Twitterで、シャドウバースを例に出した説明をしたところ、ぼちぼち反響が来た。
だいたい、東大出身者の合コンで「男は東大ブランド強いけど、女はむしろ引かれる」って言うのは、競技の問題じゃん。
かわいいと高学歴っていう2つの武器にシナジーないか、合コンに出てくる人に刺さらないだけ。カード否定するカードゲーマーは一番下手くそ。環境の問題じゃん。シャドバなら常識
— 三沢文也a.k.a.青二才 (@tm2501) April 14, 2019
リツイートやふぁぼの人数はさほど多くなかったが、リプライや引用ツイートも多くて
「みんなこのネタ興味あるんだなぁ〜」
と感じた。
そこで、シャドバにハマって1年が経過し、最近ではブログでデッキも紹介している(海外コミュニティに紹介すると喜んでもらえている)ぼくが、カードゲームの魅力を紹介する。
その前に、(カード)ゲーム遍歴。
基本的にはシャドウバースまたはシャドウバースの下地になっているマジック・ザ・ギャザリング(MTG)の話と思ってもらえるとありがたい。
私は元々カードゲームが好きだったらしくて、ゲームボーイではカードヒーローとかポケモンカードGBみたいなゲームをしていたし、遊戯王もちょっとかじってる。
しかしながら、本格的に用語を覚え、対人戦を何千という単位でこなして、環境に対応したのはシャドウバースが始めてなので、カードゲームで自分の価値観が変わるほどの衝撃を受けたことの多くはシャドウバースが原因になっている。
対人戦の経験が浅かった理由は、アナログなカードゲームにまつわる動作が煩わしくて、デジタルなカードゲームは大好きだった…という発達障害の人しか共感できなそうな悩みを持っていたためだ。
しかし、子ども時代はまだインターネットが普及してなかったから、オンライン対戦で多くの人と戦うことはなく、eスポーツ大会の存在も全然知らなかったので
「カードゲームは好きだけど、やりこんで盛り上がるまでには至らなかった」
というタイプの人間だ。
少し変わっているゲーム遍歴を持ってるからゲーム遍歴も少し。
ぼくの家はオタク嫌いの母がいたため、ゲームは「最低限」しか買ってもらえず、ガッツリやりこんでいる人に比べると王道の作品をさほど知らない。
たくさんのゲームをやるきっかけになったのは、鬱になって働けない時期、ブログを練り上げる体力がない時期にフリーゲームと出会って、たくさんのやりこみ系RPGやアクションゲームをやった。
ドラクエも、テイルズもちょっとしかやったことないし、FF・ファイアーエムブレム・ゼルダの伝説については全くやったことがない。
それでも、そういう作品のエッセンスから影響を受けたフリーゲーム…それも、最近のライトなゲームに満足できない人が、同じ悩みを向けたマニアに向けて作ったフリーゲームをたくさんやった。
特に大好きで何度もやってるのは「巡り廻る。」というゲーム。
テリーのワンダーランドぐらいしかRPGをキチッとやりこんでなかったぼくは、「敵を倒せば倒すほど敵が強くなって窮地に追い込まれる」というシステムに衝撃を受けて、試行錯誤してゲームする感覚に20代から本格的に目覚めてしまった。
「自分が知ってるつもりだったけど、予想を遥かに裏切るような凝ったゲームがやりたい」
そんな事を考えながらフリーゲームを100ぐらいこなし、フリーゲームブームに一段落ついた時期に、スマホアプリのシャドウバースに手を出した。
その時に、デジタルな対人対戦ができるカードゲームをはじめてやり、ガッツリとのめり込んだ。
長くなったけど、ここからが本編です。
根っこに自信があれば、ゲームはちょっと理不尽なぐらいの方が燃える。
はっきり言って、シャドウバースに子どもの頃出会っても、覚えられなかったと思う。
まず、ゲーム内の専門用語が多い。ゲーム外のプレイヤーが使う用語もあるからそれにも馴れないといけない。
次に、(無料でも続けていればそこそこのカードが集まるとは言えど)毎日プレイしてカードを増やしていかないといけない。
最後に、低ランク帯のプレイヤーのマナーがめちゃくちゃ悪い。
これらの障害があって、最初の1ヶ月ぐらいは暇な時にインストールしてデッキを回してもなんにもわかんなかった。
勉強でも運動でもできないこと、成果の出ない努力は何も楽しくない。それはゲームでも同じだった。
それでも、マナーの悪いプレイヤーに負ける度に煽られるのが悔しかった。
勝つとか負ける以前に、意図的にプレイ時間を伸ばして、相手の回線落ちを待って勝とうとする悪質なプレイヤーにも遭遇して嫌な気分になったことも何回もあった。
数々のフリーゲームをクリアして、ブログに綴ってきた。そうしていくうちに難しいゲームもクリアしてて自信がついてた。
「この俺様ができないゲームがあることが悔しい」
とか、
「この俺様が、ゲームで煽られたり、姑息な遅延行為で負けたら、今までブログに書いてきたフリーゲームの記事がムダになっているようで、嫌だ」
と、ゲームに対して負けん気を覚えるようになってた。
自信をつけてなかったらこんな反骨精神は沸かなかっただろうけど…なまじ他のゲームで自信をつけていたから、
「なんとしてもうまくなってやる」
という熱意で取り組めた。
そして、このゲームを知ったきっかけは「草の人」というYouTuberのゆっくり動画が面白かったこと。動画を見て
「俺もこのゲームやってみようかな」
って思ったことだった。
「負けた!→悔しい!→それなら、徹底的に攻略法を探してやる!!」
そう思って草の人のシャドウバース系の動画は全て見た。
カードゲームからカードゲームを学ぶんじゃない!人生を学ぶんだ!!
初心者&無課金でカードが揃ってなかったから草の人を完全コピーしたデッキができないから考え方だけは草の人を参考にしながら、とにかく対戦を回して、カードゲームの考え方を学んだ。
シャドウバースは40枚のカードでデッキを組む。
しかし、40枚はどの順番で出てくるかわからないため、「どんな順番で来ても組み合わせ使えるカード(コンボ)」を考える必要があった。
さらに、その時流行っていたデッキが「天狐の社」だったことも幸いして、デッキを組む上で「軸になるカード」「コンボとして上乗せするカード」「カードを手札に引っ張るドローソース」が必要なことを学んだ。
今の環境だったらどうだかわかんないけど、最初に天狐ビショップを覚えられたのは今考えてみると幸せだったと思う。
天狐の社は、一時期環境で大暴れしたデッキなので、天狐が嫌いとか、「天狐が強いだけで何も頭を使ってない」とかいう人がいる。
どの一人がもこうさんという有名YouTuber。
負けた悔しさから天狐の悪口を言ったため、極力もこうさんのチャンネルの動画は見ないようにしてる。
時々正論を言うので、憎みきれない部分はある。でも、ぼくにとって天狐の社はシャドバを教えてくれた年上のお姉さんみたいなカードだから…カード愛の観点から、もこうさんのことはどうしても好きになれない。
好きなカードが決まれば、あとは草の人から学んだ通りにデッキを組めばいい。
好きなカードを軸にして、相性がいいカード、力を伸ばしてくれるカード、確実に対戦中に使えるためにドロー(サーチ)するカード…こうやって組んでいけばいい。
相性のいいカード…といっても、色々ある。
魅力を増やしてくれるカード、欠点を補うカード、ダメだった時に別のプランで動けるカード。
天狐の社の場合は、「回復する度に相手に2ダメージ」という効果だから、相性がいいカードは回復系になる。
一方で、2ダメージしか入らないので、力の弱さを補うために追加ダメージを入れるカードや、長時間盾になるカードも必要になる。
さらに、サーチが難しいカードだから、たくさんドローしたり、強いサブプランを用意しないといけない。
昔なら、ヘヴンリーイージスという攻撃もスペルも効果も一切受け付けないカードがあったから、それを採用。
疾走と呼ばれる置いてからすぐに動き出せる能力を持ってたヘヴンリーナイトも採用している人が多かったが…持ってなかった。
基本無料で、課金ができる経済状態じゃないからこそ自分の好きな天狐の社が使えるビショップというクラスを中心にカードを集めるようにやりくりして、ビショップに強くなった。
シャドウバースは3ヶ月毎に新パックが発売される代わりに、新しいカードだけで戦う「ローテーション」ルールでは、古いカードパックが使えなくなる。
そこで、新しいカードに合わせたやりくりをしないと無課金でブログや動画を作るのは難しいことに気付かされたが…そのやりくりを考え抜いて、やってのけた。
結果、今の環境で天狐と相性がいいリモニウムやヘクターを揃えて、先例が少ない天狐デッキの記事をブログにし、海外のシャドウバースコミュニティに出して反響を得ることができた。
自分の記事が宣伝できる場所をFacebookのグループ内で探したら、Facebookの大きなコミュニティが英語版だったから英語ってだけで、別に海外向けに作ってるわけじゃないのだが…それでも、海外コミュニティにいる日本語が読める人や、デッキレシピだけでも見たい人が見てくれて、話題になった。
確かにシャドウバースは「たかがゲーム」だ。
しかし、3ヶ月に1度新しいカードが入ると、対戦者達が作る環境が変わるため、研究を重ね続けていないと、新しいことができないシビアな世界だ。
同時に、シャドウバースは難しいゲームだ。
難しいゲームだからルールを学び、カードの回し方を学び、色んな情報収集をしないとゲームがうまくならない。
ブログやフリーゲームで培ったゲームスキルや、情報収集能力が試される場面が多く、シャドバを通じて成長できた。
毎日のようにシャドバでものを考えるうちに
「自分のしていることは本当に、カードゲームのデッキのように、無駄なく目標に向かって合理的に行動できているのだろうか?」
と考えるようになっていた。
最初は自分に対して、次に誰かの行動に対して、目的とそこにつながる話の流れを考えるようになった。
「この人はどうやって運の要素を排除しているのだろう?」
「この人は自分のやりたいことや、実現させたい目標をどうやって勝ち取るつもりだろう。」
「目標を勝ち取るために必要な準備は何で、そのために必要なカードをきちっと揃えているのだろうか?」
「この考えや行動に対して、相手はどうやって動くのだろう?動いてきた時のサブプランはなんだろう?」
そうやって考えていくうちに、物事の考え方がシンプルになったり、ストーリーを組み立てる技術が上がった。
ブログでも、自分の生活でもシンプルにやるべきことをやっているのか、時間や労力の使い方、したいことのために必要なことを正しく回せているか考えられるようになった。
ぼくは発達障害で根っこでは子どもの頃に忘れ物が多かったうっかり屋さんだ。
しかし、リアルなカードゲームよりも、うっかりで負けることが減って平等なルールが適用されるシャドウバースでは、順序立てて考えていること、必要なことに向かっていくと、ゲームでも勝てるし、リアルでも合理的な思考が実践できるようになってきている。
対人対戦でパターン化できない相手が立ちはだかるからこそ、緻密さを求められるし、ベストを尽くしても負けることがある。
でも、ベストを尽くさないと勝てないから、丁寧に次のことを考える習慣がついていく。
このループはゲームだけでなく人生も少しづつ変えている。
シャドウバースは最初の方は苦痛なゲームなのでみんなにやってほしいとは思わない。
それでも、向いている人や、我こそはと思っている人にはぼくはおすすめしたい。
カードゲームで徹底的に考え抜く習慣、ベストをつくすためにゲーム内外で動き回る営みは確かに手間がかかる。
しかし、手間をかけていくうちにそれが当たり前になって自分の生活を変えていくことになるから。
天狐の次にぼくのシャドバを学ばせてくれたカードはリーシェナです。たまたまボクっ娘が好きで、ガチャで偶然当たって「この子で勝ちたい」と思ってがんばったところ、ぼくの得意デッキの1つになりました。
合理的に組み立てていく習慣がついたのもカードゲームです。
しかし、そんな大変なことは愛情や熱意がないとだめで、愛情や熱意を大事にしようと思ったのもカードゲームです。
自分の好きじゃないカードが「環境」を支配するデッキになることは多いのですが、自分が勝てるデッキは愛情や熱意で勝たせようと思えたデッキです。(そのことに救われた部分は大きいです)
だから、あなたの好きなカードを大事にしてください。
そして、好きなカードで勝ってください。