2016年時点で19作品あるポケモン映画の中で
「これらを抑えれば、ポケモン映画はOK」
という作品を5作品に絞りこんでみました。
1、ミュウツーの逆襲
ミュウのまつ毛を元に、クローン技術で作られたポケモン「ミュウツー」にまつわる話。
人に作られ、戦闘マシーンのような扱いを受けたミュウツーが人間たちに「逆襲」する道を選び…サトシも含めた腕利きのポケモントレーナー達を孤島の城に集めて、復讐が行われる。
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ポケモン映画の第一作目にして、歴代一の興行収入を誇る作品。(ゆえに、定番中の定番なんですが^^;)
見どころは大きく分けて2つ。
まず、とにかく泣ける!!
子どもの頃には悲しいシーンにいたたまれなくなって泣いてしまい、
大人になってから見てもと、細かい伏線や話の意味をじっくり考えて泣き、
同世代の人とこの映画の話をすると「泣いた」「すごかった」という子供時代の思い出を語る人がとにかく多い。
次に、「ポケモン映画シリーズのメインテーマが20年間ずっとこの映画を原点にしてブレていない」ということ。
映画の序盤に「悲しくて涙をながすのは人間だけ。」とミュウツーに語りかけるシーンがあるが、この映画はミュウツーも含めて悲しくて涙をながすポケモンがたくさん出てくる。
ポケモン映画では「ポケモンはペットでも、戦闘マシーンでもなく、人間と同レベルの感性を持った対等な存在」として描かれることが多いが、それを涙にまつわる演出や序盤の伏線を中心に表現している。
この作品だけを見ても序盤の伏線が回収されることに感動できるが、数多くの作品を見てからミュウツーの逆襲を見ると「20年前にこの価値観を掲げて、貫いてきたのか…」と驚き混じりの鳥肌が出てくる。(だから、ポケモンをある程度知ってる人にも、もう一度見て欲しい作品)
ポケットモンスター「ミュウツーの逆襲/ピカチュウのなつやすみ」【劇場版】 [DVD]
2、水の都の護神 ラティアス・ラティオス
水の都と呼ばれる町に隠れて住んでいるラティアス・ラティオスのお話。
二人組の怪盗(のポケモン達)に襲われている女の子をサトシが助けるも、その女の子が人間に化けたラティアスだったことから物語が始まる。
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ポケモン映画唯一のラブコメ
【女の子を追いかけ回して、声をかけるサトシ】というそうそうお目にかかれない不思議なシーンが見られる映画。
映画の悪役や話の流れは「いつものポケモン映画」以上でも以下でもないから、映画全体は好き嫌いが別れるかもしれない。(けど、ポケモンファンの間で「一番好きな映画」として挙げられることの多い作品でもある。)
ただ…ポケモンが好きな人が見ると
「あの唐変木で、設定上10歳の少年で女の子に興味がないサトシが女の子を追いかけ回して、ナンパみたいに声をかけてる」
という映像が、とにかく面白い。
あるいは、最近の萌え系アニメばかり見てるオタクにも
「唐変木で女の子の好意やモテることに疎いキャラクター設定の作品を山のように見ている。だけど、女の子に唐変木すぎるせいで、ラブコメシーンに出てくる女の子の大半が、女の子に化けたポケモンにしか見えないし、そう思わないとしっくり来ない作品はラティアス・ラティオス以外で見たことない。」
と、斬新に感じること間違いない作品。
ちなみに、この映画の主題歌「ひとりぼっちじゃない」はポケモン映画の主題歌の中でも最も好きな曲。
単に僕の趣味性で勧めているのではなく、「映画を面白くしてくれている主題歌」だからちゃんと聞いて欲しい1曲。(歌詞がほとんどキャラソンなんだよねぇ…。)
劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオス [DVD]
3、ミュウと波導の勇者ルカリオ
ミュウと一緒にテレポートしてしまったピカチュウを探して、サトシはルカリオと一緒にミュウが住む山へ向かう。
ところがこのルカリオ、数百年前にタイムスリップしたばかりでうまく時代に馴染めず…。
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ピカチュウとサトシの友情をメインに据えた映画。
そのため、サトシとピカチュウがまだ仲の悪かったTV版1話のエピソードを知っている人にはとくに面白い!!
また、山のようにミュウが出てくるから
映画としても、シリーズのテーマである「ポケモンと人間の関係性」について、実験的な試みをしている。
それ以前の映画では、「(人間の方に強大な力を持っていて、)人間がポケモンにひどいことをする」ケースが多かった。
だけど、今回は「ポケモンの方が強くて、人間の侵入を拒み、排除する世界」でお話。
そのため、人間だけがピンチに追いやられたり、
ポケモンが人間を助ける側に回り、その様子をニャースが人の言葉に訳したりしている。
また、ポケモン映画には数少ない「ポケモンがタイムスリップして、時代の流れに葛藤する」作品であることもおもしろい。
そのため、ポケモンが大量に動員された戦争の描写や、昔のポケモンと人間の関係なども描かれているユニークな作品。
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4、幻影の覇者ゾロアーク
幻を見せることができるゾロアークと、その進化前のゾロアの親子が実業家コーダイの飛行艇に囚われていたが…ゾロアだけが脱出に成功し、サトシたちと遭遇する。
そして、サトシと一緒にゾロアークを助けに行くと同時に、コーダイの悪事を阻止することに…。
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ゾロアとゾロアークの親子愛のお話。
登場人物・ポケモンが全体的に魅力が高いため、ポケモンにも感情移入できるし、悪役との駆け引きも楽しめる作品。
ゾロアとゾロアークはそれぞれに「人間に化ける」「幻影を見せる」と言った能力を持っていて、この能力が映画をすごく面白いものにしている。
ゾロアが使うものの多くは「ギャグ」としてのコミカルな面白さを出しているし、
ゾロアークに至っては伝説のポケモンに化けて、映像として迫力を出している。
そして、両者の「幻影を見せる能力」が終盤にはコーダイとの駆け引きやトリックに結びついていくため…二重三重に騙されるシーンがあって、目が離せない!!
ポケモン映画にトリックを持ち込むこともレアだけど…そのトリックが映像として映えるから映画として気持ちのいいクライマックスを迎える!!
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5、ボルケニオンと機巧のマギアナ
人間嫌いのポケモン「ボルケニオン」と、「サトシ」が強い磁石のような装置で繋がれてしまったことで、ボルケニオンと生活を共にすることになってしまう。
ボルケニオンはマギアナという人が造ったポケモンを世話していて、人間たちに囚われたマギアナの奪還及びいつも暮らしているポケモン達の森へと帰ることに。
マギアナを狙う人間たちと、ボルケニオンの間で起こる戦いにサトシ達が巻き込まれていく。
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ポケモン最新作にして、今までのポケモンにはない斬新な作品。
斬新な点は3つ。
1つはカラクリ都市を舞台にしているということ。
そのため、マギアナ自身も含めて、科学技術を題材にしたお話やポケモン、ストーリー展開がなされている。
ほとんどロボットアニメではないかというぐらいのポケモンとからくりの対決もある。(※エヴァンゲリオンっぽい感じのスケールの大きいシーンがあります)
1つは、映画に出てくるゲストポケモンの中では珍しく、ボルケニオンには「水をタンクに貯めてないと技が使えない」というわかりやすい欠点があるということ。
ボルケニオンのキャラクター性はとにかく濃ゆく…
「マギアナが出す花の臭いを嗅ぐとくしゃみが止まらなくなる」
「ポケモン映画史上初の、ガンコ親父キャラ」
「あまりにもタフすぎて傷薬ではなく湯治で治療(風呂好き)」
など今までになかった特徴が多いポケモン。ボルケニオンのキャラの立て方が最近のアニメにはない方向なので、一周回った新しさを帯びていて、面白い!!
最後はポケモンと人間の関係性。
今までのポケモンでは「グループ単位で人間を避けてる(ほど嫌い)」なポケモン作品はなく、がんこでひねくれたポケモン1体が人間嫌いであることが大半だった。
「ポケモンと人間は仲良くなれる」という信念でやってきたサトシが集落単位で関わりを拒絶され、ボルケニオンからも「そっとしておいてやれよ」とか言われてしまうポケモン達からアウェイ扱いを受けるかなり珍しい映画。
ポケモン映画19作品目にして
「まだこんなにポケモン映画は可能性があるし、前衛的なことをやってくるのか!?」
と驚かされた作品。
近年はおろか、歴代のポケモンを並べても上位にはいること間違いなしのクオリティ!
ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧のマギアナ」ミュージックコレクション
…以上です。長い文章にお付き合いいただきありがとうございました。
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実は名探偵コナンについてはすでに20作品全てのランキングを作成済です。
つまらない方をワースト、面白い方をベストで区分けして記事にしていますので良かったら見てくださいね。