マンガ「姉なるもの」は(読者が、怪物が、主人公が)何かに目覚める物語です

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今回紹介するマンガは「姉なるもの」。

…Webでサンプルを読んだ時点で「行ける」と思った。

そう思ったのは僕だけじゃなかったらしく、注文したAmazonで再入荷中。
おかげで10日も待ちぼうけを食らって、すっかり話題になってから紹介する羽目に…。

でも、「待ってよかった」と思える俺好みの姉萌えで、おねショタな作品。

…いや、少し違うか。

この作品の帯は「だがしかし」の作者:コトヤマさんが帯を書いているのだけど、その帯の内容がすごく適切なので、ご紹介。

「姉がほしいのか、

姉になりたいのか、

『姉なるもの』は姉という概念と向き合う物語ですね。」

(姉なるもの1巻帯より)

そうそう、単純なおねショタで終わらないんだよね。

でも、この楽しみ方を説明するには、この作品がどのように展開されているかを語っておくべきだね…。

 

 元々はオリジナル同人誌だが…今は連載も同人誌も同時展開中

Amazonでもツイッターでも「飯田ぽち。」という商業用名義ではなく、「ぽち」という探してもらうと作者の大人向け用の名義が出てくる。

そして、Amazonだとこの作品の大人向けバージョンも出てくるようになる。

大人向けバージョンの内容は伊東ライフみたいに

「年上お姉さんが、ショタの体調とか健康とかを管理する」

という王道のおねショタ作品。

作者の画力自体が全体的に高い。

画力もさることながらトロ顔や断面図の画力・演出が商業誌の中でも出てくるのがおもしろい。

ただし、商業誌ではそれを女の子でやると問題になるから「ショタがトロ顔」をしたり、断面図も「耳の断面図」が出てくる。

姉なるものの公式アカウントから少し引用させてもらおう。

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姉なるもの on Twitter
商業用の…つまり、 公式の姉なるものでは「ショタをかわいく」描いているシーンがちらほら存在する。

作者が同時展開している「大人向けのエッセンス」を活用しつつ、ルール上セーフになるところを模索している感じがして面白い。

また、商業用の制限がある状態が、作品に違う意味をもたせているところがいい。

「女の子に徹底的に甘やかされたい」と思って読み始めたら、読み終わってみると「男の子を甘やかす側に回りたい」という気持ちになってるかもしれない。…そういう描写も多くあるから、単純な姉萌え作品よりもう一歩踏み込んだモノが読めるかも。

さらに、公式では精一杯萌え萌えなことができない分、ヒロインに持たせている設定や主人公の魅力を引き出す方向性に作品をシフトさせていっているのも面白い。

ちなみに、ヒロインはクトゥルフ神話上のとある女神。(1話で名乗ってる名前を検索すると神様の名前が出てきますが、作中で細かく説明してないからここでは秘密。

そのため、この作品のキャッチコピーは「クトゥルフ系ホームドラマ」という怖いのか怖くないのかよくわかんない名前になってる。

クトゥルフの神様なので、万能ではあるんだけど、ちょいちょいドジっ子みたいなところがあって、そこに時々背筋が凍るようなモノとドジっ子のかわいさがまざった不思議な感情が湧いてくるところがこのマンガ独特の感情。

これも公式アカウントから少し引用しよう。

例えば、人間に人間をご馳走しようとしたり…

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姉なるもの on Twitter
人の顔の区別がつかなかったり

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姉なるもの on Twitter 
そのため、姉萌え作品でありながら萌え萌えな作品で終わらず、設定に踏み込んでいくことや何度も読んで面白く感じるようなユニークな部分を追求されていて深みがある。

また、公式・非公式の両方を読むと作品が「萌え萌えな方」と「萌え以外の意味をきちっともたせた方」でそれぞれに演出や見せ方や重視している価値観が違ってきて楽しいから、ぜひとも両方見て欲しい。

 しかも、Twitterで無料公開という大盤振る舞い!!

さっきから、公式アカウントからマンガの1ページを引用しているわけだが…これは、本当に公式アカウントがやっていること。

しかも、それをTogetterでまとめられている。

第一話  「姉なるもの」 第一夜まとめ – Togetterまとめ

一話以外 姉なるものに関連する7件のまとめ – Togetterまとめ

ちなみに、雑誌との同時進行での公開だからファンから心配されていて、ファンに対して回答している一場面も。

ただ、ブログでいろいろな漫画を紹介している身としては「この戦略はもっと浸透して欲しい」と感じてる。

そして、今後このモデルが浸透するであろうぐらい成功している…と思う。

というのもマイナーな雑誌に掲載されている作品の場合、作者も雑誌の公式アカウントもフォロワー数がほとんどいない。

また、コンビニなどにも置かれていないため、単行本を持ってるファンでさえ新刊の情報を逃してしまう(いつの間にか出てた)ケースがザラにある。

だから、「発信力のあるアカウント・プラットフォームを作る」というのが知られていないマンガ、マイナーなマンガ雑誌に連載している作品には重要な問題となる

その辺の問題をうまく解決していて、姉なるものの公式アカウントは2万人のフォロワーがいる。これは、マンガの公式アカウントとしてはかなり多い。マンガ家本人の公式アカウントよりも多い。(大人向けの方では5万人フォロワーがいるけど…

Twitterでのマンガ公開は諸刃の剣だが、作者の実力が伴っていれば結果が伴うときにはこれだけの結果を出す。

ただ…「フォロワーと売上が直結しているか」は少し心配なところでもある。

実際、姉なるものの公式アカウントも、多少単行本が売れるか、元が取れるかは心配なったファンに、こんなお願いをしてる。

本当にそうです。

十分にヒットしたコンテンツを、作者が急にお金の奴隷解放宣言。 とか言いだすのとはワケが違う。

本物のロックンロール!!

作品からしてロックだよ?クトゥルフホームドラマって文字列がもうゾクゾクする。

それを単行本すら発売される前から、ほとんど捨て身でマンガを公開している。常識を突き破っていくロックンロールな挑戦!

しかも、同人誌も同作品を別方向で取り上げていく。グレーなところに自分から踏み込んでいくなんて…やっぱロックだよ!!

こういう面白いことをやってる人を応援したくて、あるいは人より先に見つけたくて、ブログでマンガ紹介している。

だから、姉なるものを読み、その関連の話題を探しながら、ずっと興奮しっぱなし。

色んな意味で、下腹がゾクゾクしっぱなし!!

いいマンガに出会った!!

ロックな試みだから、是非応援したい。
「他の作者もやれ」なんて口で言うよりも、とにかくチャレンジして無料で開放している人に成功していただいて、どんどん他の人も「じゃあ公開しよう」ってなってもらいたいし、そうなるための応援をしていきたいものです。

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