これからyoutubeで起こることは、ボーカロイドとブログの歴史を見たらわかる!!

私がクラッシュ・ロワイヤルというゲームでよく参考にさせてもらっているドズルさんが、バーチャルYouTuberについて語ってた。

単純にVtuberはYouTuberとは別の面白さがあったりするんですよ。

YouTuberはぼくたち人間なんで動画を作る時人間ベースなるじゃないですか。
Vtuberはアニメみたいな構図で作ってる人が多いんです。

ちゃんとストーリーがしっかりあって、それに合わせて作られているので、またYouTuberとは違う作りになっている。
今回の炎上について(ドズルちゃんねる)

私はキズナアイぐらいしかじっくり見たことないバーチャルYouTuber初心者なんだけど…喋りが設定に基づいたものになっているのが、YouTuberとは確かに違う。

まあ、人間でも「こりん星から来ました」という設定を引きずり続けた芸能人がいるので、アイドルってある意味バーチャルYouTuberみたいなもんなのですが…。

売り出し方とかそういうことじゃなくて、設定に基づいて
「人間の皆さんのことをもっと知りたい」
とか、設定に基づいたアニメっぽい「こんな人間おらへんわ」という口調で喋ってる人がちらほらいる。

で、この文化を見て思ったのが
「ボーカロイド文化の最初の方って初音ミクというキャラクターを肉付けするような楽曲が多かったんだよね。」
ということ。
ニコニコ動画の歴史でも同じようなことがあって、YouTuberも時代が一周して来たんだな…的なことを感じた。

というわけで、今回はボカロの歴史を語りながら、youtubeがどこまで来ているか、Googleさんの対応はどう変わったかを見ていく。
おっさんは懐かしみつつ、10年前にネットにいなかった若い子は「歴史って繰り返すから似たような事例を探していくと未来が読めるようになるんだな」ってことを考えながら見ていくと嬉しい。

 

最初はボカロと歌ってみたは別文化だった?

厳密にどこからかと言われると「諸説ある」としか言えないところだけど…元々の歌ってみたはアニソンや投稿者のキャラクターに合わせたネタ、アニソンと投稿者ネタをうまく融合させたミックスされた曲が中心だった。

ボーカロイドもボーカロイドで、初音ミクというキャラクターを肉付けする形で
「初音ミクというキャラクターならこんな歌を歌ったり、こんな事を考えたりするのでは?」
という発想の曲が多かった。

みくみくにしてあげる」とか、「あなたの歌姫」とか、「初音ミクの消失」とかね。
この辺はボーカロイドというツールや初音ミクの目線から歌い上げた曲で、好きな歌をツールと言うよりも一人のキャラクターとして表現された曲が多かった。

誰かのパソコンに入ってるものだから「あなたの歌姫」だし、ソフトウェアだから「初音ミクの消失」だし。
初期の楽曲は最初からPVがついていたり、有名なイラストレーターとコラボした曲ってわけじゃなくて、デフォルトの画像に曲がついていて、その曲が人気になるとPVやイラスト付きの紙芝居ができる形だった。

良くも悪くも同人っぽい文化で、自由に加工してもいい設定や素材を上手な人が加工する形になる。

ニコニコ動画をリアルタイムで体験した世代の中で伝説的だったのは、「Tell your World」という曲。
これはGoogle ChromeのCMとして使われた曲なんだけど、ボカロ曲をキチッと理解していないと作れないMovie、楽曲になっている。(この時にはすっかりボーカロイドも別の世代に移行しつつあった。しかし、昔からのボーカロイドファンに配慮されている内容が、すごかった)

今見ても伝説的だから見て欲しい。
これはじめてテレビで見た時、あまりにもすごすぎてテレビの前から3分ぐらい放心状態になって動けなくなった。

ニコニコ動画はこの時期からアップデートするたびに運営がユーザーに不自由を強いて、自分たちの売りたいものを押し売りしてくるダメなサイトになっている中で、Google Chromeはマスコミよりも運営よりも他人なのにボカロ文化を理解してくれた。

だから、10年代前半はぼくはGoogle支持者だったし、最もイケてる&世界を変えてくれる会社はGoogleだと信じてた。

ボーカロイドと歌ってみたが歩み寄りはじめて、どんどん人間側に寄ってきた

Googleの話は後述するとして、ニコニコの方に話を戻す。
ニコニコ動画では歌ってみたの人もボーカロイドで曲を作る人も、数が増えすぎ差別化を図るべく、歌い手たちはボーカロイドで人気の楽曲を歌う・ボーカロイド側も人間が歌うように設計するようになり、ボーカロイドの世界は大きな変化をしてきた。

「(初音ミクの設定を肉付けするためでなく、)楽曲制作ツールとしてボカロを使う人」は前からいたし、人気の曲はあるにはあった。
しかし、大きなターニングポイントとしてはryoの存在が大きいのではないだろうか?

有名な曲としては、メルトや、ワールドイズマインなんかがあるんだけど…メルトで12年前の曲だからHIKAKIN見ているようなキッズは知らないかもしれないけど…まあ、あったんだよ。

というのも…冒頭で言及したドズルさんと同じYouTuber事務所に所属する「草の人」というYouTuberさんが、動画内で「3人のおじさん」というBUMP OF CHICKENの楽曲をネタにしたんだけど、視聴者は知らなかったことに驚いたんだって。
「3人のおじさん」は2010年の曲だけど、これがわかんない子がYouTube見てるから…ニコニコ動画の昔話とかもっと知らない人が多いだろう。

メルトの登場がニコニコ動画リリースされてちょうど1年の話だから、今考えれば「初期の作品」と言ってもいいだろうけど…1年で4回バージョンが変わって、その都度古参の人は「昔は良かった」とか言ってる。
それだけすごいスピードで時代が動いてた。

ニコニコ動画リリースから1年、「初音ミクのキャラを活かした曲」と「ツールとしてボーカロイドを使っただけで初音ミクじゃなくても歌える曲」が並走する。
そして、初音ミクのキャラクターを活かした曲が徐々に減り、楽曲制作が自由になってきた。

これは、ボーカロイドのキャラについての曲は定番・クリエイターがそろったため、後発の人は自由な楽曲作りで追いつこうとした。
これは曲だけではなく、PVやイラスト、歌ってみたで流行ることなどを狙った作り方になっていき、曲のカラーも売り込み方も変わって、それがニコニコ自体の変化にもなっていった。

これは…音楽のジャンルで考えてもらうとわかりやすい。
ロック、エレクトロニカと呼ばれる曲は、色んなジャンルがありすぎてて、まとめてくれたサイトによるとこれだけある。

音楽ジャンル早見表

既存のジャンルに定番がある場合、新しいジャンルを作ってそのトップを目指そうとする人が増えて多様化していく。

YouTuberといえばHIKAKINだから、「YouTuber」というキャラはもう目指せない

これ、YouTuberでも同じ。
最初に投稿された動画はホームビデオの延長だった。
最初に「YouTuberといえばこの人」という地位をつかんだ人は編集技術やスキルがそこまででもなくても、動画が驚きの再生数を叩き出す。

そもそも最初の人は「YouTuber」とか「Vtuber」という事自体に価値があったため、違う世界観を作り上げる必要もなく、YouTuberというキャラが大事になる。

だが、後発の人は違う。
技術や違うジャンルを切り開かないと勝てないため、技術的に優れていたり、専門的なチャンネルになって全体としては多様性が生まれ、同時に「youtubeに固執しなくてもいい」状態ができあがってくる。

ボーカロイドもyoutubeも「愛着のある居場所」から、「便利なツール」にシフトしていく。

シフトする過程での流れがニコニコ動画は駆け抜けた後で、YouTubeはまだ走ってる最中だから、歴史を追いかけると、今のことがなんとなく「あ、今はこの時期ね」とわかってしまう。

時代はプログレッシブ・ロックへ

音楽のプログレッシブ・ロックの意味は「シングル志向からアルバム志向のロックへ」という意味らしいんだけど、これはボーカロイドもこういう波が押し寄せてくる。

今までは人気のクリエイターが初音ミクの設定に基づいた曲から、人間が歌っても素晴らしいと感じる曲へとシフトしてきたけど…また新しい時代を迎える。
今度は、1つの動画だけでなく、シリーズとして世界観を作っていく作品が流行していく。

代表的なのはカゲロウプロジェクトと、HoneyWorks。
カゲプロは最近までマンガや小説が出てたから若い子の方が詳しいと思う。

ただ、HoneyWorksの中身が「ゴム」というニコニコ動画の最初期に活躍した歌い手さんだから…
「よくこんなに違うキャラクターでリニューアルしたな」
とは思うけど。

HoneyWorksのナウでヤングなビジュアルから「ニコニコ動画も軟弱になったなw」とか思って避けてたけど、中身がゴムだと知って「え!?すごいイメチェン!!」と色んな意味で腰を抜かした。(軟弱なのは避けてたやつの頭だったというオチ)

まあ、告白実行委員会のビジュアル見たら、明らかにニコニコの初期ユーザーが嫌いそうな鬱陶しいビジュアルなので、ぼくはやっぱり避けてるんだけど。

これ、とあるアルバムの表紙だけど…これをゴムが曲作ってると言われた時に、色んな意味で打ちひしがれたわ。

HoneyWorks好きな若い子には申し訳ないけど、ゴムのヒットするきっかけの「思い出は億千万」の動画のサムネとセットで見たら、俺が言いたいこと、ちょっとは分かるかと思う。このギャップは色々考えちゃう。

 

めんどくさい老害トークはこのぐらいにするよ。

何が言いたいかと言うと流行の最終局面としては「プラットフォームは単に自分の作品シリーズが投稿される場所になっていき、それがガキでもオタクじゃない人でもわかりやすいカジュアルな作品シリーズがはやってそこでおしまい(愛着のある人は離れ、愛着がないカジュアルな人もたまたま見たのがニコ動ってだけになる)」ってこと。

HoneyWorksは幸い作ってた人がゴムで、オタクが好きそうな要素を排除した内容だったからそこまで揉めなかったけど、カゲプロについては良くも悪くもニコニコ動画を分断した。
若い子からすれば、「おっさんが入ってこない自分たちが楽しめるシリーズができた」と喜べる場所だったし、おっさんからすると「自分たちが応援してきたボーカロイド文化の中を、邪道で外道な作品シリーズに踏みにじられた」ってわけ。

youtubeではここに相当する作品がないから、もうすぐyoutubeの新しい層をつかんで、同時にyoutubeというプラットフォームやジャンルを潰しちゃうような作品が出てくるんじゃないかな?

キズナアイぐらいならまだ「バーチャルYouTuber」という型にはまってるし、そこから別の形でバーチャルYouTuberをやってる人も今の所はニッチに行くか、キズナアイと同じレールの中で戦ってる人が多い。
だが、それらも代表的な作品が出ていないためバーチャルYouTuberはもっと前のステップにいて、youtuberの場合はまだyoutubeを破壊するほどガッチリとyoutubeの文化とは別路線の人が出てきてない状態。

もし完全に別物な、メディアミックス展開もできる新しい世界観を作る人が出てきたら、YouTuberやバーチャルYouTuberって、ファン層もブームしているプラットフォームも変わっちゃうんじゃないかな?と思うので、楽しみであり怖いところだけど。

 

むしろ、Googleは変化を望んでいるから今からyoutubeやる人は注意したほうがいい

ここまでは文化的な話だけど、youtubeの変化は技術的・規約的なところにもある。

というのも、もう1個ぼくが「この歴史を時代が一周するまできっちり見てきた」といえるのが、ブログと検索エンジンの文化。
グーグル検索もyoutubeも同じ会社で行われているため、今youtubeで起きていることはブロガーの方々は数年前に経験したことになる。

昔のGoogleはもっと個人サイトが検索結果に出やすくて、たくさん記事を書くブロガーにとっては素晴らしい環境だった。
ルールを悪用したDeNAという会社が、メディア事業としてライターを買い叩いてたくさんのサイトを作って、SEO対策と記事の量産だけでのし上がってきた。

このことをきっかけに、Googleはたくさん情報を発信するから、公式情報やエビデンスがしっかりしている情報を優遇する方向へシフト。
システム単位で、「(グーグルが考える)低品質な記事」を除外するようになっていく。

一見、聞こえがいい方向性だが、この判断には大きな問題がある。
それは、GoogleがAIで機械的に排除するため、様々な間違った判断が出てくる。

SEOに最適化していない・個人ブログとしての癖が強いサイトも、Googleから弾かれてしまう。
これは「低品質だから」というよりも、「Googleの規格・基準にあってない」ということでGoogleから排除を受ける状態になってる。

だから、今ブログをやる人はGoogleとどう付き合うかという事になってくる。
下手するといいものを作るよりもむしろ、Googleとの付き合い方について考えないといけないかも。

youtubeにもここ1年ぐらいで仕様変更の波が押し寄せてる。
特にとばっちりを受けているのが、ゆっくり解説動画を作っている人達。

ゆっくり解説動画は背景が変わらないし、ボイスも一定だから、機械が見るとスパムに見える。
さらに、ゆっくりMovieMakerのように誰でも簡単にゆっくり動画を作れるツールは日本の個人が細々と作ってるものだから、アメリカにはこの文化はない。

だから、ゆっくり解説動画で有名な人がいわれのないスパム判定を受けて困っている。

ここ2年ぐらいのGoogleは本当に傲慢になってしまって、過剰な情報をAIで杓子定規に整理する会社になってしまった。Google Chromeにボーカロイドを使ったCMでは、マイナーな文化を理解して作り込もうという姿勢が感じられたが、むしろyoutubeでもGoogle検索でもGoogle側がイニシアティブをとって「基準を押し付ける会社」になった。

関連しているかわからないが、Googleは世界的に有名な「邪悪になるな(Don’t be evil)」という行動規範を、「Do the right thing.(正しいことをしよう)」というものに変えている

この弊害がブログのほうが少しだけ早く来て、今はyoutubeの人達が頭を抱えてる。
今からyoutubeをはじめる人で、ブログやボーカロイドなど「何かの歴史をひと通り見てきた」という人でないなら注意したほうがいい。

youtubeはトレンドからみても、規則から見ても「今まで人気の人がやってきたこと」が許されない場所になってきている。
これを「後発の人が伸びていく場所がない」と捉えるか、「全く新しいやり方で成功しよう」と捉えるかは各人におまかせするけど…今はそういう時代だと理解したほうがいい。

おまけにプラットフォームも5Gになって変わるかもしれない。
スマートフォン対応で遅れてダメになった会社はたくさんあったけど、もしかしたら5年以内にそういう事が起こるかも。

youtubeやブログをやりたい人は大いにやったらいい。
ただ「流行ってるから便乗して」とかじゃなくて、ちゃんと流行や歴史を勉強し続ける大変さがある・今が嵐の前の時期だということをよく理解してからやったほうがいい。

 

 

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