これはねぇ…人をめちゃくちゃ選ぶ。
実際、「マンガ家マンガ」の中ではエンターテイメント性よりも生々しさを重視した作品だからAmazonでの評価はさほど高くない。
だからこそ、クリエイターや実力主義な世界に生きている人でないと理解できないような専門的な知識や、現場のリアルな空気感が、刺さる人にはとことん突き刺さる作品でもある!
実力主義な世界では、【親身】と書いて【辛辣】と読む!【日常】と書いて【修羅場】と読む!!
このマンガがAmazonで酷評されている理由はシンプルに辛辣だから。
どうしようもないマンガ家相手にブチ切れてみたり、
イキッてるダメアシの心を粉砕骨折させに行ってみたり、
暗いとか、ネガティブとか言って酷評する人の気持ちもわかる。
ただねぇ…強めに言ってもわからない人や真摯に受け止められない人は続かないのよねぇ。
自分も長くブログ続けて、その過程で人にブログを教えてごはん奢ってもらったこと、企業のパーティーや大規模オフ会に行ったことがけっこうある。
そういう場所に行くと、話通じなくて画像ぐらいキレたくなる時はある。
コンテンツへの愛やこだわりがそもそもない人や、手間暇を敬意を払うわけでもなんでもなく「楽してどうにかなる方法だけ知りたい」と思って来るような人ゴロゴロいる。(そういう人に限ってマネタイズ方面で努力してるわけでもないし、努力する気もない)
ちなみに、この作者は商業マンガ家の中ではかなり特殊な人で、
・商業作品の中でも大手で実績がありながら、
・オリジナルの同人誌にも力を入れてる(それを持ち込んで商業作品になることも多い)
・Twitterでのエゴサやリツイートだけではなく、積極的に1話以外のマンガのシーンも多く公開
というかなり珍しい人だ。
だから、マンガ家という生き方を単にクオリティや作風の話ではなく、経営・サバイバル術のレベルで語れるすごい人だと思うし、実際それをマンガにしている。
必死のサバイブを乗り越えている人・もがいている人だからこそ、
「実力主義な世界では、ダメなやつに優しくしても誰も幸せにならない」
が、マンガの節々に出てくる。やる気ない人が遊び半分で現場に入ってきても、有段者はそれでしわ寄せが来ることで苦しむから…辛辣な内容になる。
だから、この作品には「どこにでもある話なんだなぁ~」とか「実際に生き残ってきた人の言葉は重たいなあ~」と思いながら読ませてもらった。
別に、PTAに見せるためにマンガの現場があるわけじゃないし、誰も彼もが現場に通じているわけじゃない。
むしろ生々しくて不愉快にすら思えるほどのリアルこそ、血肉になる体験談だし、その現場で勝ち上がってきた人が尊敬もされるし、ゼニも勝ち取るんだなぁ…と改めて痛感した作品だった。
正直言って、全方向攻撃している。マンガ家にもオタクにも攻撃は及ぶ
前半は
「そうそう、そうだよねぇ~なんかしらの現場知らないやつが甘えたことばっか言ってんじゃねーよ」
みたいなことを、言ってきた。
しかし、自分の失言や拙い考え方を悔い改めさせられる謙虚な部分もこのマンガにはある。
特に、この発言は襟を正さないと思ったので、共有させていただきたい。
ぼくはマンガ家じゃないけど…好きじゃない作品、矛盾や欠点の多い作品に対して「バカじゃないの!」っていいすぎてしまう悪癖があるから…そこは襟を正さないとダメだなぁ~と思った。
ダメな作品にグズグズ言いたい気持ちはしょうがないんだけど、それは何も生み出さない。
頭ではうっすらわかっているとは言え、ちゃんと現場のリアルがわかっている人まで「みっともない」とまで言われたら…それは本当に反省しないといけないなぁ~と改めて思った。
もう1つは…これかな。
上に行くにはもっとリア充にならないとなぁ~
あくまでも作者の偏見で統計は取れないものだけど…これどこの世界にもあるんだよなぁ〜と思ったコマ。
ほんまこれ
こういう「薄々思ってること」をしっかり掘り起こしてくるところも僕の中では刺さりポイント。
全く関係ない人には「暗い」「嫉妬でしょ」と思われる1コマだけど…実際問題、ここ大きな悩みなんだよ。
コミュニケーション能力が高い人とか、他人の批判や話が噛み合わないところをスルーして常に楽しめる人ってどの世界でも強いなぁ…と思うから、これが出てきた時は「うわぁ〜〜〜」とため息みたいな何かが漏れた。
と同時に
「これだよ!ここまで言うならやっぱ信用できるわ!」
と思った。
「自分もグサグサに突き刺されているのに、マンガとして大好きだなんて、ドMの発想かよ!」
と言われそうだけど…ぼくは辛辣でもちゃんと正しいこと言ってくれる人は好きだよ?
絶対に血肉になってくれるから。
骨太なだけじゃなく、裏切らない。
その覚悟がある人は読めばいいよ。