創作は掘り下げてなんぼ。裏付けとこだわりもなく書こうとしてんじゃねーよ

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ぼくのツイートが知り合いから、発言をスクリーンショットで抜き出されて強く批判されていた。

 

それはもう、お怒りは凄まじいもので、この続きのツイートも僕に対してかなり食い気味に怒ってる。


話せば分かる人だし、言葉足らずなツイートだったから、ぼくも本気では怒っていないのだが…説明をする必要はあるなあ…と思った。
そこで、創作についての考え方や作り方について色々説明していこうと思う。

 

創作物は掘り下げてなんぼ

なんでこの話をすることにしたかと言うと…ぼくの友人から新橋九段という人の小説の論評を頼まれ、創作の設定方法・リアリティの肉付けの仕方について友人についてガッツリ語る機会があったからだ。

新橋九段という人が文学フリマというイベントで出した同人誌はウェブで出している「アラフォー刑事と犯罪学者」という小説の派生作品となっている。
ただ…アラフォー刑事の「アラフォー」への捉え方、その同人誌で大事になる「AI(人工知能)」についての認識があまりにも弱すぎる。

まず…書き出しにアラフォーのおばさんが携帯電話の契約や設定に手こずっているシーンから
「機械音痴」
な感じを描こうとしているのだが…ここからもうおかしい。

今のアラフォーで携帯電話が使えない人を探すほうが難しい

というのも、舞台が2018年なのにアラフォーが携帯電話をうまく使いこなせない…という設定がすごく時代錯誤なんだよ。

「創作やるならこのぐらいのことは考えようね」
ということとしては…現代劇のアラフォーはファミコン世代だからね??

アラフォー、アラフォーとよく言うけど、この記事を書いた2019年現在では具体的には1979年前後の生まれ…舞台が2018年なら1978年生まれから±3年ぐらいの人を指す。
この人達は…スーパーファミコンが発売されたときには、ちょうど小学校高学年か、中学生。早い人なら、ファミコン発売の1983年の頃からもうゲームをしてる。

携帯電話の歴史でいうと…業務用の肩掛けの携帯電話は1980年代にはもうある。
iモードが1999年なので、おとなになった頃にはちょうど携帯電話が普及してくる時期…となる。

だから、携帯電話の料金体系や操作に手こずるアラフォーのおばさんというのは…もう設定からして、アラフォーを知らない人か、00年代前半以前を舞台にしたフィクションでもない限りかなり無理がある。

「AI」についての認識もビックデータ的に人間がアナログでやるには大変な作業を代行してくれるだけでない。
ディープランニング的に自分で学んで人間が考えつかない答えや、高速での学習を可能にしている部分について調べてないであろうことが彼のあとがきから伺える。

地名の付け方も非常に軟弱

他にも彼は京都を作品の舞台にしているが…方言で話す人が全くいない・地域性を感じる描写がないことが違和感として指摘されている。
京都という舞台を活かす設定や事件ではないばかりか、文字を1つひねって「学問の街 教都」とか、「犯罪都市 凶都」にして作品上の町がどんなところかを暗示することもなされていない。

私は神戸市在住だった時期に、自分の学校が特殊で面白いことから
「自分の高校を舞台に物語を書きたい」
と思ったことがある。

しかしながら、「神戸」という町の名前をそのまま使うと、色んなものに比較されたり、フィクションとしての面白みがないということで「湊通り」という架空の街、「湊都(みなと)」という架空の都市を構想したことがある

神戸には「湊川」という地名の場所があるし、同級生にも「湊」くんという人がいたり、神戸には「みなと銀行」という地銀があることなどから「湊通り」という名前を思いついた。
川の名前なら日本全国にあるけど、駅名や地名でこの名前を使ってるのは神戸だけなので、神戸市民なら「湊」という言葉で、神戸だとわかるように考え、湊通りという地名を思いついた。
他にも「通り」は、パワプロクンポケットシリーズのなかに「ミルキー通り」、福本伸行作品の「天 天和通りの快男児」あたりを参考にして、「通りとつけば町の名前っぽくなるからいいね」ということで採用している。

誰でもいいから滝川第二高校でいいフィクション作って欲しい!!!

あと、学園の設定として「唐沢高校」というのが、あるんだけど…これは、ぼくの母校である「滝川第二」からとっている。(親都合の編入したから履歴書上は入学しただけで卒業してないんだけど)

滝川第二…通称滝二の創設は、戦前にマッチで財を成した滝川さんという人が滝川高校を作ったことがきっかけになっているため、その設定を創作の中で流用しようと思いついた。

「事業で財を成した人が学校を作った」
神戸や関西にはこういう人が多くて…神戸だと灘高校と、流通科学大学が有名。
あと、神戸じゃなくて大阪の人なんだけど…松下政経塾の松下幸之助が有名。
だから、理事長の設定に財を成した実業家…という設定はすぐに思いついた。

さらに、滝川第二という高校はぼくが入学した当時
・特進
・進学
・スポーツ
と3つのクラスがあったことで、全然違う方向に尖った人がたくさんいたり、さらには学校は山を丸々切り崩して野球場や学生寮が作られた変わった学校。(本当におもしろいから、よかったら調べてみてほしい。)

サッカー日本代表の岡崎慎司、あと中退だけどマック鈴木という日本人メジャーリーガーも…滝二出身。
だから、スポーツファンの間では有名な学校だけど…その有名さ以外にもユニークなところが多い学校だから、よかったら調べてみてほしい。
ぼくがまだ作品を作れてないからできることなら誰かが作って欲しい。

 

そのぐらい思い出・思い入れがあるから、「ここを舞台にフィクション作れたらすごい面白そう」と思って、小説を書きたいという気持ちが20代前半の頃にはあり、元々は文章を書く体力をつけるつもりでブログをスタートした。
小説を書く事自体のコスパと優先度が恐ろしく下がってしまった今でも、滝二のことを創作物にしてみたいという気持ちはずっと残っていて、暇さえあれば、創作の設定をいろいろ考えていたりする。

だからこそ、設定には血が通っていない・面白いものでないならば読むに耐えない。
掘り下げが甘いくせにが創作に手を出した下手くそは報いを受けるべきだと思う。

女の子へのこだわりとリアリティが追求できないジャンルは描くな!!

ぼく、アラフォー刑事…という作品名を聞いた時に
「あー素人が手を出すと難しいところを攻めちゃったから…9割ぐらいもうだめだな」
と思った。
この予感は的中して、アラフォーのもってる世代的な文化すら理解してないから本当にダメだった。

いや、アラフォー刑事っていう設定自体はやりようはいくらでもあるんだよ?
ただ、難易度が高めだから、キャラに落とし込む時の魅力ってものがきちっと裏付けられてないとしんどいって話。

 

実際、この問題は根っこが深い。
新橋九段くんという同人誌やカクヨムでしか活動してないアマチュアくんのお話だけの問題では済まないほど深い。

例えば、ぼくが同じ理由で嫌いなフィクション…それも商業化されてるフィクションとして「罵倒少女」というのと、「火傷少女」というのがある。
名誉のために言うけど、罵倒少女の作者のmebaeさんはインターネットで無料でイラストを積極的に投稿している日本人では5本の指に入るぐらい腕がいい人。(そこまで好きじゃないけど、ただ、間違いなく整ったイラストを描く技術・リビドーを感じるイラストを描く技術は誰がどう見ても高いよ)
画力だけなら本当に桁違いで、村上隆が代表取締役を務めるカイカイキキのアニメスタジオで作画監督ができるほどすごいし、マンガ・イラスト・ゲーム・広告…全てのジャンルで商業作品を出した実績がある。

そんな人が…罵倒少女なんて、どう考えても安直にしかならないジャンルを開拓していってしまったことがぼくには虚しく映ってしょうがない。

罵倒少女とは、言葉の通り
「女の子が罵倒することに癒やしを感じる」
という作品の集まりなわけ。

それも、予定調和されたSMとかじゃなく、本当に嫌そうにしてる女の子が罵倒したり、煽ったりするイラストが多かったので
これ、本当に悪趣味でかつ、誰でも思いつくし、実際にそうされた時に喜ぶ人は犯罪的で、実在しないししてもいけない設定だよね
という内容。女の子と心が通じ合うとか、信頼関係がある上で意地悪があるとかそういう文脈の外に出てしまった作品だから、リアリティからも、相手とわかり合おうとする気概も放棄された作品。究極のマスタベーション。この作品を手に取る事自体がもはや、自分勝手なオ×ニーと言えるような行為。

 

「読んで字のごとく」以上でも以下でもないものが、なまじ「(絵だけは)よくできてる」「信者が多いイラストレーターが描いた」から称賛するしかなくそのまんま勢いだけで商業化されたというゴミみたいな作品。

…だからこそ虚しさしかない。

東浩紀のいう「記号化」「データベース消費」がだめって話じゃないわけ。

「猫耳の女の子がかわいい」
とか、
「陸上部のボーイッシュな女の子がかわいい」
とか、そういうのがダメって言ってるんじゃないのよ。

アラフォー刑事のアラフォーを、「アラフォーだからこそかわいい」というのを実体験とか、創作物のルールの中から見つけてこいって言ってるわけ。

たとえば、ぼくはアラフォーの「お姉さま」には人気があるから、それを具体的に何かと言えば、実在する人のイメージから言えるよ。
例えば…若い人よりも、ものをはっきり言ってくれるから、「女性だから」という気づかいが少ないところとかすごくありがたい。(また、女性扱いを素直に喜んでくれるから、気配り・気遣いをしてあげたい気持ちにさせてくれる)
若い女の子の方が憧れちゃうようなかわいさはあるけど…そうじゃない「距離感が近くなっても、安心できる」良さとか、自分とは違う世代ギャグが飛んだ時に「なにそれ」と言い合える独特の空気が楽しいよ。

 

でも…罵倒少女ってそういう実体験と紐づけされたかわいいが…ないし、あったとしてそれを共有するのって本人に失礼じゃん。本人が嫌がってるのに「嫌がる彼女かわいい。萌えー」みたいなのがSNSに出回ってみ?嫌な気分しかしないだろ。
火傷少女なんて言い出したら尚更そうだよね。本人は火傷のことを嫌がってるかもしれないし、火傷が治ってしまったらどうなんだっていう話だし…。

さっき、言った猫耳だの陸上部だのって言うのは、猫耳がディズニでつけてきたものだったら、
「ああいうのを平然とつけられる明るい女の子ってかわいい」
「あざとく女の子らしく振る舞おうという気心がうれしい」
といえる一面だし、陸上部の女の子かわいいも
「部活に打ち込んでるからこその、体格や髪型が独特で他の女の子とはまた違う魅力があって好き」
という話に持っていける。

目の前の人にしか見せない一面・本人が気にしていることかもしれないからだから、嫌がる可能性はあるよ?
それでも、罵倒してるところを晒されるよりかは悪意や被害や悪趣味の度合いはまったくないし、気遣いや信頼関係で合意が得やすい内容だ。

萌えしかないとか、記号(名前)だけが独り歩きしている女の子のキャラってホントダメなんだよ。
それしかない作品に手を出すのは、モラルの問題でも、リアリティの問題でもよろしくないから
「萌えしかない萌えはきらいです」
って言い方してる。

萌えしかないなりの振り切り方で乗り切る作戦ももちろんあるよ?
パンツが空を飛ぶ「空の落とし物」というアニメみたいに、実在しないシチュエーションだからこそみんながあっと驚くものをやったり、…ロボットやサイボーグだからこそできることに触れている攻殻機動隊の原作だったり…そういう「意外性」を狙うのもありだとおもう。
でも…それって、リアルであることや共感できることよりも難しいし、罵倒少女や火傷少女…当然ながらアラフォー刑事にもそういう要素はないんだけど。

 

すごく趣味として自分本位で、相手のことなんとも思ってないような趣味が多すぎて悪趣味か、経験が少なくて幼く見えるか…またはその両方にしか見えない。

趣味には教養や知性が出るとぼくは思うよ。
掘り下げ方にも、前提としてのコンセプトやタイトルにもそれは出るよ。
また、それに共感できるかどうか、もっと深く掘れるだけのアイデアがあるかどうかにも人生経験や造詣の深さが出るよ。

どんなに絵がうまかろうがそこがダメなやつの作品は…ダメさ。
「絵だけ描いてろ」
って気持ちにしかなれんよ。

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作品としてはおすすめしないけど、画集として好きな人はどうぞって感じ。
あとは…さんざっぱら罵倒したわけだから…やられ損になっても悪いから「そこまで言われちゃう時になる」って人に買ってもらうことで少しでも供養できたら…という気持ちですわ。

 

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これが「目」で語る戦いだ
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