Newspicks読んでたらこんな記事が上がってた。
なぜシアトルで巨大企業が生まれるのか?
こういう記事は日本の地方都市でこそ書かれるべきだと思うんだけどなぁ…。
東京発の企業ももちろんあるよ?でも、日本は地方都市から世界的な企業がけっこう生まれるし、だからこそ能力のある人は移住したほうがチャンスが広がることだってある。
自分としては、出身地だから神戸を推したいけど…平成になってから活躍している企業は京都が多いから京都を推したい。
「出身地だから」と言ったけど、神戸だって巨大企業が生まれやすい街だ。
特に食品や小売、製造業では有名な企業がかなり多い。
…ITやITに絡んだ企業、平成になってから伸びてきた産業に絡んだ会社があんまりないんだけどね。
その点、京都は任天堂・京セラ・村田製作所といった新しい産業とか、ITに絡んだ製造業が強いから、平成になってからガッツリ伸びた企業が多い。
だから、シアトルみたいに「ここ30年ぐらいで勢力を伸ばした巨大企業が多い街は?」というと…京都になるかと思う。
東京と近すぎると、天下を取りにくいが遠すぎるとローカル路線になりがち
ゲームでも司馬遼太郎でも何でもいいんだけど…戦国時代について調べた経験がある人なら
「都に近すぎると勢力が伸ばしにくく、遠すぎると上洛する力をつけるだけで大変。雪国だと1年のうち半年しか領土拡大ができないから不利。その点、織田家は都とちょうどいい距離感にあったから天下が取れた」
なんて話を聞いたことない?
確かに織田家よりも領土が広くて、戦が上手な戦国大名はいたわけ。
ところが、毛利家・武田家みたいに領土を拡大させているうちに寿命が来て亡くなってしまうか、伊達家・北条家みたいに領土拡大しているうちに織田家に先に京都を取られて不利な立場になるわけ。
一方で、都に近すぎると…今度は勢力拡大しづらい。
せまい領土の中に優秀で攻め落とすのが難しい戦国大名がひしめいていたり、やたらと宗教勢力が強かったりするからね。
戦国時代に限らず、日本史って倒幕する勢力が、都市から影響を受けすぎず、1年中活動できるところから勢力を伸ばして、最後は旧体制を打ち砕く。
現代のビジネスの世界でもそれがいて、東京はさえとれば天下が取れる半面、動き出す最初のコストが高く競争も激しい。
かといって、あんまり遠いと…それこそ、北海道だとローカルでいい企業・独自の文化はあるものの、次の展開が描きにくいから北海道ローカルの大きな企業は多いけど、全国区・世界規模の巨大企業は育ちにくい。
都会から近すぎず遠すぎずな場所・文化圏となるとアメリカだと西海岸で、日本だと関西になる。
関西圏で巨大企業が生まれる主な理由
・東京の人と競争しなくてもその都市で成功すればなんとかやっていけて、
・日本トップクラスの人材をそろいつつも、官公庁や財閥・官製企業との争い少なめで獲得できて、(東大生はたしかに優秀だけど、東大閥の組織にグイグイ引っこ抜かれていくから美味しい人材が市場に出てきにくい)
・家賃を含めた生活コスト・活動コストは東京の半分で、車がなくても生活できないでもなく、
・東京に行こうと思えば、2時間そこそこで行けるから大きくなれば進出もしやすい。
・首都圏ほど行政がでしゃばってこないから、ゆるい/力を持つと発言権を持ちやすい。(コレ、地味に重要)
・一応、「都市」なので文化水準が高くてオシャレなものが発信できる
・地方とは言え、ある程度都会だから、田舎特有の閉鎖的でバカバカしい伝統が少なく新しいことを発信しやすい。(山奥・雪国・九州は不文律で遅れていたり、閉鎖的なところがあるから新しいことに対する抵抗勢力がいて、地元の人に向けた仕事をやると全国区に拡張しづらい)
京都って、これらのカラーが如実に投影されてる。
製造業の方では、企業に務めながらノーベル賞取った島津製作所の田中耕一さんとかいる。(※田中さん本人は東北大出身なんだけど、ノーベル賞取った研究につながってくるようなことは島津製作所の中から生まれてる)
京都発の企業を調べていくと女性向けの下着メーカーとして有名なワコールや、女性から人気の高い通販のニッセンが京都。
行政との関係で言えば…任天堂は経団連にも入ってないし、天下りも受け入れないで自主独立を維持しているせいで、ちょっとでも業績が悪くなると日経新聞からすぐバッシングされる。
優秀な人材が取れて、なおかつ文化水準高く、うるさい人達から距離が置きやすいこそ生まれてるような企業が生まれる。
東京一極集中だからこそ、逆にチャンスは大きい。
アメリカの西海岸では、シリコンバレーにせよ、シアトルにせよ家賃が高騰して大変なことになっている。
記事でもそこが問題点として挙げられていているし、定期的に家賃の高さや渋滞についてはニュースになってる。
アメリカ人の優秀な人は日本人とは比べ物にならないほどハイかローかだから
「だからって、カンザスあたりに引っ込んだらお前未来ねーぞ」
って話なわけだし、アメリカ人もその辺心得てるから儲かってるところに集中するわけだ。
でも、日本はその辺事情が違う。
家賃がすごく高い関東首都圏から関西に来ただけで家賃が半分になる。
ど田舎になると…住み続けたら家をくれる自治体まであり、たまにテレビとかで特集されてる。
しかも、東京=ジャパニーズ・ドリームってわけでもないし、よしんばそうだったとしても、年収1%は先進国の中ではかなり安い方に入る。(年収1300万円で1%だそうです。商社マンか、テレビ局かで勤め上げるか、外資系で一山当てるか、国会議員になると上位1%になれます。)
大金を得る手段自体が少ない代わりに、みんながまだ東京に集まってる現在は、地方都市はお得。
「地方なんて、車がないと過ごせないじゃないか」
なんて言われるけど…車がなくてもそんなに困らないところでさえ、家賃が半分になるし、物価が安くなったりと、各種インフラが揃ってて競争相手がぐぐっと減るからお得。
ここまでは、いろんな業種に言えること。
ここからは、もっと地方でも行けるITのお話。
というのも、日本のIT事情はその辺が如実に出ていて、話題のサイトを作った人が地方に住んでることもちらほら。
例えば、Monappyという仮想通貨を投げ銭できるSNSを作った剣ヶ峰Pは長崎県の人。(長崎県は、人口が47都道府県の中で30位で、アメリカでいうとカンザス。カンザスって51州のなかでちょうど30番目の規模なので。)
ブログ界の有名人としてはイケダハヤトさんが高知県に移住したことが有名だけど…アメリカの州で人口45位はデラウェア州だからね?全米で唯一民間の空港がないデラウェアに相当するから。(自家用ジェットが着陸するところはあるけど…)
これは極端な例だとしても…IT関係の移住者が多くて話題になってるのは関西でも名古屋でも北海道でもなく福岡なんだよ。
国内外にアクセスが便利な空港もあって、家賃も安くて、コワーキングスペースも同業者も充実してて…実際にぼくの知り合いのIT業界人も神奈川から福岡に移った人いるし。
…地元の人に向けたビジネスは田舎に行くほど価値観が独特だからおすすめできないけど、ITの場合は別に地元の人に向けなくてもいいし、インフラ面や人のネットワークがきちっとしてるかどうかが大事だから…地方でもチャンスあるのよね。
そういうわけで、日本の地方はまだチャンスが多い。
逆に東京でたくさんもらえてハードワークな企業に勤めても…案外もらえないし、上を目指そうとすると初期コストがお金でも人材でもお高い。
もちろん、「能力のある人は」とか「一山当てたい人は」という枕詞はつくのだけれども…そういう人は、東京を目指すのではなく、関西や他の地方都市からスタートするのは十分ありだと思う。
商社マンでもテレビマンでも外資系でも国会議員でもない人しそもそもそこが狙えるほどでもない人は、敢えて別の山から登ってみるのはいかがでしょうか?
ブログやITのいいところってまさにそういうところで、どこでだってできること。
どこでもできるからこそ、地方からでも人気ブログ作れるし、地方にいるからこそ地元の情報はライバルが少なくて有利に立てる。(逆に東京でしか作れないブログの方が少ないし、それでてっぺん取るのは大変)
地方在住の大学生とか、主婦とか、仕事が早く終わるから時間持て余してる人は…是非アフィリエイトやるといいよ。都会にいないことが不利になりにくい分野だし、始めるのは行動力1つだし。