最近、ブログに町の本屋についての記事を投稿した。
町の本屋さんが減少した原因はAmazonではなく、コンビニだからな?
この記事自体は有隣堂書店に対して肌感覚に感じていた
「本屋さんって、Amazonと戦うかどうか以前に、規模感で勝負している倉庫みたいになってるよね?」
という仮説から、本屋さんに関する統計や取り巻く状況を調べ直したもの。
記事が大反響だったのは嬉しかった反面で、
「書店に対して部外者なぼくがちょっと調べただけでこれだけ反響があったテーマ。
これだけ多くの人が関心を持っている(割に絶対的に情報不足)なテーマだから、現場を経験したモノを読んでみたいし、多くの人と共有したい」
そんなことを思ってたら、あった。
マンガとしてはかなりベタなので、好き嫌いが別れると思う。(だから、みんなに手にとってほしいとは思ってない)
ただし、ルポとしては実際に書店員やってた作者が、作ってるだけあってすごくいい!!
書店自体が持ってる今の時代に対して「あきらめムード」になってるところと、それでもがんばってるという必死さ・何かやらないといけないという焦りや愛情が1冊のマンガに凝縮されていて、
「がんばってる人間の苦悩と努力が美しいと思える人」
には、すごく応えてくれるマンガだと思う。
実際の書店員から投げつけられるせつなすぎる本音
ぼく、「○○すぎる××」って言い回し大嫌いなんだけど、これは「せつなすぎる本音」ってフレーズを使ってもいいんじゃないかな?
全員が全員こうではないかもしれない。
だけど、書店の当人は売れない・儲からないと肌で感じるだけの空気感を色々経験して、世間に言いたいことは山のようにあっても、「仕事だから」黙々と作業を続けていくしかないわけだ。
マンガとしての画力やストーリーはたしかに重要だよ?
でも、このマンガの魅力は、実体験に基づく言葉の重み!!
重みというのは何も、「どす黒くて表に出ない本音」の部分だけじゃない。
儲かりづらいけど、書店や書店員を続けていくことに対する愛情もそうだし、マンガを通じて表現されてる「優しい世界」「アナログで、非効率なシステムの温かみ」も、作者なりの裏づけや背景があっての発言だから、質量を持った言葉になっている。
その質量と説得力に引き込まれて、グイグイ読み進めていける作品。
なんで、書店にお取り寄せを頼むと1週間以上かかるか知ってる?
本屋さんには色々な疑問がある。
例えば、「本ってなんでどこで買っても同じ値段なの?」と言うもの。
普通なら売れないものは値引きしてでも売りさばかれるけど、本に限っては定価で売って売れないと送り返すことになる。
そういう話をこのマンガは書店員初心者の主人公に説明している。
こういう話が幾つかマンガに載っている。
ぼくの中で「なるほど」と思ったのはお取り寄せについての話。
今はAmazonがあるせいで、
「お取り寄せするぐらいならAmazonのほうが速いし、そもそもあるかないかすらわからない本屋に行って、ないと1週間待ちさせる本屋なんて使うのは非効率じゃないか!」
という時代になっているが、かつては本は本屋さんに取り寄せてもらうものだった。
単純に考えると、「宅急便的な感じで搬送してもらうのに、1週間もかからんやろ」とAmazonに毒された我々は思ってしまうけど、そこには書店ならではの事情があったりなかったりするわけ。(一応、1枚目の画像にヒントを出てる。わかんない人、気になる人はマンガを読んでみてね)
知ってるつもりになりつつも、実はそんなによく知らないまま大騒ぎしている本屋の話…それを基礎から教えてくれる職業マンガでかつ、職業マンガの中でも独特の退廃感と温かみを持った異色な作品。
何が正しくて何が間違ってるか…いや、何が人の心を動かすかを考えさせられる作品。
空気感も紹介されている知識もとても好きなので、是非続いてほしいものです…。