マンガ「ぜっしゃか!」はマニア達の楽園である!!

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別に、車が好きってわけでも何でもないんだけど…僕はこのマンガにえらく感動した。

表紙も絵柄もすごくかわいいけどね…中身はコアだよ!!
押し付けがましいわけでも、理屈っぽいわけでもないけど…「さり気なくすごい」んだよ。

まず、題材がすごすぎる!!

今は売ってないような昔の車を扱った話なので…詳しい内容を全部把握しようとすると…年配のカーマニアでもない限りは難しいものになっている。

 

だからぼくも、車の話は友達のカーマニアに丸投げして、車の知識以外でこのマンガの良さを語っていく。
車のことが読みたい人はカーマニアの友達が書いたこの記事をどうぞ。
漫画「ぜっしゃか!」は60代の車好きにこそ読んで欲しい

ざっくりと言うと…「リアルタイムで、紹介されていた車に乗っていた人はもう60歳以上だから、60歳以上の人が読んでこそ、ほんとうの意味で楽しめるかも」という内容。

 

このブログの読者だと…車よりは(ぼくが度々記事にしている)野球のほうが馴染みがあるだろうから、どのぐらい昔かを野球を持ち出して説明すると

「広島カープが、初優勝した1975年に現役バリバリだった頃の車が、このマンガの1話に出てくるフロンテクーペ。」

1971年~76年に作られていた車…だから、野球でいうとV9から広島黄金期に突入した頃。
…ON砲からYK砲に切り替わるぐらい…江夏豊がまだ阪神で先発投手として投げてた時代の…車の話が出てくる。(※車よりは伝わったと思うけど、女性にこの説明で伝わったかすごく疑問ではある

 

それだけ昔なことは、作中でも自覚があるようで…絶車科に入ってきた人は、昭和に染まっていくそうな。

もろ昭和な車やバイクを修理したり、乗りこなしたり、思い出を再現する話だから…それはもう、車の予備知識があったほうが楽しめるはず。
でも、車の知識を描く作品でもある一方で、「マニアな世界」「マニアな生き様」「マニアな知識が人に役立つ喜び」にスポットを当てた作品なので、正直、車の知識がない人にこそ、楽しんで欲しい。

 

実際、ハートフルな方向に重点を置いていて、盛んにこういうセリフがでてくる。

いいでしょ~。

こういうフィクションならではの味付けが鮮やかなのに、いざ調べてみたり、同じ趣味の人が読むとびっくりするほど深い。

そう言えばつい最近にも、そういう作品が話題になったよね?
ゆるキャン」という、女の子達が冬キャンプをするマンガ(アニメ)。
キャンプというニッチな題材を扱いながら、フィクションとしての演出・味付けがすごく丁寧だから見ていて一切のストレスがなく、ディープな世界を楽しめるマンガ。

「もっと、こういう系統の作品が欲しい」
もしそんなことを人から言われたら、僕は「ぜっしゃか!」を推したい。

・かわいい女の子が出てきて、
・その女の子達が濃ゆい趣味を経験することでマニアかおっさんじゃないと言わないようなことをサラッと言い出し、
・誰も傷つけないいい話が多くて、じっくりと何度でも読めてしまう
そういう魅力を持った作品を探している人は、ハマるはず。
打ち切らずに、ある程度まとまった原作が作られたら…本当に次のゆるキャンになると思うし、それだけの伸びしろがあるので、是非続いていただきたい。

 

ただねぇ…この作品はちょいちょい業が深いのよ…。

確かに、ゆるキャンや山賊ダイアリーのような、最近たまーに話題になる「ディープな趣味の世界を生きるマニアが、自分の世界を楽しみ切る」タイプの作品ではある。

絵柄もかわいいし、オタクじゃなくても読める一方で調べると造詣の深さに驚く作品でもある。

 

ただねぇ…この作品は、ちょいちょい業が深い。

萌えに振り切っていくと、主役格の女の子がきぐるみ着ちゃったりするし、

きぐるみは番外編だけど、本編でもレトロなコスチュームに身を包んだり、オチですごいのが飛び出したりすることがあるんだよ…女の子の容姿やコスチュームの…いわゆる「萌え」の話で。

 

またマニアに振り切ると、ガチガチにおっさんみたいなこと言い出すし、

冷静に考えると、車オタクか、60歳以上のおじいさんでないと言えないようなパワーワードがサラサラ出てくる。

でも、それが「オタク臭い」とか「ジジ臭い」とは感じず、むしろ趣味への造形や本気で楽しんでいる人からしか出てこない「パワーワード」に聞こえてくるのが、このマンガの面白いところ。

 

何かしらのオタクやマニアだったら、自覚がないだけで「当たり前に出るのがおかしいけど、ついつい出てしまうパワーワード」の1つや2つぐらい持ってるもので…それがちゃんと表現されているところ、そして楽しみきった結果として言葉が出てくる作品だから、

「趣味がある・趣味を突き詰めるっていいなぁ~」
と不思議と思える作品に仕上がってる。

 

大昔の車が出てくる作品でありながら、テーマやマンガから伝わってくることが意外と等身大なところがあって、そこに信頼関係を見出すことができてしまう。

「この作者わかってるなぁ~」とか、
「どんな世界にもマニアで求道者な人はいるんだな」とか
「何を言ってるかわかんなくても、熱意や愛情は伝わる」とか
「楽しんでいるさまがわかることで、聞いていて幸せを分かち合えて僕も嬉しい」とか…
そういう繋がりのようなものをマンガを通じて、…たとえそのマンガに書いてあることが100%わかんなくても、通じあえる作品。

 

よほどの努力をしないと100%わかることがない業の深い作品だよ?
でも、逆に「わかんないところ」さえも楽しさや、険しい道を通った人にしか出せない強い言葉で表現して巻き込んでいくパワーがすごい。

「熱意を持ったマニアが書いている」という意味でも、
「マニアの熱でマンガが読み進む」と言う意味でも、
「見過ごしがちなマニアに敬意と幸せの形を見いだせる作品」と言う意味でも、
この作品を、サラッと説明するタイトルには「マニアの楽園」という言い方をさせてもらった。

マニアのための楽園ではなく、常人にはわかんないことを楽しみ切るマニア達に敬意と憧れと幸福感をもらえる作品だから。

 

 

きっと流行んないと思うし、流行っても浸透するまでに3年以上はかかると思う。
少しでもわかりやすいレビューを書くために「ゆるキャンと方向性が近い」とか書いてみたけど、チョイスがかなりいぶし銀な自覚はある。

でもね…こういう作品を探し当てた時に、「ブログでマンガを紹介しててよかったなぁ~」って思えるわけ。
もしブログで紹介してなかったら好きなマンガシリーズを揃えてて、浅く広く新刊を読んだり、趣味を広げたりしなかったから…きっとこの本だってスルーしてたかも。

 

人間なんて必要なもの・便利なものだけで生活できる生き物だよ?
でも、寄り道にこそ宝物が埋まってたり、自分がわかんない/想像もしてなかったことにすごい世界が広がってることもある。

その素晴らしさをこのマンガを手にとってくれた人達と分かち合えたら…ね。

 

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