ブロガーからアフィリエイターを目指す人が増えた理由

 

読んだ。

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『優秀な人ならば、同人や電子書籍、クリエイター支援サービスを通じて自分で稼いだ方が出版社に出すよりも効率がいい』というご指摘なのだが…これ、ブロガーの世界にもすごく当てはまるお話。

…と言うのも、ブロガーも…3年前ぐらいまでは有名な人は書籍化してたし、書籍化を目指す人も多かった。
日野瑛一郎さんとか、熊代亨さんとかね。

しかし、ここ2015年で有名になった人…やぎろぐくんとか、ヒトデ祭りに代表されるようなブロガーは「書籍よりもアフィリエイト」「Webサロンや、VALUを通じた資金調達」に走る人が増えた。

この事自体を頭ごなしに否定する人が多いけど…お金のことだけを考えるなら

「まぁ、そうだよね」

と思う。

文化的な面白さがゴールにならなくなったインターネット物書きマンの世界

僕は、かろうじて『ブロガーはライターデビュー、書籍化できて一人前』という世代だから、僕自身のスタンスは

「好きなことをブログで広めながら、そこそこの副収入と文化の発展を!」
「オタクこそ、自分のスキルがある程度できたら、ブログ書いて、趣味を広めろ!」

と言う立場ではある。

できるだけ文化を取り上げることを目指しているし、その資質があるブロガーさんを応援している。
逆にそれがない人と話していても

「単純にお金儲けしたいなら、ブログは効率悪いからやめておいたほうがいいよ」
「せどりでも、株でも、Webサービスやアプリ作るのでも、もっとお金になることすれば?」
と言うようにしている。

でも、合理的にビジネスライクに、サイト運営を考えるなら

「単価/レートの高いところに寄せながら、若者ぶった、女子ぶったサイトを更新していくのはセオリーであり、それが低俗で書籍にも文化にもならなくても儲かるサイトとして作っていく、儲かった成果をアピールしながらスター街道を登っていくのが合理的なんだろうなぁ~」

とも思う。

もちろん、趣味としては好きになれない。

でも、自分がサイトを運営しているからこそ、それはそれで難しさがあるし、努力が必要なことはわかるからバカにできない。

サイトのアクセスやお金儲けをバカにする人は、自分でサイトを運営したことない人か、インターネットだから何でもかんでも好き勝手に書いている人か、頭の中で完結している頭でっかちのどれかだから、若いアフィリエイター寄りのブロガーさんは、罵倒なんか気にしないで頑張って欲しい。

…誰が悪いかというと、彼らだけが悪いんじゃない。

敵を作ってしまうような態度とか、振る舞いをしたことについては「若いアフィリエイター達が未熟で、思慮が足りないから悪い」と思うよ?

でもさ…一番悪いのは「作家/ライターとしてのゴール」を用意できなかった出版社や、メディアの皆さんだからね?
あるいは、ちゃんと面白いサイトを取り上げてこなかったGoogleや、面白いサイトをブックマーク/シェア/拡散してこなかったネット民だからな?

正直、AmazonとNetflix以外…つまり、日本国内に限って言えば、「みんながちょっとづつ悪い」んだよ…。

合成の誤謬と言ってもいいし、市場の失敗と言ってもいいけど…合理的な選択をした結果として面白い人が勝ち上がるシステムを作ってこられなかった全員の失敗だからな?

Amazonにかろうじて救いがあるのは、Kindleのレートが高いこと

さっき「AmazonとNetflixは悪くない」という言い方をしたけど、これには理由がある。

まず、NetflixやAmazonは、いい映像作品を作れる人にちゃんとお金を出していること。

Netflixについて:「一般アニメの製作費の数十倍」はホント? Netflixはアニメ制作会社にとっての“黒船”になるのか 担当者に聞いた (1/2) – ねとらぼ

Amazonについて:吉本はなぜNetflix、Amazonと組んだのか——大﨑洋吉本興業社長が語った9000字 | BUSINESS INSIDER JAPAN

「吉本が作る番組が面白いかどうか」は別としても、テレビにがんじがらめにされてできなかったことを、ネットの中で色々やってる。
もちろん、Amazonにもクレームは来るし、下品さ故に評価されないこともあるけど、番組自体が簡単に消えることはなく、むしろ人気があった番組はブラッシュアップしながら作り続けられている。

雇用を作り、しかもクレームに屈しない番組作りをできているという意味では、日本国内ではAbemaTVにも素晴らしいと感じる所はある。
だが、Abemaはまだ低俗推しなところがあるから…誰も彼もが利用できるようなところまで行くかと言われたら…微妙なところ。(頑張って欲しいとは思うけど、微妙。)

映像を作るチャンスが広がるということは、芸人だけではなく、絵を描く人・文章を書く人にもチャンスは広がることになるから、NetflixやAmazonは長い目で見るとすごくいいことをしているし、Abemaにもそのポテンシャルがあるから、ぜひ頑張って欲しい。

しかし、これはあくまでも間接的な影響だから…今、直近で影響があるのは、AmazonのKindleの存在だと思う。

AmazonはAmazonアソシエイトの成果報酬の中でも、Kindleをすごく優遇している。
これは、オタク気質なブロガーにとってはすごいありがたい話で、Kindleの高レートを利用して好きなマンガを紹介する方に舵を切ることで、文化的・オタク的な面白さを維持しながら、副収入を立てやすくなってる。

紙の本しかない頃だったり、Kindleの普及がイマイチな時期には、オタク的なものを紹介するブログは損だった。
しかし、マンガや書籍に限って言うと、文化的なモノを紹介しながらお金を稼げる状況を作ってくれたことで「好きなことで生きていく」がやりやすい状況になった。

加えて、アマゾンプライムやKindleアンリミテッドの紹介料も優遇されているから、オタク文化全般に対して、文化的なところと、収入面(継続性)のバランスが取れるようになった。

さらに、Kindle本が気軽に出せるようになったのも中々ありがたい話だけど…ここについては、専門外だから割愛。

日本国内でDLsite.comという同人の電子データをたくさん扱っているサイトにもそういう側面はあるんだが…どうしても、オタクだけが利用するサイトになっているし、作品数がいまいちだから、

「なんとか、ユーザー層が広がるか、いい意味でプラットフォームになってくれるかしてくれないかな?」

と期待しているけど…悩ましい所。

そして、アフィリエイトプログラム…特にAmazonは仕組みを作るだけ作って、コンテンツにあまり口を出してこない所も素晴らしい!
だから、好きなものを比較的自由に紹介したらいいので、人間関係にも、手続きにも消耗しなくて済むのがありがたい!!仕組みと記事を作ることに集中できることがとても助かる。

実は、ライター業・商業作品の方が運ゲー要素が高い

…これ、自分もライターやPRの仕事・お願いが回ってきたことあるから言うけど…大したカネも出さんくせに、作るもんを制約されるわ、コミュニケーションコストが高いわ、場合によってはプロジェクトそのものに無理があるわで…しんどいんよ。

いいチームに入れたら、いい担当者に恵まれたらコミュニケーション自体が楽しいことはたくさんあるから、ブロガーの人は一度はライターの仕事やPRの現場を見たほうがいいと思うよ?

でも、続けていく・お金が儲かるようになるまでに不確定要素が多すぎる。
人間関係、プロジェクト、単価、継続性、自由度、裁量、コンプライアンス…色んな壁がありすぎる。

自分ではどうすることもできないことが多すぎるし、そこの責任やしわ寄せが多すぎる。

それなら、一人でブログ作って、単価と自由度の高いアフィリエイトをやる方が合理的なのかな…って思うし、僕と同じことを考えているような若者が増えた結果として、僕なんかよりも強くアフィリエイトに寄せたサイトが増えたように見受けられる。

ASPはともかく、AmazonやGoogleや支援サービスは口うるさくないし、自分のがんばり次第では単価だって上げられるし…。

よく「アフィリエイトなんて、長く続かない」批判する人がいるけど、それはライターやPRの案件も一緒。
で、アフィリエイトは選ぶものを選べば、面白さと儲けの両輪駆動で動ける自発性があるけど…ライターやPRは元請け依存の運ゲー。

運ゲーに勝てばいいし、運に左右されないタフネスがあればそれでもいいかもしれない。

でも、運と強さと根気がないと、商業媒体で、自分の好きなように作品が作れない・単価を上げていけない状況を知ってるだけに、アフィリエイトに寄せていく人・文化的な要素を捨ててしまう人のことを僕には責められないんだよ…。

ブロガーの書いたノウハウ本の中で俺が一番しっくり来たのはこの本かな…スタンスが近いというか、経験したら直面することがよく書いてある

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