最近、IQ246というドラマを見て、がっかりした。
なんか織田裕二が出てるドラマって当たりが引けないんだよなぁ…。
県庁の星は映画としてすげー良かったけど、それ以外であたりだと思った作品ってないんだよ。
織田裕二演じる役はいい味出しているんだけど…なんかスタッフや脚本に恵まれない。
IQ246もそのパターンで織田裕二演じるお金持ちの家に生まれた天才はいいキャラなんだけど…話が回数を重ねるほどに絶望的にチープなんだよ。
出だしの1話が面白かったから期待してたから見てきたんだけど…終盤が超絶つまんなかった。
序盤は織田裕二演じる名家の末裔として生まれた天才が、程よく偏屈・程よく頭良さそうなところを見せつけて
「なるほど、これは面白い」
って期待したんだけど…後半になってタイトルのIQ246の方が優先されて、すごく頭の悪いことを議論するIQ246と、IQ300が出てきて
「こいつら、IQ24と、IQ30ジャネーノ!?」
と本気で腹が立ってきた。
で、つまんない日本ドラマ、邦画にありがちな、話や主人公の変わった部分を俗なバカ女がかき乱して、もう最悪。
バカ女を演じた土屋太鳳が最悪なんじゃなくて、脚本が絶望的につまんないから「なにこれ」って気持ちになった。
見てない人にわかりやすく言うと…コンセプト的には富豪刑事、キャラクター構成的にはリーガル・ハイ…でも、この2つを死ぬほどバカな脚本家が作ったからめちゃくちゃつまんなくなった作品。
リーガル・ハイは2013年のトップ5に入る視聴率を叩き出したし、その年に放送された堺雅人が主演を演じた半沢直樹が1位だったこともあって、知ってる人は多いと思う。
でも、富豪刑事は知らない人多いんじゃないかな?
ドラマが豊作だった2005年に放送されたせいでベスト10入りもしてないし、結婚できない男ごときがベスト10入りするぐらいに不作だった06年でさえベスト10入りできなかった隠れた名作だから、知らないんじゃないかな?
オタクであるがゆえに実写に対して冷たいぼくでも、05年のドラマは豊作だと認める。
ごくせんに電車男、女王の教室、1リットルの涙など…ドラマ好きな人なら絶対が知ってる日本ドラマの名作、問題作が並んでるから知ってる人は多いと思う。
…そこに埋もれた隠れた名作が、富豪刑事なんだよ。
その富豪刑事がアマゾンプライムで見られるので、久しぶりに見てみた。
…これが、今見ても面白い。
深キョン演じるお嬢様刑事が、めちゃくちゃおもしろい!!
お金持ちの娘として生まれた深キョン演じる神戸美和子は警察官としてお金持ちならではの視点・手法で事件を解決していく。
お金持ち過ぎて、怪盗に対して本物の名画でカモフラージュしたり、経営者の犯人には会社を興して商売敵として追い込んだり…型破りな方法で事件を解決していく。
お金持ちの祖父から
「ようやくお金を使い切ってくれるか」
と、悪事で大儲けしたお金を事件の度に投資してもらって、大掛かりな方法で罠を仕掛けて事件を解決していくのだが…やることなすこと成功して、結局は資産が増えていくというギャグみたいだけどどこかリアリティーのある設定も面白い。
話は、アンパンマン並にわかりやすい構造で、
富豪刑事の基本的な流れ
未解決の事件を警察署長から解決されるように無能な警部に催促される。
↓
無能な警部と、無能な刑事が会議をしながら頭を抱える。
↓
深キョン演じる神戸美和子が、深キョンならではのスロートーンで
「あのーちょっといいでしょうか」
と切り出す
↓
お金のかかるすごい捜査を提案し、なおかつ囮を買って出る
↓
お金を使うことを祖父が承認し、なおかつアイデアも授ける
↓
大がかりな捜査は行き詰まる。
↓
神戸美和子の提案で犯人が捕まる
↓
美和子は満足して勝手に帰る。それをツッコミの刑事たちが「コラー勝手に帰るなー」
↓
一件落着…だが、金が増えたことを祖父が怒る。
テレビドラマとして、これ以上ないほど完成された作品。
ここがすごいぞ、富豪刑事
・明らかにタレントゴリ押しドラマなのに、そのゴリ押し感がかえって面白い。
→通常、芸能事務所がゴリ押ししたようなキャストや、演技らしい演技をしてない主演は叩かれがちだが、逆にそこが面白くなるように、脚本や演出がしっかりしてる。
そもそも原作が筒井康隆だから…しっかりしてるを通り越して、地震でも津波でも揺るがないぐらい盤石なレベル。
もしよかったら、原作もどうぞ。
・コンセプトがシンプルかつギャグみたいなのに、冷静に考えると物凄くリアルにお金について語ってる。
→難しいことを難しいまま説明した作品だとアホな人を切り捨ててしまうが、一見ギャグのように描かれていることが実は本質をなぞっていて面白くなってしまっている。
コンセプトもシンプルでキャラクターの把握も簡単だからとにかく見やすい。
・シリアスさが薄っぺらく終始コミカルに見られる。(でも、トリックは実は細かい)
→神戸美和子が強すぎて、あくどい犯人やいじめてくる刑事達が、全部ギャグのように映って、笑えてくる。また、犯人のトリックが凝っていることについても、難しそうに見せずに、シンプルにさらっと説明されているから…とにかく見やすい。
・正義感を振りかざす説教臭い人がいないし、いても神戸美和子のキャラが強すぎて、全部ギャグで処理されてしまう
ダメなドラマは価値観や倫理観を説教しがちだが、主人公の神戸美和子がそもそも説教するキャラでもないし、逆に犯罪者はおろか刑事すらアホらしくてついていけない世界観なので、ドラマ1話終わるごとに全部笑い飛ばしてしまう。
「たった5億円ポッチのために犯罪を犯すなんて…」
とマリー・アントワネットみたいなお嬢様刑事に言われたら、もうあほらしくて笑っちゃう。
…などなど、つまんないドラマが陥りそうなシリアスや説教臭さ、さらには芸能事務所のゴリ押し未定に思われやすいキャストも、全部ギャグとしてまとめることで面白くなってるし、子どもから大人までわかりやすい(で、なおかつ玄人が見ても深い)
それに深キョン自体が、ゆるふわタレントのように見えて、ガチな女優だから…そこも含めて、すごくいいキャスト。(ガチっぽすぎず、かと言って、事務所のゴリ押しだと舐めて見た人にはとてつもなく面白いドラマというすごいキャスト)
テレビドラマのお手本みたいな作品。
だから、是非昔の作品だけど見てほしい。
アマゾンプライムで見られるので、よかったらどうぞ。
富豪刑事
Amazonのレビューも上場で、☆1つは1話で切った分際でレビュー書いてるアホが一人だけ。それ以外は☆4つか☆5つ。
それだけ面白い作品だから、是非見てほしいよ。