【感想】プロメアは…今石洋之作品を突き詰めすぎた結果である!!

ぼくが大好きな(グレンラガンやキルラキルで有名な)今石洋之監督が、新作のオリジナルアニメ「プロメア」を映画として公開すると聞いて観に行った。

この作品、今までで一番感想書くの難しい。
あらすじはあってないようなもんだし、ストーリーが目まぐるしく動く割に説明は少ない。
ただ、映画を見終わった後に心地よい疲労感と、楽しい映画を満喫した達成感に包まれる。

これを言葉にするのはとても難しい。

あまりにも早すぎて、アニメを考えないで見る人向けの作品に…。

まず、考えながら見る方がこの作品に限って言えばしんどいかも。

展開が早いから、
「こいつバカだなぁ〜」
って思ってたら、
「バカだ」
ってアニメキャラが全員で突っ込む。

あるいは、キャラの載ってるロボットに勝手につけてることに違和感を持ったら
「勝手に変な名前をつけるな!!」
と、相手のキャラがブチ切れる。

頭で考えたことや出てきた名称ぐらいならものの数秒で伏線回収される。
だから、リアルタイムで感じた不快感や違和感ってほとんど無意味。
小さいツッコミどころや名前の意味を細かく考えようとした次の瞬間にはだいたい回収される。

深い部分では、ある程度深夜アニメやマンガ、よく創作で使われる名称なんかを把握していないとわからないような形で伏線やメタファライズが随所に散りばめられてる。
しかし、表面的にはすごく雑で、主人公の(性格はともかく)言ってることにほとんど共感できないから、「なにこれ」っていう不完全燃を起こす。

しばらく考えて、
「あ、そうか。考え方自体はフリクリ(本家またはプログレ)に近い形で考えたら、しっくり来るように考えられるのか」
っていう感じではあるけど…気づくまで時間がかかる。

万人向けじゃないけど、好きな人は映画館で「最高…」ってつぶやく

何度も言うけど…この作品は説明調のセリフはすごく少ないし、展開が早すぎて全部把握したとしても思い出したり言葉にするのが大変。
今石洋之作品特有の展開の速さが、中島かずき脚本で輪をかけられているため、試写会で見た声優さんでさえ「疲れる」「心地よい疲労感を感じた」「10分に1回エンドロールが流れそう」というほど、他のアニメに比べて内容がぎっしり詰まってる。

ぼくは見終わった後にまず思ったことは、
「これ、ブログで人に説明しにくいなぁ」
ってことだったから、頭を抱えた。

好きな部分は期待以上だった反面で、見終わってすぐで苦手だった登場人物や不可解だったセリフについて考えてしまったため
「今石洋之ファンのぼくでも疑問があるのだから、他人にわかるように説明しようとできるかな?」
「かといって、苦手な部分ばかり強調するのも違う。多彩なアクションシーンや、深い心理描写、名前やセリフの意味を丁寧に回収したり、作中の強引な展開が実は深い意味を持っているところとかも、見てほしい。…でも、詳しく説明するとネタバレになっちゃうからどこまでいえばいいだろう…。」
という不安に駆られて、苦笑いしてた。

ところが、そんなこと考えてない映画見終わったばかりの今石洋之ファンは…映画館を出るために立ち上がった時に
「最高…」
と恍惚感を言葉に出していた。

「ああ、これが全てなんだな」
って思った。

なにも考えずに映画に身を委ねられる人の方がこの映画は間違いなく楽しめる。
一方で、考察したり、自分なりの考えと共感したり、もしくは作品をおすすめしやすいことに魅力を感じる人にとっては結構しんどい作品で、オタクオタクした作品の見方をするのが癖になっている人は、映画を見終わった後の心地よい疲労感と爽快感、そして説明しきれないいくつかの疑問にもがくことになる。

今石洋之作品として…いや、映画としては間違いなく新しい新境地を切り開いた作品だと思います。

新しい映画だからこそ、見方を少し変えてみるともっと楽しいと思います。
いつも今石洋之作品を楽しみにしている人は先の展開とか考えずに身を委ねるぐらいの方がいいだろうし、
初めて今石洋之作品見る人は、「よくわかんなかったけど、熱い気持ちになれた」という感動を映画見終わった後にグレンラガンやキルラキルを見て反復して「この映画のこのシーンや演出はこういうことだったのかもしれない」って思い返してもらえたらいいかと思います。

映画館出てからしばらくは「最高」「すごく良かった」「なんて言えばいいかわかんないけど、疲れが吹っ飛んだ」ぐらいのリアクションしかできない映画だ。
だけど、1時間2時間経って疑問やちょうどいい言葉を見つけた時に改めてこの映画の別の意味での凄さ(雑に見えてものすごい緻密だった部分)に気付かされることだろう。

これは観に行った人にしかわからない体験だから、是非劇場に観に行ってほしいです。

 

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