ふぐを食べたのは小学校の時以来だったけど…
「この世にこんなうまいものがあるのか」
というレベルで美味しかった。
しかも、入ったお店が、味のあるいいお店だったから
「川崎にふぐを出してくれるお店は色々あるけど…こういうところが流行ってほしいなぁ~」
というわけで、ブログに書き残しておくことにした。
何しろね…裏路地にこんな看板が立ってる「古き良き」のお店なんよ…ここ。
この風体!
ずっと見つけた時から気になって気になって…もう、しょうがなかったわけ!!
写真左側がのれんと入り口で、右側にメニューがいろいろ飾ってあるんだけど…これ。
びっくりするほど高いわけじゃないけど、これが繁華街を一本入って裏に入ったら突然現れると「このお店入ったら、昭和にタイムスリップしてまうんとちゃうか!?」という気持ちになるわけ。
もし、国道沿いで見つけたり、開発が進んでない地方都市で見たらなんとも思わないよ?
でも、川崎は再開発が進んで、駅ナカのビルにも駅地下にも、オシャレなクラフトビールを出すお店とかが並んじゃってるご時世なわけ。
だからこそ、レトロな風体で生き残ってるお店は絶対うまいし、「オシャレなお店に食あたり気味な女の子を連れてきたらこいつできるって思われるだろうなぁ~」とは、思うよ?
その半面、俺ごとき若造(28)が入っていいか悩む難しい相手なわけ。
だから、ごはんをおごってくれるぼくのファンが来た時に、「ここどうですか?」という夕飯の候補の1つとして提案して、二人で入ってきた。
…すると、すごくいいお店なのに、食べログでもレビューが1つしかない。
理解あるレビューが1つあるだけなので、高評価なのに上位掲載されてない。
食べログでも掘り出せない穴場中の穴場だったので
「こういうのこそ、ブログで紹介しなきゃダメだ!!!」
と思い、ここを紹介することにした。
中ジョッキが大きかった時に「ふぐ行きませんか?」って言える店だと確信した
ぼくはおごって貰う立場だから、最初からふぐ食べようだなんて思ってなかった。
ましてや、たまたま空いている日で従業員3人で座ってテレビ見てたから、最初はちょっと「あーどうだろう?」と、疑問に思ってた。
とはいえ、「信用できるお店だったら、ふぐも食べていいんじゃないか?」って思ってはいて、それでメニューが決まる前に、お酒頼んだ。
その時に、中ジョッキと、ちゃんと仕事のされたお通しが出てきて、そのクオリティを見て
「ダメな居酒屋チェーンなら大ジョッキ扱いで出してくるサイズを中と言って出してくるから、ここはすごくいいお店だ!」
と確信して、「良さげなお店だから、ふぐ行きませんか?」的なことをいって、相手も乗ってくれたので、ふぐ刺しを頼んだ。
ふぐ刺しが来るまでに、もう少し考えたくて、もろきゅうとえいひれを頼んだ。
すると、えいひれがベビースターみたいな形じゃないちゃんとヒレな形をしてて、ふっくらと美味しいやつが出てきて、なおかつ良心的なお値段だから
「ここ、いいね」
と、ふたりで話してた。
いや、言葉には出さなかったけど、ここの女将さんの雰囲気がもう「このぐらいのトーンの接客が一番心地よい」という感じで、ぼくは好きだったわけ。
微妙に敬語じゃないし、テキパキとしすぎてない…でも、やるべきことはきちっとやってくれているし、こちらの様子もきちっと見てるような…それでいて、使い古されたエプロンを着てて…絶妙な塩梅が、もうぼくは…「実家のような安心感があっていいなぁ~」って思ったわけ。
…ぼくは母親と仲悪いから、実際の実家に帰ると安心できない。
だから、こういう趣のあるおばちゃんが接客してくれるお店で、なおかつ料理も美味しくてくつろげるような掘りごたつ席に座ってると…「ここを実家にしたい」というほどに、感動してたけど。
そこで、ふぐ刺しを頼むことにして、ちょっと様子見。
この時も、二人いたのに、1人前で請けてくれて、「ホンマにええ店やなぁ~」という感じがにじみ出ていて、その時点でちょっと感動した。
もろきゅうとえいひれでウォーミングアップしていると、ふぐ刺しが登場。
普段、カップ麺生活をしてる相手と、ここ一週間サッポロ一番塩ラーメンばかり食べてたぼくが、いきなりふぐ刺しを食べたため、ふたりとも幸せ過ぎて、言葉が出ない…。
ブロガーと、読者のトーク…「ぼくが相手に面白いトークや、川崎を案内をする代わりにごはんをおごってもらう会」なのに…なにも話したくなくなって「トークどころじゃないな」って、空気が流れていた。
ふぐ刺しを半分つまんだところで「なべも…ふぐで行こう」と、相手が決断し、ふぐ三昧へと突き進む。
3番王貞治、4番長嶋茂雄の間には落合もイチローも入れたくない
ほんとうはお店のことを考えたり、あとはブロガーが飲食店を紹介することを考えたら、ふぐ三昧だけじゃなく、もっと色んなメニューを頼むべきだよ?
でも、ふぐ刺しと、てっちりを食べた時に、僕はこう言ったよ。
「3番王貞治、4番長嶋茂雄の間に、何を入れるんです?もう、今日は余計なものを口に入れたくない」
食べ物の世界にも野球の世界にも、大スターは数多いますよ?
でも、ふぐは…ふぐだけで食べたいし、大スターの2トップがいたらそこに他球団のスターが入ったら「夢の共演」ではなく、「不協和音」になると思いませんか?
そのぐらいに、ふぐと言う食べ物は特別で、この空間にいることが別世界に感じられた。
だから、ふぐを一口食べた時から「今日はふぐ三昧で行きましょ」と言う空気が、二人の中でできあがった。
何味かと言われると「無味の美味」としか言えないからこそ、ふぐ以外に何もいらない
ふぐというのは、「脂がない」んですよ…。
極端に高たんぱくで、極端に低脂肪な食べ物だから。
でも、繊維が細かくて、噛めば噛むほど脂らしきものが口の中にジワッとにじみ出てきて、これがなんなのかと言われると…「無味の美味」なんだよ。
幸せでまったりした旨みが噛めば噛むほど口の中に広がっていく。
そして、その旨味が自己主張しないのよ…。
例えるなら、「二人で手を握りあって、黙って海辺で座ってるだけのデートが、実は一番深く愛し合っているデートであり、そういう時間を与えてくれる女性」といえばいいのかな?
ある種の繊細さと、完成された美や信頼感に身を委ねているような感じ。
マグロって、もっと「演技派で色々な顔を見せてくるけど、自己顕示欲が強い」というイメージで、
サバぐらい脂が乗ってると「もうあっちから抱きついてくる女性」というイメージ。
ふぐは普段は三歩後ろからついてきてくれるのに、二人でいると手を握りあって、何をしているというわけでもないのに、「ああ、この時間が永遠に続いてほしい」「何が楽しいか説明できないけど、今俺は世界で一番幸せだ!」って、思うわけ。
強烈かつ説明しがたい多幸感が、ふぐ刺しを噛み締めていると広がっていく。
目を見開くほど美味しい食べ物はいくつもあるんだけど、目を見開いた時の感じが新鮮なお肉や精の付く食べ物みたいに「生き物の本能を呼び覚ます感じ」じゃないの!
むしろ、女性の手を握ってる時の…体が軽くなって、何もかもが輝いて見えるし、「何も考えなくても自分と相手がどうすれば幸せな時間を共有できるか」を体が勝手に動いていくような…ああいう感じ。
ふぐの幸福感って、生モノの幸福感の中ではかなり独特で、むしろ薄味の和食にホッとする感覚に近い。
刺激が美味しいのではなく、噛みしめる・ほのかに感じるものの美味しさの極地がふぐ!
で、その傾向はてっちりになっても、ブレない。
まず、ふぐのしゃぶしゃぶというのがあって…これがまたうまいのよ…。
半生ぐらいの火加減にうまくできると、気持ちのいい舌ざわりと、旨みの塊がでてくるわけ。
骨の近くの部位を食べると、あの旨みの塊が、口の中に広がる。
あの何味でもない…いや、味すら主張しないで、ただそこにいてくれるだけなのに、すごい安心感と多幸感で包んでくれる!!
それが…いいのよ…。「ええなぁ~」ってただただそこに身を委ねていたいんよ…。
あんまり美味しいからひれ酒も行ったよ!
器がね…めっちゃかわいいのよ!!
で、中は、スモーキーでかつ、独特の濃ゆさを出すヒレが入ってるわけ。
ひれ酒はもうちょっとわかりやすく美味しい。
でも、これを飲んじゃうと…本当に何も話したくなくなる。ただ、二人一緒にお店に入ったのに「とことん安心しちゃったから、今この余韻を楽しんでいたい」
とふたりとも思ったから、何も会話が弾まなかった。(かといって、それをお互いにわかってたし、ふぐの多幸感に包まれてるから、何も気まずくもならなかった)
ふぐはね…ほんと、信頼できる相手とくつろげるお店で食べないとダメ!!
会話が弾まなくなるから、会話する気が起きないことが気まずくないぐらいに信頼している人と食べないといけないし、それにそれをわかってる相手と食べなきゃダメ。
アレはね…もう…デートで使うんだとしたら、もう軽い倦怠期というか、円熟しすぎていい意味で枯れてきた相手と一緒に行かなきゃダメ!
逆に…話すことがなくなるし、気遣いする気も起きないから…。
この店でふぐを食べてよかったのは、ふぐの安心感を増幅してくれるお店だから
色んなお店でふぐを出してるけど…ぼくはここでふぐ食べられてよかったなぁ~と思ってる。
堀りごたつの、ホッとするおばちゃんが最後におじやを作りに来てくれるあのお店でよかった…って思ってる。
値段も良心的だし、何を頼んでも美味しいであろうお店だと信用できるようなところでよかったなぁ~と思ってる。
だから、ずっとふぐの話をしているけど、次回はふぐ以外も食べたい。
シシ鍋とか、各種お酒のおつまみが色々あるから。きっとここなら美味しいだろうなぁ~という確信があるから、お金を作るか、相手を見つけるかして、行きたい。
ふぐも最高だよ?
でも、ふぐがいいだけじゃないんだよ!
何もかも良かったから、「もっと知りたいな」って思うし、「応援したいな」と思うわけ。
好きなお店は徹底的に何回も人を連れて行ったり、おもてなしに使ったりしているけど、僕の中で、またとっておきが増えた。
この店は和食ディナーで相手をもてなす時には是非使わせてもらいたい!!
「いいお店こそ秘密に」という主義の人もいるけど…僕は穴場のお店に関してはむしろ連れて行きます。あけっぴろげで混んでるお店については「いいお店こそ秘密」だけど、穴場な店は…ちゃんと存続してほしいから積極的に使っていくし、応援していく。
…とか、かっこよく言ってるけど、
「穴場の店に限ってメニューが多く、それを何回も通って、味わい尽くしたい」
というのが、本音なんだけどね~♪