最近、女性の方と恋バナとかヲタトークすると…この話にたどり着く。
「男性向け作品では、女性向け作品ほど恋人がいることが当たり前じゃありません。だから、付き合ってからのほうが大変なことがわかんない人が多いですし、付き合うまでが恋愛だと思ってる人が…多いです」
昔に比べると緩和されてはいるんだけど…それでも男性向け作品では「彼女ができるまで」のことを描いている作品のほうが圧倒的に多い。
この問題、意外と女の人に言うと「へぇ〜」と言われる問題で、どうやら気づいていないことだそうな…。
異世界転生したがる男と、こじれた海外ドラマが好きな女
すごくざっくりいうと…
女性向けの作品は
「ろくでもない彼氏がいて、別れて(振られて)新しい自分を生きていこうと思ってる」
的な話のほうが多くて、男性向けだと
「あー彼女欲しい」→「新しいこと始めたら、自分が始めた趣味で美人と出会った」→「その子ととが気になって仕方ない」
的な感じの話が多い。
だから、付き合った時の苦労とかわかんない作品多い。
落ち着いて考えてみ?
交際相手に対して理性が保てなくなるのは「ヤッてから」だし、「相手の悪いところが見えてから」だし、「自分の仕事・趣味と交際が両立しにくくなってから」だから…それらのトラブルがない作品は…憧れに近いんだよなぁ…。
ちなみに、女性に海外ドラマが好きな人が多い理由もこれ。
邦画や日本のドラマは、ゴリゴリに付き合ってる最中の恋仲の主人公って少なくて、結婚している人か、恋人がいないから一緒に仕事や趣味を乗り越えて付き合う(ところで終わっちゃう)作品が多い。
一方、海外ドラマは…付き合って・こじれて・仲直りして・仕事と恋人の間で板挟みになって…みたいな作品が多いから、すごく多い。
ぼくが好きな作品でいうと、メンタリストやスーツ辺りが恋路でしょっちゅうこじれてる作品だから、女性ファンが多いと思う。ハッカーの陰キャラが主人公だから女性人気は低いと思うけど…Mr.ROBOTも恋仲がこじれ倒してるから…女性に見せて好きな人は意外といると思う。
男性向けのマンガやアニメって、「昔の女」とかほとんど出てこないでしょ?
海外ドラマだとしょっちゅう出てくるけど、特に有名どころで出てくる作品って、本当に思い浮かばない。
逆に女性の間で、ライトノベルとかにありがちな「異世界に行ったらモテモテになった」的な話は…ないこともないだろうけど、少ない。
環境を変える話よりかは「自分を変える過程で環境も変わる」という考え方の作品の方が多い。異世界転生みたいに「何か知らないけど環境がごっそり変わった」というタイプの作品よりかは、「環境を変える決心や行動も自分が変わろうとしてないとできないんだ」ぐらいの作品が多い。
顕著なのは六多いくみ先生の作品で…長期連載していた「リメイク」。
この作品に限らず、この人の作品はなし崩し的に続けていた派遣社員をやめ、美容の世界に飛び込んでいくところから話がスタートする作品が多い。
他にも、凪のお暇というマンガ大賞2018で3位に輝いた女性向けの作品でも…OLをやめて、彼氏とも別れて新生活をスタートすることで自分を変えていく。
いい方でも悪い方でも「環境を変える、すごい人に出会って変わっていく」というのが、女性向けの作品で、ぼくにはそちらのほうがリアルに見えるから…男が読んでるマンガやノベルを女性に紹介する時、すごく作品を選ぶ。
じゃないと恥ずかしいもん…。
女性が作品の中で重要だと思ってる部分を男性目線で語ることができてる作品、それがなくても十分に面白い作品を探さないと、ちょっと恥ずかしいもん…。
少年誌やヤング誌を読んでる10代の若い男からすれば、
「女子みたいに、年上から言い寄られたり、恋バナしたりしないから、恋愛に興味持つのがもっと先で、恋人なんて現実感ないんだよ」
と言いたい気持ちも、わかんなくもないよ?
ただ…20歳・30歳になっても、少年のハートからあんまり進歩してない作品ばかり見ている人・求めている人を見ると、
「幼稚なくせに、好奇心旺盛じゃないという悪い意味での子どもっぽさを感じる」
ということを、同年代のオタクに対して思うようになってる自分がいる。
恋愛の話だけできればいいってもんじゃないけど…違うところから面白い作品を取ったり、より自分の実体験をフィードバックする意識を持っていたら、女性向けや青年誌の中でも濃ゆい恋愛観が読める作品を探したりするだろうに…。
なぜ、名探偵コナンは女性人気が高いのか?
逆に
「有名な少年誌で連載されてる作品で、恋人がいて、交際している人ならではの悩みが作中に出てきて、【昔の女(男)】が出てきたり出てこなかったりする作品は?」
と言われたら…名探偵コナンがそれに当たる。
コナンって冷静に考えるとすごい作品で…主人公に彼女がいて、初期は割と忠実にラブコメっぽい話が多い。
ヒロインの毛利蘭はぐーたらな父親の世話を焼くけっこうなファザコンで、父が離婚している関係で…「昔の女」がしょっちゅう出てくる。
服部平次なんか、幼馴染の遠山和葉をずっと腐れ縁のじゃじゃ馬扱いしてるかと思いきや…映画「迷宮の十字路」を見ると…実は初恋の相手で、作中で和葉が平次を追いかけているように見えていたけど…深層心理的には両思いというややこしい関係。
そう、コナンってすごいんだよ!!
海外ドラマ顔負けにこじれた恋愛関係を一通り網羅しているのに、男の子達の夢と妄想を詰め込まないとウケないとされる少年誌で、ちゃんと成功している。
週刊少年サンデーは、元々女性ウケのいい作品多いんだけど…それでもコナンに盛り込まれた要素って、女性向けの作品を含めても恋愛関係の業の深さが尋常じゃないんだよ。
なにより主人公のコナンがしていることって…ものすごく業が深いからね。
(自分だと認識はしてくれてないとはいえ)一緒に住むことと、「会うことのできない彼女の恋心をつなぎとめ続ける」という遠距離恋愛と同棲を同時にやってるから、「こんな作品ある?」って話なわけよ。
意外と、誰もこういう言い方でコナンを切り取る人がいないし、コナンの連載がスタートして24年が経過しているけど…遠距離恋愛と同棲を同時にやってる主人公がでて、なおかつ人気になった作品って、ないかもしれない…。(探せばあるだろうけど、ちゃんとウケる形で業の深いものを読ませることのできる技術があったのは、青山剛昌さんだけかも…。)
ぼくは子どもの時にたまたまテレビでやってたのをきっかけに、おとなになってコナンを見返したり、歴史を調べたりしているうちに「もしかしたら、コナンみたいな軌跡をたどった作品、コナンに類似する作品って、ないんじゃないか?」と思うようになったけど…あまりにも何気なくありすぎて、すごさに気づいてない人が多い気がする。
ある意味、男性が一番手に取りやすいこじれた恋愛関係が読める作品はコナンなのにね〜。
「コナン全部読め」はハードルが高すぎるので、最近始まった名探偵コナンのスピンオフ作品を紹介しておる。
安室さんってコナンのすごさを詰め合わせたキャラクターなんだよね。
気配り上手なモテキャラであり、中二心をくすぶるハードボイルドでもあるから…読んでて「あーこのキャラはヤバイ」ってなるよ。