ぼくが推している「カワイイ私の作り方」の2巻が出た。
正直言って、1巻を読んで衝撃を受けました。
何が衝撃的だったかと言うと…こじらせた主人公に美容や生き方のアドバイスをする女性が、あまりにも身も蓋もない正論をズバズバ言うので、
「この人の中身は、落合博満ではないか!?」
という感じになっていて、それでいて面白かったので、衝撃を受けた。
女性向けのマンガで、落合博満と同じこと言ってる人とエンカウントするとは思わなかったので、ホントびっくりした。
野球を知らない女性読者のために少しだけ書くと…落合さんという人は3回の三冠王を取った伝説の野球選手。
平成の野球ファンがイチローとか松坂大輔とかに思いを馳せるのと同じぐらい、80年代の野球ファンが影響を受けた人物。
ただ…その理論や話し方はあまりにもメディアに媚びない人で…シンプルだけど難しいことをサラリと言うため、好き嫌いが分かれる事が多い。
そのシンプルだけどサラッと正論や名言を吐く部分が、レディースマンガの…それも美容についてたくさん書いている漫画に出てきたので「まじかよ!」となった。
1巻では、とにかくキャラのインパクトが強い彼女だったけど…2巻は打って変わって恋する乙女っぽい姿が見られる。
スピード感としては失速しているけど…これもこれで、面白い。
主人公?
ああ、こじらせてた主人公がまともになってるから、今回は言及するところ少ない。
作者も「美容の部分は(noteやマンガで専門に書くので)シェアしないで欲しい」とTwitterで書いてるマンガだから、ストーリーの話をしようとすると、こじらせが成長して…でも自分のペースを掴みきれてないから色々迷ってる主人公については、今の所は…【共感できる】【王道の展開】以外はあまり言うことはないかな。
さっきから、やれ「キャラのぶっ飛んだ部分がでなくて失速」だ、「主人公は王道展開だから」とか言ってるけど…このマンガの魅力は「マンガ的なうまさ」ではないというのも抑えて欲しい。
この作品の魅力は、作者がビューティーアドバイザーとして美容の話をゴリゴリに書く部分であり、「キレイ」ではなく「カワイイ」という生き方や立ち回り方を描く作品。
だから、マンガのストーリーとしての意外性よりかは、むしろ内面に突き刺さる部分を読んで欲しいし、生き方が共感できる部分なんかをみつけてじっくり楽しんで欲しい。
…それでも、1巻は「一流の女性」を描こうとした結果、常人にはぶっ飛んで見えるほどの名言製造機になり、キレッキレでかっこいいキャラになるという意図しない方向の面白さが上がっててマンガとしても「うまい」と思ったけど…過去作見てみると「うまい」というよりは、ガツンとぶつかっていくタイプの人だから…長く読みながら時々来るピークを楽しむタイプの作家だよ。
いい女は距離を詰めるのがうまい
今回ボクが面白いと思ったのは…ぼくが「女版落合」と呼んでる春乃さんが、恋愛してるところ。
しかも、その距離の詰め方が秀逸で、さり気なくでも虎視眈々としていてすごく好き。
こういうシーン見ると…「女」を感じる。
経験人数が多いとか、男ウケのいい女性って、セリフの中にスイッチが入って男の想像を超えるような口説き文句をサラッと出す。
生々しい話、ぐいっと踏み込んできた時の女の人には「勝てないなぁ」という脱帽感と、「グッと黙ってしまうほどの言葉の重さ(圧)」を関係が進展する前には出してくる。
恋愛の空気がわかる男性はそういう女性の一言を逃さないで、関係を進展させる。
その色っぽい女性(恋路)の描き方が、ぼくはもうすぐ30のおっさんのぼくには刺さってきて…この後の空気感なんか「これ、朝帰りするのでは?」というような空気感でぼくはホント好き。
私事で申し訳ないんだけど、ぼくは色っぽい展開になる1時間前とか、確定して次回には…という決定打はだいたい飲食店で甘いやり取りを女性としている時に決まる。
だから…マンガでこのコマを見た時に
「おお!大人な空気!!」
と思った。
デートのゴールインってさ…共同作業なんだよ。
どっちが誘ったとか誘ってないとかでインターネットの世界では良くも揉めてらっしゃるけど、そうじゃないのよ。
思いがある方が誘って、飲食店とかデートの時間をうまく使ってお互いでいい空気作って、ゴールするわけ。
その空気感を作りに行ってるのを春乃さんから感じ取れたので
「非常に恋愛マンガとしていいなぁ〜。」
と思った。
週刊誌的な、どこで切っても面白いマンガの「マンガとしてうまい」というよりも、ありのままを書いているからこそ色んな一面を見せる中で光るコマが出てくるのが奥深いなぁ…と。
できる女は次の一手が早い!!
主人公すっぽかしてたから、1つだけ。
主人公も意中の男性と食事に出かけるんだけど…そのきっかけが、春乃さんのこの「押し」。
最近、できる女性と一緒にいるから「シンプルで一見軽薄そうに見えるから【こいつ大丈夫かよ】って思う半面、ことごとく言ってることが正しいから本当にそのとおりにしちゃう」という春乃さんの魔力がわかる。
このコマもきっと「できる女性」の知り合いがいたからぼくは
「そうだよね、春乃さんならそう言うよね」
と思えた。
…ぼくね、結婚式場に片思いの女性と式場見学に行ったことあるだよ。
その時も、ぼくが漠然と
「バチェラーに出てきた結婚式場みたいな場所に行ってみたいわー」
とか言ってた時に、
「誰か女の子誘っていってきなよ!コイガハジマルかもしれないよ」
的なこと言われて…Twitterに書き込んだら、向こうから【行きましょ】と言ってくれたことあるの。
片思いの女性は春乃さんタイプの人ではなく、もっと「徳が高い」感じのお方。
話しているだけで「ありがたい気持ちになる」という「関わるだけで(幸せな気分になる)セロトニンを分けてくれる」種類の女性。
ただ…優しくて頭のいい人だから…やりたいと思ったことには基本協力してくれる人だったから、二人での式場見学が実現した。
ぼくが今回の主人公を「王道展開だから特に見どころないよ」みたいに言ったけど、それは春乃さんみたいな人が身近にいるぼくは主人公が春乃さんにその気にさせられていくさまを今まさに体験しているから。
だから、リアルすぎて目新しく感じない。
でも、自分の背中を押して感化してくれるだけの人がいない方は…このマンガ読んで。
春乃さんみたいな「できる女性」に確実に感化されるはずだから。
あ、最後に、主人公が言ってたベストバウトだけ画像で紹介させて。
そうなんだよね。誰のせいとか、望んで…とかそういうことは全部抜きにして考えると鏡に写ってるのが自分なんだよ。
そんな自分に対して、よくなりたいとか好きじゃないけど変わりたいと思った時に、いい人が出てきたら…その人のことは大事にしなきゃなぁ…って日々いい人と会話して徳の高さとか、行動力(勇気)をいただけるたびに思うよ。