はじめに
いかにも、相手がいる既婚者か、婚約者のいるアツアツカップルみたいなタイトルだが…ぼくは独身だし、彼女もいない。
しかし、とあるきっかけで女性と結婚式場の見学に行くことになった。
そこで、ぼくには相手もいないのに、結婚する時にするであろう覚悟を決めるという不思議な事態に遭遇した。
これは、その時のレポート。
もし、結婚をお考えの方、グズグズなお付き合いを続けている方がいらっしゃったら式場見学や恋愛の距離の詰め方を参考にしてもらえると、ありがたい。
そして、この記事自体がすごい面白いから、最後まで読んでほしい。
長いけど、絶対に読んで損のないすごいストーリーなので、頑張って読んでください。
きっかけと動機
ぼくはバチェラージャパンというAmazonプライムビデオでやっている婚活サバイバル番組を、毎回感想と特定したロケ地をブログにまとめるほどの熱心なファンである。
バチェラーが「婚活サバイバル番組」と銘打つ番組だけあって、作中ではいくつかの美しい結婚式場がでてくる。
それらのロケ地を調べ続けた結果、結婚式場に憧れを持つようになった。
しかも、偶然にも友人の中に結婚式場をこれから見に行く人がいて、その人にバチェラー仕込みの知識を語ったところ「結婚式場に詳しいね」という話で盛り上がったため、ますます結婚式場を見てみたくなった。
加えて、ぼくと仲良くさせていただいている経験豊富な女性【Kさん】から
「関係がまだできあがってなくても、結婚式場に一緒に行けばムードに妄想が膨らんでやる気になる。だから、行ってくればいいよ」
と、女性を落とす悪めのテクニックとして、結婚式場にいくことを提案されてしまった。
色々な友人との話が進んでいくうちに、結婚式場への憧れをさらに強く持ち、事あるごとに結婚式場へのあこがれを周囲にやんわりと語っていた。
すると、Kさんとは別に、ぼくの片思いしている女性から、「結婚式場の取材ってことならお手伝いします」というお話をいただくことができた。
潜入取材が目的とは言え、ぼくは片思いの女性と式場に行く方向で調整することとなった。
今回、彼女は遠方からくることになっていたから、少しでも負担を減らすべく式場の予約の段取りをぼくが買って出た。
男には、一度ぐらい式場見学の予約をさせたほうがいい
式場予約には 「ハナユメ」という式場予約サイトを使った。
ハナユメというのは、式場探しサイトの1つで会員登録すると式場の予約ができたり、そこを経由するとサイト特典として割引が受けられる。
しかし、…これがかなりのクセモノだった。
簡単な会員登録をして、日程を押すと、ネット上での予約は完了し、確定を待つばかりとなった。
「あれ?簡単じゃん」
と思ったら、翌日、電話が来た。
「予約が確定したのかな?」
と思ったら、すごい勢いで営業された。
その時に、式はいつかとか、なんとかいろいろ聞かれたが…それは…「1会場目でイメージ作りをしたくて」という返した。
「ハナユメ」から折り返し電話で会場の希望は伝えたが、式場からの連絡はなかなか来ず、ネットで予約して3日後にこちらから式場へ電話した。
しかも、彼女が遠方から来ることになっていたから、急いで連絡を入れた。
「急いで」と言っても、普段は飲食店の式場だから…「ピークの時間は外したほうがいいな」と判断して、夜遅くに連絡したら、コレが裏目に出た。
式場になるぐらい高級なお店なら、電話番・ブライダル担当それぞれがいるのに、庶民的なお店と同じ感覚で夜にかけたところ
「担当者は帰ってしまいました。明日は不在なので、明後日にかけ返します」
というお返事をもらった。
普段なら確認が雑なぼくも、好きな女性に迷惑をかけたくないし、気が変わってやめられても凹むから、食い気味に
「どのぐらいの時間帯ならいますか?」
「いつ、電話をもらえますか?」
「誰にそれを聞いたと言えばいいですか?」
みたいなことをグイグイ聞いた。
そりゃそうだ。
ぼくのために遠方から式場を見に来るためだけに上京するなんて、無茶なことをしてくれるのだから、いつ機嫌がかわってもおかしくない。
そこは結婚式場の問題ではなく、これが「取材」という名目だからこそ、肝が冷える思いで、明後日の返事を待った。
ちなみに、悪女のKさんは、一緒に行ってくれる女性が、片思いの人だと聞いて
「取材で、片思いで…はわかるけど、ほしいと望まないものは手に入らないんだよ。」
と、念押しされた。
手を出す時間もないほど彼女が過密スケジュールだから、チャットの向こうで苦笑いしつつも、
「そうか、ムードな場所に一緒にいるんだから、もっと心の底から楽しんだり、欲しがったりしていいんだよね!」
と、取材熱なのか、彼女への気持ちなのかわからない熱気を頂いた。
さてさて、式場からの電話に戻る。
これがかなりスタミナを消耗するイベントになった。
知ってた?式場見学の本当の目的は見積もりを作ることなんやで???
正直、式場へ確認の電話をした時は3分以内には終わると思ってた。
ところが、3分どころか、1時間以上の長電話になった。
なんでこんな事になったかと言うと…「見積もりを作りたい」という話になったからだ。
ぼくはさんざん
「いくつかの会場を見に行く1会場目」
「式場を見に行きたくなるようなきっかけがあったから【だったら】という話になっただけ」
「相場もわかんないし、相手のいることだから決めきれてない」
と、【見積もりなんてとんでもない】と言わんばかりの逃げをしたが…とにかくグイグイ来た。
グイグイくるにはわけがある。
式場には、カップルを囲い込むための「当日割引」というものがある。
結婚式場を見たその日にそこで式を上げることを確定させると、割引のつく制度があるため、「当日に決めてもらう気」で凄まじい営業をかけるべく、なるべく情報を聞き出そうとすごい勢いで色んなことを聞かれた。
相場としてはいくつか見学することが推奨されている。
だが、実際にはある程度本命は決め打ちしつつ本命以外を見ながら、イメージを膨らませて、本命のところに行って当日予約…というのがお得らしい。(既婚者情報)
しかも、結婚式には繁忙期の春・秋に加え、平日か土日かで料金も変わってしまう。
更に、ここで「大安吉日」か「仏滅でもいいのか」まで出てくるので、そこまで打ち合わせをしてなかったぼくは、
「この会場でやるからには、熱すぎ・寒すぎのシーズンは避けたほうがいいから春秋にしましょう」
「母がスピリチュアルなことが好きな人だから、仏滅は避けて」
ぐらいなことしか言えなかった。
ちなみに、春先の大安吉日の土日…2019年の春シーズンでは、92日の中になんと6日しかない!
そこは取り合いになるから最も高い。
予算関連のことは「新婦と相談します」的なことが多かったが、ぼくがガッツリ答えられることもあった。
それが
「式場の候補にどんなところを選んだか」
という質問。
これは割とグイグイ来た中でもちゃんと答えられた。
ぼくのイメージは他人の自慢話・思い出話何か聞かされても退屈だし、彼女が東京に馴染みのない人だから「東京っぽいところ」「結婚式らしい特別な感じが会場ににじみ出てるところ」というチョイスをした。
彼女から
「式場候補を5つ選んで、私に見せて」
と言われてた、ぼくは5つ自分の趣味と変なところを混ぜて選んだ。
選ぶプロセスを説明する中で
「ぜんぶおしえてもらえませんか?」
と電話先の式場の方から詳しく聞かれたため、全部答えた。
ぼくが彼女に見せたくて選んだ式場はこの5つ。
1つは麻布の緑豊かなガーデン併設の式場「パラッツォ ドゥカーレ 麻布」
1つはお台場から海と都心の風景が見渡せる式場「ザ コルトーナ シーサイド台場」
1つは恵比寿の小規模な式も挙げられる建物がオシャレな式場「ロザンジュイア広尾迎賓館」
1つは目黒にある千と千尋のモデルにもなった式場「目黒雅叙園(ホテル雅叙園東京)」
そして、今回行くことになった「レストランルークwithスカイラウンジ」である。
築地駅から徒歩5分のところにある高さ200メートル以上からの景色と、レストランならではの上質な食事が楽しめる式場だ。
こだわりだけはっきりしていることについて
「ぼくらが先に決められることだからね〜結婚式は来る来ないあるし、予算は周りとのことや支払いのことがあるから、自分らではっきりできる希望だけはしっかり決めました」
的なことを返した。
そんなこんなで、ぼくはげっそり。
おしゃべりなぼくが1時間〜2時間のトークで、げっそりしたのは人生で初めてかもしれない。…そのぐらい知恵熱がでて、おかしくなった。
一般に結婚式は女性の方が熱心で、式場予約なども女性がリードしてしまうことも多いそうだけど…1回ぐらい男にやらせたほうがいい。
男は結婚式の大変さを知恵熱出しながら学んだほうがいい。いや、マジで!
式場に行く前に相談所に行くと、この手間暇が少し、省けます。
あるいは…今まさに結婚式場を選んでいる友人の意見を聞く限り、一度相談所を経由して、きちっと相談して会場の絞り込みや聞かれそうなことなどをある程度準備して、カップル同士で相談しあってから行ったほうがいい。
今回についてはハナユメさんは「急いで式場見学の予約を取りたいのに…結局自分で電話するのかよ〜段取り悪いなぁ。」と感じてしまった。
しかしながら、
・新郎新婦の間で必要なすり合わせ
・式場選びの手間暇、候補選び方
・式場予約の煩わしさを省略する
など、後々やらないといけないことを、スムーズに行かせてくれる上で大事なのは、むしろ式場に行くことではなく、一度相談所を経て、準備をすることだそうな。
というわけで、段取り良くやりたい人は、先にお近くの相談所がおすすめ。
ハナユメ 無料相談デスク
色んなやり方があります。
式場まで自分で行って、直に話を聞きながら決めていくのもいい。
相談所の方とすり合わせて、式場で聞かれる質問や用意してくれそうなことにある程度「当たり」をつけて効率よく回るもよし!
そこは…好みというか、お互いの性格の問題なので、相手がどっちが前のめりになって参加するかを考えながら選ぶといいと思います。
プロポーズはされたんですか?←相手彼氏おるわ!
見積もりや式場の好みとは別にこんなことも聞かれた…という話を1つ。
今回の目的は潜入取材。
取材目的での式場見学で、ぼくが一番困ったのは関係の進展っぷりについて色々聞かれたこと。
「籍は入れましたか?」
→遠方同士だからいま籍を入れてもそんなに意味をもたせられないかと思い、やってません。
「ご両親同士を会わせましたか?」
→(会ってないというのも変だから、)ぼくらはお互いの両親を知ってはいるけど…両親同士をガツッと合わせたかと言うと…会わせてないですねぇ…
…実際のところ、彼女の両親を知らないから「あ、予習しなきゃ」という感じになった。
思わぬ形で、片思いの相手の家庭事情を聞くことになったのは、喜んでいいやら、申し訳ないやらだが…そんなことはコレに比べると些細な問題だ。
「プロポーズはお済みですか?」
→(心の声:片思いやって!!事あるたびに「好き」って繰り返して、多分3桁は言ってるよ?そのたびに、迷惑そうに恥ずかしそうに笑みを浮かべてるのを見てきたよ?でも、相手おって、好きが支配欲突き抜けて慈しみと忠誠心まで到達しちゃってる彼女にプロポーズなんてできるか!!!!!)
…もう、自分の恋愛経験駆使して、煙に巻いたね。
「大人の恋愛って、告白とかプロポーズとかしないから、なんかなし崩しなところがあるじゃないですか?」
「ぼくからプロポーズらしいことをプロポーズらしくは言ってないですね…彼女の中で【ずっと一緒にいようと決めた言葉やそういう瞬間】はあるかもしれないけど、プロポーズ…プロポーズですかぁ…」
とかなんとか言って、色々逃げ回った
ここの気が動転したトークだけで、俺は10〜20分ぐらい時間を潰してしまったかもしれない。
そして、このやり取りをしたあとに、悪女のあの言葉を思い出す。
「結婚式場に女の子と一緒に見学に行ってごらん。女の子がその気になるから」
プロポーズなんて考えたこともないこと言われて、俺がそっちの気で頭がオートマティックに回転してしまっとるやんけ!
結婚式怖いわ〜。男の逃げ道をどんどん閉鎖していくからほんと怖いわ〜
憔悴しきったぼくは、午前中に電話をもらったあと、午後にはいつもの作業が手がつかずに、夜に彼女にチャットで連絡した。
すると…ここから、もうひと悶着あった。
もし、彼女と結婚できるならぼくは命をがけで、母と和解しないといけないんだなぁ〜
取材する上で、設定を詰めないといけないため、彼女の両親や挙式の希望を聞いた。
すると、予算や式のイメージがぼくよりはかなりしっかりしていた。
中でも仲間の思い出つくりよりは、親御さんのために式を挙げたい…というカラーが、ぼくなんかよりも明確に鮮明にあって…相手がぼくじゃないのに、彼女の覚悟のほどを知ってしまったがために、すごく考えさせられた。
「考えさせられた」という言葉は小学生でもよく使うよくわかっていない人の常套句だが…今回に関しては、かなり本気だ。
このブログの熱心な読者はぼくが母親から発達障害の理解をされず、躁うつ病になる時にトドメの一撃を母親から食らって、母親をたいそう恨んでいるのは知ってるかと思う。
同時に、父親はすごい尊敬して、今も父とはキチッと会って相談していることも、知ってるかとは思う。
その極地とも言えるスタンスが
「母が孫の顔を楽しみにしているから、式にさえ呼ばない。
孫がどうこうとか言ってるあのメルヘンと見栄でできたバカ女に人生最大の恥をかかせてやる」
「両親と和解しろという女だったら、どんなに好きでも、俺の嫌がることを平気でさせる女だから分かれる」
というもの。
…だけど、実際好きな人の結婚式で「家族とのことを大事にしたい」なんて言われた途端に、ぼくが10年ぐらい抱き続けた憎しみの感情が、反転した。
「(あくまで、その場の設定だから実際には結ばれないけど、)あなたと結ばれるために必要なら、ぼくの中にある煮えたぎった怒りを全部捨てて、ぼくは親と和解しないといけない。そして、それは今この瞬間…こんな話をしてしまったあとならできる気がする」
ぼくが風光明媚な結婚式場にこだわったのは、奥さんに喜んでほしいからであり、支えてくれた仲間と父親に少しでもお礼の形を示したいからであり、みんなが語り継ぎたい式を挙げたのに自分がハブられたことを母がバケて出るほど悔しがってほしいからだった。
彼女と同じぐらい好きになれない人なら、ここまでの気持ちにはならないし、そうじゃなくていいよという相手と結婚するなら、ぼくは母親とは絶対和解しない。
何度も言うけど、ぼくは彼女に対する好きが、エゴやリビドーを突き抜けて、慈愛と忠誠心まで行ってしまったから「ぼくにできることをしなかったがために、彼女を悲しませたくない」というところまで感情が振り切った。そのため、スタンスを一時的に捨てる覚悟までしてしまっている。
「ああ、これが結婚する男の覚悟なんや」
自分の欲望と相反する女性ができてしまっても、結婚式の打ち合わせを通じて…アレほどいやだったのに、ぼくが母親と和解する決意すら固められるんだ…。
そういうことが、今回のことでわかってしまった。
くどいようだけど、これは取材のための設定の作り込みなんだよ?
でも、お互い嘘が少ない設定を作るために腹を割って本当のことを話すうちに、ぼくは
「このまま挙式まで進んでいくなら、ぼくは母親と和解すべくすごくがんばるんだろうなぁ〜」
というイメージまで描いてしまってる。
同時に、彼女のガチ感がひしひしと伝わってくるせいで、
「結婚する男が、身を固めるとは、こういう気持ちの整理をしていくのだな」
と、まだ式場に行ってもないのに数々の手続きと、カミングアウトを経て…そうなってる。
偏屈で頑固者のぼくの、譲れない部分を変えてしまうぐらいに、彼女はすごい人。
そして、結婚式にかける女性の熱意にぶつかった時の男って無力だし、無敵になれるんだな…と、昂揚感と決意に満ち溢れている。
取材としては理想の形。
しっかり者で、自分なりの挙式プランを持ってる彼女と、式場の予約をきっかけに腹を決め始めたぼく(男性役)。
しっかりものの女性と、おもしろい担当のちゃらんぽらんな凸凹カップルが、即興コンビとは言え、最高に完成した。
式場でよくありそうな光景でかつ、式場に行くまでにしそうな心づもりまでしちゃってる。
アニメオタクが聖地巡礼に行く感覚で
「バチェラーに出てくるような風光明媚な式場の雰囲気と、上質な料理を味わってみたい」
ぐらいの軽い気持ちで始めたのに…。
世の男性がどうなのかは知らんよ?
ぼくぐらい…女の子の手の上で転がっている人ばかりじゃないかもしれないよ?
でも、世の女性で、関係のグズグズ感に悩んでいる人はやってごらん。
もし、相手の気持ちが恋を突き抜けて愛になってたら…ちゃんと腹を決めるから。
(式場見学編に続く)