri) | Twitter
作者ブログ:さがらいせ日記
Wikipediaの記事がないから「新人さんかな?」と思って、ブログやAmazonで携わった作品を確認したら、意外と多くの仕事の実績を持っていて
「なんでこの人のWikipediaないだよ」
「この人もこの人で、仕事の一覧をまとめた記事がないんだよ」
と、驚いた。
良く言えば「安定して色んな仕事をこなせる実力者」で、悪く言えば「地味で、広く知られたヒット作がない」というイラストレーターさん。
でも、安定感を持った人は、いい原作者さんに、『絵が書けないけど、ストーリーや知識に秀でた人』と組むと、読者を引き込んでいく。
その原作者が「岡本健太郎」さんというから、それはもうすごいのだ。
岡本健太郎さんと聞いてもピンとこない人は「山賊ダイアリー」と聞けば、思い出すかもしれない。
山賊ダイアリーシリーズは猟師として活動している作者が、自信が動物を狩ったり、猟師として体験したことをマンガ化した作品。
様々な専門知識や、生々しくも考えさせられる実体験が綴られた名作。
かくいう私も単行本買って、毎回毎回楽しみにしていた作品でね…。
でも、このマンガを読んだ大半の人はこうも思う。
「絵が下手だなぁ」
「上達はしているけど、下手…優しく言ってもヘタウマで本人の味だと割り切って楽しまないと耐えられないような画力だ…」
だから、岡本健太郎本人が作画する山賊ダイアリーには、若い女の子はほぼ出てこない。そして、出てきても一切萌える要素がない。
だから、マンガ自体は面白いけど、狩猟という男好みなテーマと、イラストが全然かわいくないこともあって、ヒットこそしてるけど「人を選ぶマンガ」になっていた。
そのため、岡本健太郎さんにとっても、「安定した画力があって、サバイバルや狩りに興味を持ちにくい層でも読みたくなるマンガが描ける作者と組みたい」という状況だった。
このマンガはそのタッグが叶ってできたのはこの作品。
最初は岡本健太郎のブランドイメージで手に取る人がいっぱいいると思う。
でも、手に取ったら、岡本健太郎さんの画力ではできなかった(逆にさがら梨々さんだけでもできなかった)タッグだからこそできる大技が次々と繰り出されるから、このマンガはヤバい!!
…いや、ヤバいことしているはずなのに、それには理にかなった言い訳や無駄に詳しいサバイバル知識が付随されて正当化されてるから、すごいのだ!!
マンガの概要(あらすじと魅力)
女子高生4人が、飛行機の墜落事故で、海の上に漂流します。
その中に遭難のプロ(?)が一名混じってて
その、遭難のプロがムダ知識を提供しながら、羞恥心もへったくれもなくサバイバル術を繰り出す。
…イカれてるぜ(褒め言葉)
一回じゃないんだぜ。もう一丁だ!!
単行本ならではのこんな謎解説も
まとめるとこうだ
ガチの猟師と!安定した萌え絵師が組んだ結果、
エロいシーンやお色気シーンが、全部サバイバルを理由に正当化されてしまって、やりたい放題で萌え萌えなマンガができあがってしまった!
しかも、殆どの人はサバイバル術や、アウトドア雑学を目当てに買うことを想定しているため、終わってみると、萌えよりも雑学が残るという不思議な後味。
そんな不思議な感覚を楽しめるのは「ソウナンですか?」だけ!!
僕は遭難のプロこと「鬼島ほまれ」ちゃんみたいなキャラ大好きなので、長期連載してほしいです。
媚びてくる女の子よりもむしろ、サバサバしてるからこそ躊躇なかったり、よくマンガを読むと女の子らしいところがあったりする子、好きです。
女の子らしさって全面に出なくていいんです。
ムードがないと出せないぐらい、あるいはふと出るぐらいがちょうどいいんです。
そういう子が出て来るマンガは読んでて、すぅーっと入ってくる。