2022年の参議院選挙が、ネットで政治情勢を見る人にはかなり面白い件について

マスコミ的には
「政権交代選挙じゃないし、岸田政権の支持率も高いからあんまり面白くない選挙でしょ?」
という空気が流れているのですが…とんでもない!

むしろ、史上最大に面白い参議院選挙が今回の選挙と言っていい!…かもしれない。

 

とにかく、右と左がバチバチにぶつかるから面白い

インターネットで政治情勢をチェックする人と、実態の政治情勢よりも「個人の好き嫌い」「イデオロギー色」が出やすい。

一般的に参議院選挙では、「ドント方式」と呼ばれる「組織票の大きさが党内の順位を左右する」方式なので、【組織票の大きさが明確にわかる】という衆議院よりも出てそれを投開票後に解析するのが面白いのです。

「もう平成も終わろうというのに、郵便局の組織票は強いなぁ」
「国民新党は新進気鋭なイメージとは裏腹に、すごく労働組合が強いんだなぁ」
みたいな、組織票を候補者発表・投開票後に考察することで、【日本の政治は誰が牛耳ってるのか】が見えてくる面白さが参議院選挙にはある。

 

でも、インターネットは
「You Tubeやネット掲示板(まとめサイト)は保守派右翼が強い」
「逆にツイッターのハッシュタグ、はてなブックマークではリベラル・左翼が強い」
みたいなイデオロギーの対立が、サイトやそのサイトの使い方で如実に現れる。

そのため、イデオロギー性が強い人気の議員は、出馬の段階でもう話題になっているのだ。

 

比例名簿の時点で、自民と民主が全然違いすぎて面白い!

そもそも、今回は与党第一党の自民党と、野党第一党の立憲民主党は、比例名簿の時点で、もうバチバチなのだ。

 

何がどうバチバチなのかというと、
「比例名簿はあいうえお順だから、こちらが特別操作をしない限り、あいうえお順に議員が表示される。」
「そして、自民のあいうえお順が一番早い議員が【青山繁晴】(2番目がマンガ家から出馬という【赤松健】)なのに対し、立憲民主党であいうえお順の1番目が【青木愛】氏で、2番目に表示される議員が【有田芳生】というところ」
がもうバチバチなんです。

まず、青山繁晴さんは保守派に人気の高い議員さんでもあり、議員になる前からコメンテーターとして関西のローカル番組に出ていたときから保守系の人からはすごく人気が高くて、国家観や安全保障の話をガッツリ話すタイプの政治家さんです。(元々の知名度が高いため、You Tubeにも根強いファンがいる方です)

赤松健さんは、週刊少年マガジンで連載していたマンガ家としても有名ですが、実は議員になる前からオタク文化の規制に立ち向かうロビィストとして有名な方です。

偶然にも、あいうえお順の名簿なのに、
「ネットでは人気だけど、あまりマスコミ報道には出てこないタイプの政治家」
がピックアップされる不思議な形になっています。

 

一方、立憲民主党は全く別の意味で「立憲民主党らしい」お二人が名簿の上に来ています。

青木愛さんは、小沢一郎さんと20年以上も行動をともにし続けてきた筋金入りの小沢チルドレンです。
どのぐらい筋金入りかというと、本人が政治家を志した時から小沢一郎さんと一緒の政党に所属し、青木さんが落選すると小沢さんも秘書として雇い入れたり資金援助したり、さらに10年前には小沢さんとの間に不倫報道までされる…というぐらい小沢さん一筋な議員さんです。(高学歴でタレントにも政治家にもなったすごく才能のある方でもあるんですけどね…。)

 

そして、有田芳生さんは…筋金入りの左派として有名な方です。
共産党員の両親の影響もあって、高校生で共産党に入党するほどだったのですが…ジャーナリスト時代に共産党から除名処分になっています。

左の人の中でも特に有名な理由は、オウム事件を取材したジャーナリストとして30年ぐらい前から有名だったことに加え、韓国関係や外国人参政権のデモや、でいざこざが絶えなかったり、…とすごい話がWikipediaにさえ山ほど載ってる方だから。(さらに、安全保障や個人の発言などもすごくて、Wikipediaが一議員のものとしては異例の長さになっている。)

青山繁晴さんとは全く逆のベクトルで「好きな人は好きだろうけど、嫌いな人は大嫌い」を地で行くタイプの政治家。

 

今回は、立憲民主党の現職候補がかなりクセが強い

もう青木愛さん・有田芳生さんの話だけでも、「Tボーンステーキ」ぐらいのボリュームがありそうだが…今回立民の候補は全体的にクセが強い。

現職の方だけでも

小西ひろゆき…話題に事欠かないお騒がせ議員。特に安倍政権のときには国会でクイズ形式の質問をしたり、過激な発言を国会やツイッターでしまくったことで一躍有名人になる。

白眞勲…帰化人の議員で、20年近く前から外国人参政権の付与を目指して活動してる議員。

蓮舫…民進党の代表まで務めた大物議員。ツイッターではよく炎上してる。

福山哲郎…立憲民主党の元幹事長。定期的に批判される懸案を起こしているが、最近では「ネットメディアに対して1500万円の資金提供をした」ことで話題になった。

と、ネットで好き嫌いの分かれそうな議員さんが立候補するため…かなり濃ゆい。
良くもわるくも立民・民進党の幹部経験者や、野党ならではの議員がそろってるから、彼らが受かるかどうかは、ネット的なイデオロギー色の強い政治ウォッチャーにはすごく楽しい選挙と言えるだろう。

 

右も右で…クセ強い候補が多いんだよなぁ…今回。

自民党にもキナ臭い議員や時代錯誤な議員はいますよ?
でも、自民党の場合、本当に人前で出せないタイプ人はSNSで発信するような人ではなく、組織票や地元べったりなタイプなので…今回の選挙だとネタは弱めです。(いないわけではないんですよ?)

 

逆に、ここ10年ぐらい「自民党よりも右翼な政党」は、党の存在自体がネタのように扱われる(か、マスコミから相手にされない)ため、むしろそちらの方がネタが強めです。

 

まず、ここ数年何度か選挙に出ている「日本第一党」。
元在特会の桜井誠氏が率いる政治団体で、今回の選挙でも候補を10人も送り込んでいる。
政策的には、元々が「在日特権を許さない市民の会」と名乗ってただけあって、外国人関係の権利に厳しい。
さらに、自民党でも言い出さない「国防費にGDP比3%」というかなり力技な政策を掲げてます。

 

さらに、参政党という陰謀論に片足突っ込んでしまっている政党が、今回の国政には出てまして…ここが非常に濃ゆい!
メンバーがどうとか、政策がどうとかというよりも、「ネットで見かける都市伝説」みたいなことを真面目に語る候補が政党の幹部なのが、けっこう心配。
ここでいう心配は「議席を取った後が心配」というより、「ネットでの面白い話と、一般層が安心して投票できる・政治に関心が薄い人にアレルギー反応を起こさない言い回しは別物なので、目線を合わせて相手に伝わるように選挙活動ができるかどうかが心配」という意味での心配です。

 

ここ10年、自民党でも抱えきれないほどの右翼な候補者は小さい政党を作って国政選挙で戦うことが増えていて、今回の参議院選挙はその中でも大規模な行動を起こしているのですが…成功例がないんですよね。
元々大物だった議員が自分の議席を取るだけになるケースが少しあるだけで、選挙全体の流れとしてはクセが強すぎて落選しがち。

ネットのゴシップなど、一部の人にだけウケる話で一般層がアレルギー反応を起こすことが多くてですね…
「一般人にもわかりやすく話す」
「危ないイメージではなく、信用できるやり方や言葉を選べるかどうか」
というところで、右派系の新政党は失敗しがちです。

主張のありなし以前に色物の域を出ない方が多すぎて、
「右派のクセの強い候補を語ろうとすると、自民でさえ扱いに困る議員・政党」
の話になりがちなんですよね…。

自民がクリーンとかじゃなくて、色物候補がすごすぎて。

でも、ネットでの最大の関心事は「表現問題」だったりする。

今回の選挙直前にいわゆる「AV新法」と言われる、アダルトビデオにまつわる新しい規制法ができたことで、
「表現の自由はどうなってるんだ!」
と、オタクだけではなく、現役のAV女優や、かつて名を馳せた製作者までもが政治的な発言をするようになった状態で選挙に突入した。

 

そのため、【表現の自由を規制緩和してくれるような議員さんを選ぼう】という一大ムーブメントが加熱。

 

でも、そもそもの火種は、2019年の選挙で、山田太郎という議員が、
「オタクを中心に票を集め、自民党内で2位・全候補者中3位の票を獲得する」
という、珍事件が発生したこと。

そうなんです。
参議院選挙は、個人名を書くと、応援している候補がその政党の中で優先的に当選しやすい仕組みになっていて、山田太郎さんは、その仕組みを活用して【オタク文化に力を入れてると、こんなに票を獲得できるぞ】【つまり、民意として関心が高いから、オタク文化の問題にはちゃんと取り組まないとダメだぞ】とやったわけです。

この2019年の流れを受け、各党がこぞって【表現問題に取り組む議員】を擁立しました

 

そのため、自民党からはマンガ家でもありロビィストとしても活動してきた赤松健さんが立候補。
現職として藤末健三さんも表現問題に明るい議員として評価が高い。

立憲民主党も、表現問題に20年以上取り組んできた要友紀子さんと、
都議会でアニメ・ゲームの規制に抵抗してきた栗下善行さんを擁立。

さらに、維新でも現職で石井苗子さん、元議員の松浦大悟さんらが表現問題に明るい議員です。

他にもれいわ新選組にも代表の山本太郎が表現に理解があったり、過去に規制を食い止めた実績のある大島九州男元議員、辻恵元議員がいたりと、表現の自由を重んじる人たちにとっては…素晴らしい実績を持った人がいます。

 

参考にした記事とツイート

2022年参議院選挙、表現規制反対派と規制推進派の候補一覧まとめ

刑法175条問題への対応を表明した表現の自由を守る候補者一覧(2022年夏 参院選)

大銀醸🗻SSS ミリ10th SSA on Twitter
“「表現の自由を重視している候補予定者って誰がいるの? 政党や他の政策も重視したいんだけど?」という方に向けて、個人的に政策をまとめました。実績を調べるの、結構大変。ですが、それぞれの得意分野がわかってきたように思います。ぜひ、参考にしてみてください!#表現の自由を守る参院選2022”

 

さぁ、盛り上がってまいりましたよ!

せっかくなので、最後にこんなのも、載せておきましょう。

 

「表現問題に取り組む議員を持ち上げると、言われそうなこと」への答え

ぶっちゃけ、「1年生議員」が増えたところでどうにもならないのでは?
有権者次第です。
全員、元議員、地方議員またはロビィストとしての活動実績がある方ばかりなので、議員の力量よりもむしろ、有権者が「発言力がある立場」を票の力でサポートできるかどうかが大きいです。
山田太郎さんが獲得したオタク票は50万票程度。それが分散したらかえって良くないのでは?
多様化することで多くの人を巻き込むことができます。
「表現は守りたいけど、政党の好き嫌いがある」
「比例代表に個人名を書くのが、こんな重要なことだと知らなかった」
「個人名とか比例代表とか以前に、そもそも選挙に行くのがこんな重要だと知らんかった」
という人が合流することで、50万票だけではない…はず。

※ただし、全員が党内トップ当選するなら300万票ぐらいはほしい。全国のオタクがんばれ!

立憲民主党にはAV規制どころかAV禁止法まで考えるヤバい議員がたくさんいて、支持者も要友紀子・栗下善行の取り下げを要望している。本当に投票しても大丈夫?
だから、党内でバチバチに戦ってもらいましょう
過激な人ばかりが集まる政党を排除するよりかは、法案や国会審議になる前に、党内の議論で「表現を規制するなんてとんでもない」と止めたり、規制緩和を呼びかける人を各党に当選させる方が楽だし、現実的です。(社民党だけは、政党そのものが消滅しそうですけどね…)
ただの絵や、ビデオに、なんで大の大人が必死になるの?他に優先するべきことはないの?
絵でも、ビデオでも、大の大人が生活をかけて作ってます。
見る方も、それが最大の楽しみになっている人が世の中にたくさんいます。
「オタク文化やエンタメは子どもの娯楽(だから、大人が取り上げてもいい)」
というのは、昭和アニメで認識が止まってるか、PTAに染まりすぎた人の考えです。
オタク文化もエンタメも一大産業になったからこそ、関心が高まってるのです
オタクの上にネットで政治の話するなんてヤバいやつじゃん…。関わりたくない。
本来、オタクは政治や社会に関心が低い人種やぞ!
関心が低いのをいいことに、テレビで好き勝手にバッシングや嘲笑されたり、政治・教育・ジェンダーからオタク文化やエンタメを悪者扱いする人が増えすぎた結果、
「これ、選挙行って、この問題に精通する人にバシッと言ってもらわないとダメだわ!」
という状態に数十年かけてなったから、政治の話するようになったんやぞ。

むしろ、遅かったぐらいだよ…。

 

 

Q、結局この記事で言いたいことって何?
A、とりあえず、選挙行こう。

ヤバい議員が多い理由の1つは
『選挙に行かない人が多すぎて、(業界票・活動家票などの)組織票で当選することが多すぎること』
ですので、まともな政治をしてほしかったら選挙に行きましょう。

できれば、エンタメとして候補者やネットの政治談義を楽しめるぐらいの知識。
あるいは、「自分のやってほしいことに取り組んでくれる議員」を見つけられると、より素晴らしいです。

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