結論から言うと…黒幕(?)が出てきます。誰だかわかんないけど。
1巻からずっと謎だった
「自分達がどうして同じ夏の1ヶ月を繰り返すのか」
についてはこの巻ではかなりの部分が明かされる。
この部分については読んでもらってからのお楽しみとして…この感想記事では、これを読むことで、マンガを読んだ時の面白さが引き立つような記事になっていけたらな…と思う。
シリアスで難解なストーリー上でどうやって萌えを描くか?
この巻のネタバレにならないでかつ、【作者の技量や、作品の面白さが伝わるシーン】と言うと…「どうやって萌える画風やキャラを押し出してスタートした作品に対して、シリアスで難解になっても萌えを残し続けるか」
ということかなぁ…。
ぼくは、その技量を感じたすごいコマがこの巻2つあると思う。
その1つがこれ。
「私茜が好きなんだ。それが一番しっくり来る」
セリフ自体が、2巻の時間軸での話の焼き回しなんだけど…ループ作品で、記憶がぼやけてる(断片的にしか覚えてない中で同じような遣り取りをするからこそ)2回同じセリフを言ってしまう…というやつ。
「涼宮ハルヒ」シリーズのアニメ版のエンドレスエイトとかを見ている人はわかると思うけど…ループ系の作品には、キャラの無意識や主人公が持っている予備知識の変化から「同じシーンでも演技や、やり取りが少しづつ違わっていく」というのがあるんだけど…それを、うまく使っている。
印象的なシーンや、読者がキュンと来るような名言を演出を変えながらうまく使い回すことができる(またそのニュアンスの違いを楽しむ)というのが、話がループする作品の面白さで、それをうまーくやってる。
また、この作品の場合は、萌えるシーンや無邪気な日常シーンの多くを1巻でやり尽くしているところがあるから、巻数を経るにつれて萌えるシーン、純粋に女の子のかわいさを楽しめるシーンが減っていく。
そこで、この「ループだからこそ使い回せる」という設定を活かした演出が活きてくる。
あるいは…シリアスな中に、ダブルミーニングなシーンを持ち込むという手法もあり、これもすごい面白い。
この作品、ほのぼのしたシーンや、シリアスなシーン、下手するといるかどうかさえ微妙なところまで含めて、ちょいちょいお色気シーンを混ぜてくるんだけど…その1つ1つのお色気シーンを強くすることで、シリアスが多めな中でもキャラのかわいさを楽しんでいる層も蔑ろにしない絶妙なバランスを取ってる。
シリアスを増やしている時はお色気やかわいいシーンを強くて業が深いものに
逆にほのぼのしているなら、シリアスで怖いシーンは強いインパクトをだして
…緩急の付け方が絶妙で、話が変わっていても、バランスよく印象に残る描き方がされている。
例えば…中華料理って香味野菜も、調味料もニオイが強いものが多いけど…アレがあるおかげで肉や魚の癖が強くても、「中華」というカラーを維持できる。
強いものと強いものでうまく打ち消し合ってバランスをとるように設計されてる。
もうちょっと簡単に考えるなら「スイカに塩をかけると、かえって甘さが引き立てられて美味しくなる」みたいな理屈でもいいかも。
要するに、「緩急」がついているから難しい話も飽きずに楽しめるし、緩急をつけるためには緩める方も、急する方も手を抜けない!!
そして、緩も急も一流の作者がマンガを描くと…シリアスがすごくなると、かわいいシーンも業が深くなっていき、どんどん超絶技巧の見本市みたいになっていく。
3巻は…ホンマにすごい。
深読みすればするほど答えてくれるような懐の深さがある。
頭使って読む作品ではあるけど、逆に何度読んでも発見があって飽きない。
しかも、新しい伏線も出てくるから、ますます目が離せない
気になったのはこのシーン。
記憶のなく、ループに関する謎を解いてないはずの生徒が…さやか達がいる入るのも難しいところに入ってきて、銃を突きつけてる。
これ、1巻2巻を読んでいる人なら「あれ?」と思うシーンなんだけど…3巻ではここが「次への伏線」として解決されないまま続いている。
あと「罪状」って言い方も引っかかる。
誰が何を罰するのかが、どういうルールがなんなのかが全く見えない状況で「罪状は」「ルールだからね」と言ってる。
つまり、この話にはまだ続きと明かされていない部分が3巻終わった時点で、1巻から引っ張ってきた謎があらかた解けた段階でもまだ残っているということ。
いや、むしろ、「謎がわかったことで謎がさらに深まった」というべきかな?
うーん…続きが読みたい。
1巻から絵がうまかったけど、3巻でますますうまくなってる…。
絵の持ち味を維持しながらも表情豊かで、それでいて雑味が取り除かれて見やすい絵になってるようなきがする…。(※あくまで絵を描けない人間なので、感覚的にしかわかんないけど)