これは野球オタクの友人と朝まで雑談をしてた時のネタから面白かったネタを記事にしたものです。
あんまり言われてないことなので、面白いネタなので楽しく読んでいただいたと思います。
実は原巨人が2012年に日本一になったのを最後に、セ・リーグは勝ててない。
「セ・リーグが弱い」
イメージだけで言っても失礼だから先にデータを示すと…2012年に原監督が率いる巨人軍が日本一になってから、セ・リーグは日本一になってない。
交流戦でも1位の球団をセ・リーグから出すことがあるものの…セ・リーグが交流戦を勝ち越したのはなんと2009年の一度だけ。2005年から交流戦をやってるにもかかわらず、14年でわずかに一度だけ。
どうしてこんなに差がついたのか…。
「DHがあるからパ・リーグの方が攻撃力がある」は本当か?
よく言われるのは
「セ・リーグはDH制がなく、パ・リーグはDH制があるから、攻撃力のある選手を多く抱えている分だけパ・リーグが有利だ」
という意見。
本当かどうか「データで楽しむプロ野球」というサイトで調べてみたところ…当たらずといえども遠からず。
というのも…セ・リーグとパ・リーグのチーム本塁打数、チーム打率を比較すると圧倒的に劣っているかと言うとそうでもない。
顕著なのは2016年で、シーズンの本塁打数が最も多い球団ベスト3は全てセ・リーグなんだ。(西武が巨人とならんで3位タイ)
他にも2018年も3,4,5はセ・リーグの球団で…「セ・リーグの球団だから貧打」というわけではない。
合計した時にパ・リーグの方が本塁打数が多いことはあるから、大きくハズレた意見ではないけどセ・リーグだから特別打てないというわけでもない。
「合計本塁打が多いから、パ・リーグの方が弱いとされているバッターでもホームランがあるじゃないか!」
と言う人の意見は間違ってない。
でも、DH制だから攻撃力がないかと言われたら…そうでもない。
事実、広島が12球団1位のチーム打率を叩き出すのはザラにある。
さらに、セ・リーグで弱い球団は何かあると貧打貧打と言われるけど…2018年のセ・リーグは貧打と言われている球団でも.250のチーム打率は出している。
むしろ貧打が問題なのは、チーム打率が.250を下回っているオリックス、ロッテ、楽天で、DHの分だけ本塁打が多いかと言われると…そうとも言えない。
それでも、オリックスは2018年の交流戦では2位だったり、ロッテも3位。「打てないのに」勝ってる。
「オリックスはチーム防御率が12球団で一番いいから守り勝ったんでしょ?最悪、ロメロか吉田正尚が打てば、オリックスが誇る投手リレーで逃げられるんだから、打てない=勝てないはオリックスには当てはまらないでしょ。」
まぁ…否定はしない。ここ5年ぐらいなら投手力のオリックスだから…。(上位に上がれないのは故障とチーム打率のせいだから!)
ただ…ロッテは、投手力ない。
チーム防御率パ・リーグ5位だし、先発投手も外国人やピークを過ぎたベテラン、移籍組がいないととても回らない。
ただ…ロッテには盗塁があるだよ。
12球団2位の盗塁力が!!(1位は西武)
盗塁王にもなれるであろう選手だけではなく、体重110キロの巨漢である井上選手だって走るぐらい盗塁の意識が高いし…。
今、パ・リーグの盗塁がすごい!!
2018年のパ・リーグは以外な人が盗塁を決めているケースが多い。
例えば、オリックスも(パ・リーグでは4位だが、)セ・リーグのどこの球団よりも盗塁している。
盗塁王を取れる選手がいないが、みんながまんべんなく盗塁している。
一般的に外国人スラッガーは盗塁しないイメージが強い主砲のロメロも7盗塁も決めてる。
しかも、盗塁成功率.778なので、助っ人スラッガーでありながらかなり盗塁がウマい。
盗塁一位の西武は、源田、金子、外崎、秋山という俊足で知られているメンバーに加え、なんと一般的には盗塁数が少ないとされるキャッチャーの森友哉も7盗塁してる。(しかも、成功率が.778と高い)
この記事を書く前のトークでは、西武ファンの人とアイデアを出し合っていたのだが…その西武ファンも
「ベースランニングがウマいことは知ってた。しかし、チームで5番目に盗塁を決めているのが森友哉なのは知らなかった。」
という驚いていた。
2018年はこの傾向が顕著で、パ・リーグで盗塁数4位のオリックスでも盗塁のイメージが強い広島よりも貪欲に盗塁してる。
若手の離脱さえなかったら、元々走ることに貪欲なチームなのだが、2018年は離脱する若手がいても別の若手が走る…という意識の高さで次の塁を狙っていた。
リーグ全体の傾向で見ると、数年単位で盗塁に積極的な球団がセ・リーグのほうが少ない。
広島だけは、セ・リーグ全体の盗塁が少ない年でも、パ・リーグのチームに引けをとらないほど盗塁を重ねる傾向があるが…他のセ・リーグ球団は2017年を除くと、ここ5年盗塁は少なめ。(※広島は緒方監督になって激増、巨人は原監督の勇退とともに激減といった傾向があるものの…全体としてはパ・リーグと比べると物足りない盗塁数になりがち。)
顕著なのは2018年。
セパで大きく差がついたのはチーム打率でも本塁打数でもなく、実は盗塁。
この事実が最ももったいない結果になってるのは巨人。
巨人の坂本勇人は得点圏打率が4割あるし、岡本和真だって、得点圏打率は高い。
しかしながら、巨人で10盗塁以上したのは吉川尚輝ただ一人で、7盗塁すれば3位になれる。
だから、巨人に行けば、ロメロや森友哉で俊足扱いされてしまう…というほど巨人の選手は盗塁しない。
球界で密かに進む「若者の盗塁離れ」
昨今、プロ野球界は世代交代が進んで「若い選手が多いチーム」はたくさんある。
だが、若くて走れそうな選手たちが、盗塁しない!!
盗塁ランキングを見ると顕著で、セ・リーグの3位、4位は37歳の糸井嘉男と、33歳の大島洋平。
糸井なんて足を怪我して守備指標は12球団で一番低いのに、盗塁では阪神でナンバーワン、セ・リーグで3位という「超人」「宇宙人」という2つ名にふさわしいことをやってる。(全盛期から能力を維持して30後半で3割近い打率と、20以上の盗塁をやり遂げる選手なんて福本豊・イチロー・糸井ぐらいなんだよなあ…。松井稼頭央でさえ日本に帰ってからは15盗塁程度。)
パ・リーグの盗塁上位は全員20代なので若者が盗塁してると言えるが…セ・リーグは「若者の盗塁離れ」を起こしてる。
歴代通算盗塁数1位の福本豊は阪神の走塁コーチ時代に
「打って塁に出ないと盗塁に出ないと、そもそも盗塁ができない」
といって、権限を超えた打撃指導ばかりするため阪神のコーチをクビになったことがある。しかし、これは後に阪神に入団して盗塁王を取り続けた赤星もさることながら…今の巨人とオリックスの若手の盗塁数が伸びない理由を的確に当てている。
盗塁する気があるけど打率が低すぎて盗塁する前に凡退するオリックスの若手、打てないと試合に出られないから盗塁以前にレギュラーになれる若手が少ない巨人軍。
そのため、一番盗塁できるのがオリックスだと31歳で持病持ちの安達になるし、巨人の場合は1番とか2番以前に10盗塁できる人が一人しかいない…という酷い状態になってしまう。
守備や脚力では若手の方がもちろん有利。
しかしながら、打てない・試合に出られないことの裏返しとして盗塁が少ないこともある。
だから、「若者の盗塁離れ」は「走る意識が乏しい」「盗塁を評価してない」という組織の問題も出しているし、他にも「若手の打撃が改善せず、選手層が薄い」「塁に出るのは鈍足な強打者ばかりだから、攻撃や采配、レギュラー争いに厚みが出ない」という若手を中心としたチーム全体の伸び悩みも表している数字なのだ。
だから、盗塁数は単なる進塁打以上に、色々なことを読み取ることができる重要な指標と言える。
守備でもパ・リーグの方がスモールベースボール!?
UZRが見られるサイト「1.02 – Essence of Baseball | DELTA Inc.」で検証すると…2018年に
「セ・リーグの選手のほうが守備がうまかったポジション」
は、セカンドとセンターしかない。
UZRを調べるまでもなく2018年はパ・リーグの方がセ・リーグよりエラーが少ないチームが多いため、スモールベースボールができていると言える。
2017年もパ・リーグの選手が上位に来る場合が多く、セカンドとセンターとサード以外は
「セ・リーグの方が守備がウマい」
と断言できるポジションは…少なめ。
2016年も、ライト、キャッチャー、センターだけなんだよなぁ…。
3年分見てみたけど、傾向的にセリーグの方が守備範囲が狭いまたは肩が弱い、一番守備が下手なやつがいる事が多い。
これはチーム防御率や失点にも出ていて、本来ならDH制度があるパ・リーグの方が失点が多くてチーム防御率が低い状態になってないとおかしいのに、変わらないか、下手するとセ・リーグのチームのほうが失点が多めなことが多い。
とは言え、2018年みたいに「全体的にパ・リーグの方が防御率・失点が低い」という年は特殊で、それまではパ・リーグは二極化することが多かった。
二極化の例としては、2014年にオリックスとソフトバンクが圧倒的な投手力で、上位に躍り出たシーズン。
特にオリックスはサトタツ、金子千尋、平野の大回転で、チーム防御率2.89。
チーム単位の防御率が3点を下回ることはここ数年では珍しいことなので、データを知っている人からするとすごい数字を叩き出している。
近年、当初力が安定しているソフトバンクと、もう1球団(オリックスだったり、日ハムだったり…)が、傾向として防御率が極端に低く、下位に沈むところはセ・リーグのチームよりも悪い…というシーズンがここ最近は多かった。
結果、守備に力を入れるか、投手力に力を入れるかは球団によって異なるものの、パ・リーグのスモールベースボール化が進んだ。
結果、パ・リーグの方がエラーが少なく、UZRがよく、さらにチーム防御率が高い球団が良いというスモールベースボールする球団が増えた。
そういう時に限って、投手力があげきれなかった西武が優勝してるから「時代は打撃だ」とか言われがちだけど…西武は西武で守備のUZRが優秀だったり、盗塁の意識がすごかったりしてるから…データをきちっと見ろというね…。
西武は確かにエラー多いから「西武が守備がんばってたはウソでは?」と思われがちだけど、UZRが良くてなおかつエラーが多い場合、「守備範囲が広くて、無理なボールも挑戦した結果エラーが増えた」と言う場合もあるから一概には言えないのよね…。
エラーが多くて、UZRも悪い場合、もうそれはただの下手くそなんだけどね…。
西武ファンたちが言ってる
「西武の投手力が酷い」
という言い分には、完全に同意する。
西武ファンも「試合を見ていて胃が痛いことが多かった」と言うだけの酷さはちゃんと数字に出ているから。
何が言いたいかと言うと、2018年シーズンを見た限りでは、打撃よりもむしろ守備・走塁で大きくパ・リーグとの溝を開けられてるから、セ・リーグでキチッと走る・塁に出るだけの打率を若い選手が確保したチームはどこでも勝つ可能性がある。
実際、広島とセ・リーグ他球団の最大の違いは盗塁が多いかどうかで、守備やチーム防御率は広島でもザルなシーズンがあるから…走る意識を強くできたチームが、そのまんま上位に上がる。
だからこそ、来年の台風の目は巨人阪神だと思うの。
巨人・阪神ともにチーム防御率は良いし、キャッチャーも育ってる。
おまけに、積極盗塁を求めてる監督が就任する。
だから、来年のセ・リーグは2018年とは違って面白くなるだろうし、今年とは全然違うトレンドが生まれるように見えるんだけど…この話で盛り上がれる人いないかな〜。
ぼくはすごい面白いと思うんだけど。
巨人が強い時って、むしろ脇役が強い時なのよね…。
川相みたいなバントの達人がいたり、韋駄天と呼ばれる盗塁職人がいたり、リリーフが8時半から来たり、50試合以上投げる名物中継ぎがいたり…むしろ、主役なんて意外と外注できるけど…脇役がすごいのよ。
打てないとレギュラーになれないチームになったから弱くなってるけど…巨人が打撃偏重になると基本弱いですよ。打てる人がいらないって話ではなく、打てる人を求めすぎてる時の巨人って脇役が弱いからだいたいダメです。
…と、力説しても巨人ファンにわかってもらえなかったので、面白いデータを1つ。
V9の時代、巨人がチーム打率3位・4位に沈むことがあっても、チーム盗塁は必ず2位以上でした。V逸した1974年は久しぶりに盗塁で3位に落ちます。
走る意識は王貞治でさえ高くて…毎年1,2盗塁は当たり前。すごい時は8盗塁してるから「巨人は打ち勝ってなんぼ」と言う人は…長嶋巨人に染まり過ぎだと思います。
盗塁数がダントツの最下位で日本一獲得する長嶋野球の方が巨人の長い歴史では特殊です。