非常に安定感が遭って読みやすい作品でした。
野球ファンの俺にとってはかなりいいマンガで
「みんながやりそうでやらない、絶妙なチョイスをしてくるなぁ…」
と思いながら読ませてもらいました。
あらすじ
小学校時代からの幼なじみ同士が、野球選手とそのお嫁さんとして夫婦生活を送るお話です。
野球選手の帷子ユウリはプロ野球選手の中でも大柄だけど、メンタルが弱いヘタレ。プロ野球選手の中でもトレーニングバカなタイプ。
で、帷子しずくの方も野球のことはけっこうズカズカ言うんだけど…「イチャイチャしたい」という夫婦としての部分は言い出しづらいことが多く引っ込み思案になってしまう人。
つまり、けっこうな似た者同士。
お互いが相手のことを好きなんだけど、気恥ずかしさや引っ込み思案な性格からうれしはずかしな空気感がマンガ全体でたまらない作品となっている。
だからこそ、お互いに家庭内では独特の空気感を出している。家に変えると全力でヘタレモードになるユウリと、かえってかわいく見えてしまうしずくと…。
設定が活きててええでしょ。
作者とおっさん臭さが全力で詰まったラブコメをくらえ!!!
この作品、野球が好きな人にはすごくチクチク刺さってくる作品で…ラブコメにちょいちょい野球ネタ盛り込んでるんですよ。
例えば、こんなのとか
ラブコメとしては軽薄なおっさんノリみたいに思えるだろうし、野球好きな人からすると
「おーそういうふうにさしてくるか」
という小ネタがちょいちょい刺さってくるんですよ…この作品。
軽薄なネタかと思ったら、ガチっぽいのもあって…こういうのなんて思いつきそうだけど、ラブコメにぶちこまないよね。
野球選手の嫁って、2パターンある。
イチローの嫁さんみたいにブレイクしてから一緒になって期待されているサポートを影でこなしてるタイプと、中村紀洋とかアレックス・ラミレスの嫁さんみたいに無名時代から二人三脚でやってるから嫁もすげー野球に詳しいというパターン。(まぁ、ラミレスはアメリカ時代から寄り添った嫁さんと離婚して若い子と再婚しているんですが…)
野球知らない人からすると
「こんななんJみたいな女いるか!!」
と思うかもしれないけど、野球好きな人からすると
「確かにおっさん臭いし、ギャグマンガにするためのデフォルメは入っているけど…言ってることや関係性は野球についてちゃんと調べると、いい線いってるのでは?」
というリアリティがほどよくある作品。
女子野球を描いた「球詠」というマンガの作者もそうなんだけど…ここ最近の野球要素と萌え要素を融合させたマンガって…女の子がおっさん臭いと言うか、なんJ民が言いそうなことを言ってるから「ラブコメとしてはゲテモノかも」と感じるところはある。
でも、野球オタクな部分がにじみ出てくるぐらいのほうが野球を扱う作品としては面白くてですね…信頼できるし、野球と萌え要素をうまく融合させた作品にしかできないような仕上がりになってくる。
事実、作者のあとがきにこんなのがあって…野球ファンの俺の中ではかなり刺さった。
野球ファンあるあるじゃねーか!!!
説明しよう!!
野球ファンあるあるとは…野球ファン同士が集まると昨今の野球情勢や同世代で盛り上がって本編そっちのけのトークが繰り広げられる野球ファン同士の悪しき習慣である。
しかしながら、悪しき習慣とか言いつつ、野球ファン同士で盛り上がると本編の打ち合わせがうまくいくし、距離感がぐっと近づくため、野球ファンも「ダメだなぁ〜」と思いつつ辞めることができないのだ!!
ちなみに、アラサー野球ファンが集まると
・懐かしの近鉄の話
・最近変わった野球のルールの話
・昨今のパ・リーグ情勢(マイナー球団のファンが混じってると、そっちの話に引きずり込まれる)
・阪神タイガースとはなんなのか!?
というのが多い。
ちなみに、私がよく会う野球ファンはやたらネガティブな西武ファンと、もう開き直ってるロッテファンがいて、ぼくはなんとか評価されてほしいオリックスファンなので、間違いなくパ・リーグの話になる。
セだとDeNAファンなので…巨人ファンとのトークに親和性が高いよ。(横浜って、巨人OB、巨人の準主力選手の天下り先みたいなところあるし…)
話逸れまくってるけど…ちゃんと必要なこと言ってるから最後まで聞いてね。
野球ファンって、独特のおっさん臭さとオタク臭さがあって…それがキチッとある野球ファンは偏りや守備範囲はあれどどこかしらの野球にすげー詳しい人なんだ。
そういう人が野球のマンガを手がけると若干ネット民みたいな雰囲気が残りながらも読んでいて安心できるクオリティに仕上がる。
キャラクターや理論に癖が残る代わりに、普段からの情報収集が活きてくるキャラやストーリー、設定作りがしっかりできたキャラができ上がりやすい。
作者はギャグマンガ寄りのラブコメという体をとりながらも、野球マンガっぽい要素も取り入れ、野球ファンなら少しは知ってるであろう家庭事情の話なんかを話を作る上での参考に組み込んでるから…程よくリアリティで、程よくオタク臭いいい塩梅のラブコメに仕上がってる。(しかも、作者しか描けないであろう方向に)
だからバカ売れした作品でこそないのだが、Amazonでの評価は7つのレビューで☆5つが6つという「ハマる人にはしっかりハマる」作品に仕上がっている。
野球が好きだったり、野球ファンのようなデータの話やオタクっぽいことで盛り上がれるような人に限定されてしまう感じは否めないモノの、そこにしっかりコミットした作品として面白い。
野球ネタを裏付けにしつつ、ラブコメとして読みやすく、これはこれで…という程よい現実感とギャグ要素をうまく盛り込んでいるので、安心して読める作品。
それを感じて読んでもらえるとかなり楽しめるので、野球ネタ分かる人は是非読んでみてね。