映画「クレヨンしんちゃん」おすすめランキングベスト10

Amazonプライムビデオで、クレしん映画を全部見たので、僕のおすすめのクレヨンしんちゃんをランキング形式で語る。

・2019年までに作られた27作品分全部の評価を見たい人は、僕の中でトップ10入りしなかったクレしんだけをまとめたこちらからどうぞ。→映画「クレヨンしんちゃん」ワーストランキング 
一部熱くなりすぎているところがありますが、ご勘弁ください。

そんじゃ、いってみよー♪

 

10位 電撃!ブタのヒヅメ大作戦(1998年)

あらすじ
ふたば幼稚園の遠足で屋形船に乗っていると、屋形船ごと飛行船にさらわれてしまう。

逃げ遅れたかすかべ防衛隊のメンバーが飛行船の中に囚われてしまうが…本当の目的は、船の中に逃げ込んでいた秘密組織SML(正義の味方 LOVE)のエージェント「お色気」を捕まえることだった。

一方、野原夫妻はしんのすけの安否すら確認できない状態だった。

そこで、野原家を訪れたSMLのエージェント「筋肉」の反対を押し切り、半ば強引に彼のしんのすけ救出作戦に同行することに…。

キレッキレのギャグとオマージュで攻めてくるクレしん。

まつざか先生がおもいっきり怨念を込めて中島みゆきの「ひとり上手」を歌ったり、

コードネーム「お色気」のセクシー衣装及びその声優「三石琴乃」さんの演技がキレッキレだったり、

洋画などによく登場しそうなキャラ寄せてデザインされているにコードネーム「筋肉」の声優がこれまた洋画の吹き替えではよく出てくる「玄田哲章」だったり。(※玄田哲章はクレヨンしんちゃん本編でもアクション仮面の声優さんなので、クレしんには馴染み深い声優さんだけど、そういう役とは一線を画した登場をしている)

記憶に残るギャグが多い作品だから、クレしんファンが上位にすることが多い作品。

ただ、作品自体が洋画やスパイ映画、時々エヴァンゲリオンのオマージュ要素が強い作品でオマージュを楽しめるだけの予備知識をつけた大人になってもう一回見た時と、子どもの時に見た時では印象が全然違う作品。

逆に子どもの時に見た時には、オマージュの元ネタやすごさが元ネタを知らない子どもだったから「いつものクレヨンしんちゃん」と区別がつかなくて、おとなになるまでそれほど面白いと思えなかった。

また、ぶりぶりざえもん物語などいい話もある一方、映画の半分ぐらいにモヤッとするシーンも多い。

特に、コードネーム「筋肉」が野原家を訪れた際に野原夫妻が彼のお茶に下剤をし込んだり、強引に同行して彼のスパイとしての救出作戦を結果的に妨害していくところがもやもやする作品。

下剤を入れた筋肉と野原夫妻が戦うギャグシーンとして面白いけど、トータルで考えると、話の筋にモヤモヤするため、僕はあまり人に勧めたくない映画。

…面白いよ?
でも、面白くて、モヤッとせずに見られるクレしんもあるし…。

9位 アクション仮面VSハイグレ魔王(1993年)

・あらすじ
テレビ番組「アクション仮面」の撮影中、アクション仮面の力の源「アクションストーン」を奪われてしまう。

一方、夏休みが始まったしんのすけはみさえとの買い物中に迷い込んだアクション仮面カードが当たるチョコビを購入。

そのチョコビにはNo.99の幻のカードが入っていた。
カードがきっかけで、しんのすけはアクションストーンを取り返す冒険にでかけることになる…。

最初で最後!臼井儀人(原作)テイストのクレしん映画

クレヨンしんちゃんファンを標榜する人の多くは、実は原作には詳しくない。

原作とは全く別に、2代目監督「原恵一」がマイルドに見やすくしてくれたギャグといい話で幅広い層が見やすいテレビ版のクレヨンしんちゃんを確立したあとのクレしんを好んで「クレしんファンだ」と言ってる人達が大半だろう。

かくいう私もアニメ(原恵一)クレしんファン。
映画もテレビ版も原恵一時代の作品が脳裏に焼き付いている。

そのため、表現が過激で、大人が子どもに対してネガティブな本音もむき出しに口に出すクレヨンしんちゃんを見て「クレしんってこんなにロックな作品だったのか!!」と一周回った感動がある。

PTAと敵対しているイメージが強いクレヨンしんちゃんだが、むしろ親の本音を代弁して「そうそう、俺のお母さんも、夏休みが始まると【子どもが家に居着くからめんどくさい】とか言ってた!!」という感動と共感がこの作品でのみ味わえる。

そして、映画としても、しんちゃんの正義感や優しさ…いや、ダンディズム全般がアクション仮面の影響であることがよく分かる内容。

おちゃらけた映画のようで根が真面目・リアリティを見逃さない素晴らしい映画。

過激すぎて好みが分かれそうではあるものの、原恵一以降のクレしんファンなら一周回った斬新さがあるから、是非見てほしい作品。

8位 ガチンコ!!逆襲のロボとーちゃん(2014)

あらすじ

ぎっくり腰の治療も兼ねて野原ひろしが怪しいマッサージ屋さんに入っていった。

すると、そのマッサージ屋さんから帰ってくると金ピカのロボットになっていた。

しかし、それは「父ゆれ同盟」の恐ろしい陰謀の始まりだった…。

 最近のクレしんではピカイチ!!昔のクレしんとも十分戦える力作

クレしんどころか、ここ数年の映画の中では珍しいテーマを扱う作品。
しかし、説教臭さや作者のエゴが先行しすぎることなく、キチッとクレしんらしいギャグと熱血の面白さが光る作品。

また、過去のクレしん映画を抑えている人ならば思い出深いオマージュに溢れてるし、歴代シリーズにたくさん登場していたロボットや熱血シーンがいつも以上にキレッキレに登場する。

それもそのはず!
脚本はなんと「天元突破グレンラガン」などの中島かずき!!
熱血で、ロボットで、ガイナックスで、クレしんガチ勢の脚本家が満を持してクレしん映画に参戦!!

何がすごいか伝わらない?
なら、嫌というほど語ろうか。

 

うんちく1:ガイナックスとクレしん(興味のある人だけどうぞ)

まず、クレヨンしんちゃん映画は初代監督「本郷みつる」や、二代目監督「原恵一」の時代からガイナックスの作品・ロボットアニメのオマージュが多かった。

本郷みつる時代には、ハイグレ魔王の中で空中で飛んで来るミサイルを避ける板野サーカスみたいなことをしてる。
雲黒斎の野望では変身ロボットアニメがSFかどうかを議論するシーンもある。

原恵一作品では、エヴァとガンバスターの間を取ったようなロボットが本当に登場してる。
庵野秀明やエヴァを知っている人なら「ここはエヴァを作ったアニメスタジオであるガイナックスのオマージュ、またはうっすら影響を受けている」とわかるシーンがクレしん映画には多い。

 

そんなクレしん映画に、本当にガイナックスアニメを作った脚本家が参戦する!
クレしんファンのアニメオタクなら映画を見ると決めたその時から映画館に行くのが楽しみで遠足の日を待ちわびる子どものようになったことだろう。

本作でもガイナックスオマージュがたくさん見られる。(あらすじにかいた「父ゆれ同盟」という名前自体が、ガイナックス知っている人には伝わるオマージュ)

 

何が言いたいか…
エヴァンゲリオンや、トップをねらえ!、天元突破グレンラガンといった、ガイナックスアニメを見てからロボとーちゃんを見るとネタが分かって3倍楽しめる!!
3倍だぞ、3倍!!見るしかないでしょ。

 

うんちく:中島かずきとクレしん

しかも、この脚本家のすごいところは実際に双葉社に勤務した経験があり、臼井儀人の初期作品を編集担当もしたことがある

そのため、原作の良さを知っているだけでなく、クレしん映画にもチーププロデューサーの一人として映画作りに関わった経験もある。
プロデューサーとして関わっていた時のクレしん映画は面白くない時期のクレヨンしんちゃんであるものの、映画クレヨンしんちゃんの黄金期に「クレヨンしんちゃん映画大全」という本の企画・出版もしている。

そのため、
・原作のノリ・作家性を知ってる。(臼井儀人の初期作品を編集)
・良かった時のクレヨンしんちゃんのこともよく知ってる。(企画・出版)
・映画がどうやって作られていくかという段取りも知ってる。(プロデューサー)
・クレヨンしんちゃんの歴代監督が元ネタにしてきたロボットアニメや怪獣映画についても造詣が深い(趣味の一致)
・脚本家としてアニメ作品をヒットさせた実績もある(優秀な脚本家)
と、ドンピシャな人。

これはぼくみたいな1オタクが勝手に興奮しているわけではなく、本作が賞をもらっている文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の審査員からも、中島かずきの仕事はべた褒め。

 

(語りすぎました。ここからはしばらく、うんちく控えます)

 

7位 栄光のヤキニクロード(2003)

あらすじ

「今夜は焼き肉」
と盛り上がる野原家に謎の一団が襲来。

謎の一団から逃げ出すと野原一家は犯罪者に仕立てあげられてしまう。

騒動を解決して焼き肉…総決意した野原一家は散り散りになりながら、謎の一団「スイートボーイズ」の本部がある熱海を目指す。

作画力とギャグだけならクレしん映画の集大成!!

クレしん映画の中で過小評価されがちだが、最も笑えるクレしん映画の1つ。

また、登場人物もかすかべ防衛隊・野原一家それぞれをバランスよく出して活躍させつつ、魅力的なゲストキャラも出てくるため、飽きずに見続けられる。

真面目にやってるのにどこかシュールで笑える。
敵が強いだけではなく、よくわからないポリシーを大事にしてるから愛着や人間臭さが感じられる。
野原一家のキレッキレッのアクションシーンにも、ゲストキャラの行動にも強いキャラクター性・おかしさが出ているのがこの映画の魅力。

また、しばらくご無沙汰だった(初期クレしん映画ファンにとっては名物の)ギャグ要員のオカマキャラを復活させてくれたのもありがたい

しかも、それらをオトナ帝国とアッパレ戦国が大ヒットした直後ということで潤沢な予算と作画の手間暇をかけてやってくれるため、「絵で笑わせに来るシーン」が多い。

お気に入りのシーンは作画逆崩壊のワンシーン。
いつものちんちくりんなタッチではなく、劇画タッチでもなく、さらにリアルなタッチにして野原一家を描くシーン。

例えば、しんのすけがこんなことに…。

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お前誰だよw

6位 嵐を呼ぶジャングル(2000)

・あらすじ

アクション仮面の新作映画を目玉にした豪華クルーズ旅行に野原一家ででかけたところ、船が映画の途中で「やたら賢い猿の一団」に占拠されてしまう。

猿に大人だけを連れて行かれてしまい、取り残されたかすかべ防衛隊は自分の親を助けに行く決意を固める。

劇中の「尻歩き」を練習するほどハマった幼い日の思い出!!

最初から最後まで飽きることなく見られる安定感のあるクレしん映画の名作。

それでいて、印象的なシーンがいくつも挟み込まれているため、しんちゃんがやっている尻歩きを映画を見た当時のぼくが練習してできるようになってしまったり、小林幸子を見るたびに笑いが止まらなくなるなど、影響を受けた部分は多い。

実際に妹がいる「兄」としては、ひまわりとジャングルの中で再開した時に、ひまわりがしんのすけと再開するなり泣き出すシーンが個人的なベスト!!

小林幸子登場シーンは、音声付きで見るとさらに面白いけど、画像だけでも面白いので画像として紹介しておきたい。

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うんちく:もしかして「アクション仮面VSハイグレ魔王」の続編??

あくまでも1ファンの独自解釈だが、しんのすけが大事にしている正義感やアクション仮面と協力して敵に立ち向かう姿勢など「アクション仮面VSハイグレ魔王」を見てから見ると、また違った見え方もできる作品。(ハイグレ魔王の時と、アクション仮面の設定が少し違うらしいけど、精神的な後継作品と思われるシーンはちらほらある)

しんちゃんが熱心なアクション仮面ファンであること・ファンというよりも道徳的な規範にまで影響を及ぼしてるところまで来てるのがわかって面白い。

クレしん映画シリーズ全般で大事にされている価値観がアクション仮面的な正義ではあるが…この作品は特にアクション仮面的な正義をしんのすけがアクション仮面よりも先んじて実践してる。

5位 ヘンダーランドの大冒険(1996)

・あらすじ

幼稚園の遠足で「群馬ヘンダーランド」に行った際に、しんのすけはトッペマ・マペットという人形に出会う。

そのトッペマから魔法のカードを受け取ってから、カードを奪い返そうとヘンダーランドからス・ノーマンという雪だるまが来る。

雪だるまに襲われた話や、ヘンダーランドが悪の組織だという話をしんのすけがしても夢だとか、遊園地のおとぎばなしだと相手にされず、ついに野原夫妻はヘンダーランドに囚われてしまう。

しんのすけは単身ヘンダーランドに乗り込んで、悪の組織と戦うことに…。

本郷みつるクレしんの最高傑作にして、怖いクレしんの名作

ファンタジーな設定、特に危害を加えられるわけではないけど人がいなくなったり、迫られたりすることで徐々に怖くなっていく…といった初期のクレヨンしんちゃん映画の中にあったホラーな要素を突き詰められて作られた尖った作品。

子どもっぽい空想と、クレしんらしい強そうでいいやつそうなのに致命的な部分がずれてて滑稽な要素が入り交ざった、不思議で奥深い面白さが魅力。

また、初期のクレヨンしんちゃんファンの中ではラストシーンでの悪役との死闘…いや、そもそもオカマの二人組というあの悪役自体が頭から離れないぐらい濃ゆいらしく、「クレしんといえばオカマ」と言ってる人は多くの場合、ヘンダーランドのファンである確率が高い。

実際、このキャラを見たらツボる人の気持ちはすげーわかる。

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絵面が強すぎませんかねぇ…

4位 爆盛!!カンフーボーイズ(2018)

・あらすじ

いじめられっ子だったマサオくんがいじめっ子を強気に振り払う。

マサオくんの秘密を確かめるべく、かすかべ防衛隊の4人で追いかけていくと、アイヤータウンという春日部の中国人街でカンフーを習っていたことがわかる。

4人もカンフーに打ち込むことになるのだが…カンフーを教えている師匠たちの家と土地は「ブラックパンダラーメン」という中毒性のあるラーメンを作るラーメン屋さんに狙われていた。

バカバカしいのに本格派。これぞクレしんという名作が爆誕!!

オカマが出てこないこと以外は、クレしん映画に求めていることを120%抑えきった近年のクレしんの最高傑作!!

バカバカしくて、
正義についてすごく丁寧に考えていて、
へんてこなロボットみたいなのが出てきて、
社会的な風刺も効いてて、
それでも表現方法は常に幼稚園児としてのしんちゃんらしさが光っていて…

クレしん映画を構成する要素をこれでもかー!!ってぐらいに細かくギュウギュウに詰め込んで、できたクレしん。
正直、本当の面白さに気づこうと思ったら、クレしんを全作品見て、カンフーの作品や深夜アニメに対する予備知識も付けないと読み解けないぐらいに細かくネタが埋め込まれている。

 

だけど、オタク好みな作品に偏りすぎずに、普通に見ても面白い作品。
表面的なバカバカしさや雰囲気の良さ、あとはクレしん恒例の画風を使ったギャグやゲストキャラの魅力…これだけでも十分楽しめる。

 

つまり、どの層が見ても楽しめる作品でありながら、本気で調べ尽くすといくらでも楽しみが増えていく映画なわけ。

 

3位 暗黒タマタマ大追跡(1997)

・あらすじ

しんちゃんが河原で拾ったタマを妹のひまわりが飲み込んでしまう。

そのタマは、ジャークという怪物を復活させるために必要な大事な儀式の道具だった。

ジャーク復活を目論む一族の存在をタマの元々の持ち主だったオカマ3人組に教わり、オカマと一緒にジャーク復活を阻止するために戦う羽目に

 クレしんを教育的だと言い張るのは、この映画でぼくが「兄」になったから

この映画はしんのすけの妹、野原ひまわりが初登場する映画。

そのため、しんのすけが「兄」としてひまわりを守る…男らしく振る舞おうとするシーンの多い映画。

ぼくは妹のいる長男で、その長男として妹を大事にしようと思えるきっかけになったのがこの映画。
実際、仲の良い兄妹と言われたことは何度もあったのはクレしんのおかげ。

だから、PTAに何を言われようとクレしんを応援しよう、大人になった今は僕がクレしんを語り継いでいこうと決めた。
そんなターニングポイントになった映画。

それでいて、オカマがたくさん出てギャグシーンが面白い…。
アクションシーンも劇画もキレッキレで予備知識がなくても爽快感がある。

色んな意味でぼくにとってはクレしんの原点になっている作品だよ。

2位 夕陽のカスカベボーイズ(2004)

・あらすじ

路地裏にある映画館「カスカベ座」に迷い込んだかすかべ防衛隊。

みんなで映画を見ることにしたが、しんのすけだけトイレに。
すると、トイレに行ってるうちに残りのメンバーが消えてしまう。

野原一家でカスカベ座へ捜索に向かうも、結局見つからず。

その後、上映している「西部劇の映画の世界に取り込まれた」ことが発覚し、野原一家も映画の世界へと入っていく。

クレしん唯一の文学的なラブストーリー

しんのすけの女好きは有名なことだが、実は本気で惚れた女の人はそんなにいない。

そんなしんのすけが中学生ぐらいの年齢の「つばきちゃん」に本気で惚れる映画。
ちなみに、つばきちゃんは色気とか全然ない女子中学生で、良くも悪くも「地味だけど、いい子」というしんのすけが普段ならハマらないタイプの女の子。

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西部劇オマージュや、かすかべ防衛隊の派手なアクションに気を取られがちだが、実はものすごく文学的な映画。
それも、しんのすけの初恋と失恋…そして、恋を吹っ切るまでの過程を1本の映画でやり切るというすごい試みがなされた映画

クレヨンしんちゃんの中で、クレしんの面白さを崩さずに文学をやりぬくという一見相反するものを1つの作品の中に閉じ込めて両立してみせたすごい作品。

 

エンディングの「◯をあげよう」のアニメではそのつばきちゃんとしんのすけのダンスが披露されるんだけど…映画の意味を全部わかった上で見ると、もうそこで泣ける。

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クレしんランキング作るために全部見直した時に、評価が最も大きく変わったのは実はこの作品。
当時にはわかんなかったけど、この作品ほどしんのすけを深く描いた作品は存在しない。

シャイなしんのすけが恋をしてるからとかじゃなくて、映画でのぼーちゃんやシロとの関係性とか、そこまで含めて細かく描いている部分を深読みしていくと、本当に凄い映画!

1作だけクレしんファンにもう一回見てほしい作品を指定するならぼくはこれを選ぶ!
クレしんファンじゃないなら1位の作品をおすすめするけど…1位のやつはクレしんファンはみんなわかってるから…ね。

 

1位 オトナ帝国の逆襲

・あらすじ

カスカベにできた20世紀博という昭和を扱った施設に親世代がハマってしまう。

ついには20世紀博から出ている懐かしい匂いに夢中になった大人達は20世紀博へと集団で移ってしまう。

取り残された子どもたちは大人に捕まえられそうになり逃げ惑う。

そして、逃げに逃げたあと、しんのすけは20世紀博に突入する決断をする。

見る度に泣くんだから1位にするしかない!!

「その道のファンなら、世間的に有名な作品ではなく、自分が好きな1位を選ぶべきだ。でないと、ランキングとしてつまんない」
とか怒られるかもしれない。

…でもね、僕はオトナ帝国の逆襲を何回も見て、その都度泣いてる。
しかも見るたびに新しい発見があり、その発見をすることでまた泣き所が増えていく

こんな映画…クレしんどころか、日本中…いや、世界中探したって数えるほどそうはない。

実際、全映画の中で一番好きな映画。
それだけ深く突き刺さる映画を1位にしないのは、「いいものをいいと認められない反抗期」か、「作品を理解できてない奴」のように思えて、ぼくにはオトナ帝国以外にクレしん映画の1位はありえない。

そのぐらい好き。
感情揺さぶるストーリーに加えて、それがキチッと物語が理路整然と組まれていること、それが日本の近代をキチッと切り取っている社会性もあることなど…どこから切っても素晴らしい仕上がり。

少しでも、すごさを伝えたいからこの作品は語らせて。

 

うんちく:映画を見る時に知っておくとさらに泣ける要素

ここでは、映画の中の肝になるシーンをいくつかきちっと解説する。

1、走るシーンがクライマックスの理由

映画のクライマックスがどうしてしんのすけの全力疾走シーンかわかる?
アレは、父ひろしが、家族で電波塔に向かう時に言った「親にもらった足があるだろ」と言ったことに対するアンサーで、しんのすけは走ってる。

さらに、しんのすけがすすむためにひろしやみさえ、シロまでもが20世紀博の連中を足止めする。
これ自体が、子どもの未来を親が体を張って、家族の一員であるペットが育んできたこと…みんなに育てられたからこそ、しんのすけは未来に向かって走れるし、走っていく。

 

一見、熱血に突き抜けたシーンだけど、実はちゃんと家族との対話・しんのすけなりに考えたことがメタファライズ(集約)されたワンシーン。

 

2、ひろしの靴の臭いが、オトナ帝国の匂いに勝つ理由。

ひろしの靴の臭いがオトナ帝国の用意した匂いに勝つ理由も実はキチッとある。

モノの固有の臭いよりも、体臭…それも子どもではなく大人が汗水たらした時の臭いの方が基本的に臭い。
また、汗の匂いは誰でもない自分が歩きまわらないと絶対に作れない唯一無二のオリジナル。
それは時代がどうだとかよりも、自分が生きていればそれがどこだろうが、どんな時代だろうが流れる臭い。

 

また、ひろしの臭さが革靴から出てくるのもポイント。
革靴はサラリーマンのアイテム…つまり、ひろしの場合は「足の臭さ=家庭を支えてきた歴史や苦労」という意味合いにもなる。
臭いをかぎ、回想して自分が人の子であることを思い出したひろしにしんのすけは
「とうちゃん、オラがわかる?」
と問いかける。

しんのすけのために歩きまわった革靴の臭いを嗅いだのだ…。
何のために自分が汗水たらしてたかを思い出したら、もう泣きながら我が子を抱きしめるしかない。

 

3、しんのすけが大人のいない街を楽しんでいた理由

しんのすけがバーに行ったり、運転したり、スーパーでお泊りしたり…あれはギャグではなく、子どもの時大人になったらやりたいことをしんのすけは子どもでありながら漠然とイメージしてる。
おもちゃとかじゃなくて、行くべき場所で考えて遊ぶを示し続けることで、オトナ帝国を作ろうとしている二人組が「外の人間は心をモノで埋め合わそうとしている」と言ったことへのアンサーをして。

また、二人組の男の愛車(トヨタ2000GT)が散々な目に遭うのも、ケンの唯物論的な執着と、モノに執着のない子どもたちの唯心論的なものがぶつかってることを映像として表すメタファーになっている。
事実、男は愛車を傷つけられた時に「俺の魂に傷をつけたな」と言ってるし…。

 

さらに言えば、「どうして未来を生きたいの?」とラストシーンでチャコに問われてしんのすけが答えるシーンはバーや運転のシーンを回収する形になってる。

オラ、父ちゃんと母ちゃんやひまわりやシロと、もっと一緒にいたいから。
ケンカしたり、頭にきたりしても一緒がいいから。
あと、オラ大人になりたいから!!
大人になって、お姉さんみたいな綺麗なお姉さんといっぱいお付き合いしたいから!

ムダなシーンが1つもなく、ギャグに見えるシーン・熱量でごまかしてるように見えるシーン・ひろしの鼓舞するようなセリフも全部しんのすけの最後の言葉に向かって全力疾走してる。

ベタ、ひねりがないとか言われようともぼくはオトナ帝国を1位にするしかない!
多分、何回ランキング作っても1位だけは変わることはないよ…見て泣いて、思い出して泣いて、分析して戦慄するんだもん。

 

 

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