
今年も見てきました。
劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』公式サイト
・あらすじ
毛利小五郎が、百人一首の団体「皐月会」の会長と対談をすることになり、一行は大阪のテレビ局へ。
そこに、服部平次・遠山和葉の所属する開放高校のカルタ部員:枚本未来子がテレビに出る関係で、和葉や平次とも一緒になる。
ところが、そのテレビ局が爆破される。
コナン・服部は事件の捜査へ、遠山和葉は爆破事件で負傷したカルタ部員の代わりにカルタ大会に出るように頼まれて思い悩む。
そこに、未来子とライバルで、なおかつ服部平次とも因縁のある大岡紅葉が出てきて、和葉を煽り立て、その成り行きでカルタ大会で勝ったほうが服部平次に告白する権利を奪い合うため、カルタ大会の特訓を始める。
・備考:久しぶりに、いつもとは違う脚本家
昔からのコナン映画の多くは古内一成さんという方が手がけていたが、この方が高齢で(今はお亡くなりになって)手がけなくなってしまった今は、櫻井武晴さんという人が担当することが多い。
でも、今回は大倉崇裕さんというミステリー作家が脚本を手がけている。
ちなみに、シナリオライターではなく、ミステリー作家側にかなりウェイトを置いている作家さんがコナンを手がけたのはベイカー街の亡霊以来。*1
作家さんならではのネタの細かさ、2回3回見たくなる凝った感じが出ているので、ぜひとも「いつもと違う感じ」を楽しんでほしい。
…いや、「いつもとは違う」けど、むしろ作品としては原点回帰してるのか…。
本来の、コナンはラブコメです。推理とアクションがおまけです。
再確認の意味も込めて言わせてもらうけど 、コナンはラブコメです。
特にコナンの映画は、初期のものほど面白いものほどラブコメです。
時計じかけの摩天楼、瞳の中の暗殺者、14番目の標的、世紀末の魔術師ぐらいまでは、事件の解決のピークとラブコメのピークがほぼおなじところに来たり、事件が終わっても恋の問題が片付かないと映画が終わらなかった。
…そういう意味では、古きよきコナンファンが好きなコナン映画に原点回帰した作品こそが、今回の「から紅の恋歌」。
・事件が終わっても恋の問題が片付かないと映画が終わらないし、
・本当に死ぬんじゃないかという時になって、やっと主人公が恥ずかしくなるような本音を言ったり、
・事件の現場に居合わせたヒロインが、吊り橋効果でキュンと来ている時に本音をぶつけられて惚れ直したり、
…そういうシーンが要所要所でキチッと刺さる形で入ってきたから、見ていてとにかく気持ちがいい映画だった。
加えて服部平次特有のバイクのアクションや新一とは別の意味でのダサさ、蘭よりは露骨にヤキモチを焼いたり、はっきりと問いただす和葉との掛け合いがいい意味で活きてるから、「コナン×蘭ではやり尽くしたラブコメ展開」が新鮮に見えて良かった。
珍しく、推理も恋愛も同じテーマ(百人一首)で作り込まれてる
コナン映画にしては珍しく(下手したら、1回目の時計じかけの摩天楼以来となるぐらい久々に)推理要素とラブコメ要素が同じファクターで話が展開されていく。
推理要素としても百人一首が出て来るし、恋愛の方でも百人一首が出てくる。
特に恋愛の方で百人一首には恋の歌が多いことを蘭が引き合いに出して、恋バナを始める。
詩歌に詳しいブロガーさんが解説してくださっているので、もし興味がある人・映画を見終わってネタバレOKな人はよかったら読んでみてください。
【ネタバレ】「から紅の恋歌(ラブレター)」の和歌のまとめ+解説 – 魔法使いに向いてる
…もしもこれが、実際に何の前触れもなくやると死ぬほど恥ずかしいし、死ぬほどめんどくさいと思われるだろう。
でも、ちゃんと意味やタイミングが通る形でやると、本当に恋愛でやってみたい形で百人一首を応用して、話の中に盛り込んでいるため、キュンキュンしながら見させてもらったし、いつか映画みたいなことをやってみたい…と割りとマジで思った。
内容が全体的に詰め込みすぎだからだけど…かえって、そこがいい!!
僕は、子どもの頃大好きだったコナンの良さを、大人向けに作り込まれている作品だから、今回の映画には大満足している。
ただ、「人を選ぶ作品」だとは言っておかないといけない。
アクション、恋愛、推理(犯人のサイドストーリー)などどれをとっても、2回3回見る価値がある面白さだと思う。
ただ、全体的に詰め込みすぎているから、駆け足になったり、雑に見えるシーン、わかりにくいシーンも混じっている。
でも、駆け足だから「雑」かと言われると、「雑」に見える中に小ネタが詰まっていてクスリとくるものもあるから、侮れない。
映画として(百人一首の知識や舞台となってる場所の知識をつけてから)2回3回見る価値があるぐらいに面白いと同時に、2回3回見ることを前提に説明を少なくしたり、小ネタを詰め込んでいるようにも見える。
これはコナン映画としてはいい試みだと思う。
コナンは再放送されやすいし、映画の上映中も長い期間やってるから2回3回見に行く人が多いので。
だから、1回見て満足できなかった人は2回3回見ても良い。1年経ってロードショーで見たり、2回3回見てもわからない時はネットで感想や解説を読むのもいいかも。
そのぐらい価値がある中で、昔ながらのコナン映画の面白さと今だからできる豪快なアクションの両方が味わえるので、僕はかなり気に入ってます。
コナンを見るんだったら、huluがおすすめ。
日テレ系なので、他の動画見放題よりもコナンには手厚い。TV版・劇場版ともに多く配信している。
特に、テレビ版のコナンをガッツリ配信している見放題サービスはhuluぐらいだから、テレビ版のコナンを見たい人にはおすすめ。
*1:そして、調べてみて気づいたのですが、彼ははてなダイアラーhttps://d.hatena.ne.jp/Muho/20170416