「最近のオタク何もできない」問題は、昔の「とりあえず運動部入っとけ」問題

ツイッターを見てたら、ここ10年ぐらい繰り返されてる問題を見つけた。

今のオタク、電子機器に詳しいかといえばそうでもなく、アニメや漫画に詳しいかと言えば進撃の巨人とかの話題作しか見てなくて、ゲームにのめり込むかと思えばソシャゲだけで、絵や音楽を制作するかと思えばpixivとユーチューブで偉そうに他人の作品を批評するだけ、本当に何が得意なの?
(※元ツイート削除済み)

ここ5年ぐらいずっと思ってたことを書いてくれているねぇ…。さらにこれには続きがある。

言葉を変えればライトなオタクが広がったんだろうね。ライトなオタクで陽キャ的性質の人(アウトドアやBBQをするなど)は特に問題ないが、陰キャでライトなオタクだと本当になんの得意なこともない空っぽ人間な気がする

 

この問題があるから、昔の学校教育や地域社会では「とりあえず運動部に入っとけ」という話がされてた。
運動部に入っていれば、毎日必ず運動するのだからスポーツは上手にならなくても健康な肉体は手に入るし、団体行動もできる人間に育つから、色んなことの基礎になるから運動部に入りましょう
この風潮は地方の学校であればあるほど、強い。

実態は、運動も勉強も中途半端な器用貧乏を量産する原因にもなってるから必ずしも正しい教えとも言えない。
しかし、オタクで陰キャラのダメなやつのような批評家でなにもできず、団体行動も知らないできない空っぽなやつは生まれない…というメリットもある。

 

空っぽなオタクが生まれる理由

オタクなだけだったら目標がない。
部活ならば「目の前の大会を目指して」とか「同じ部活のやつよりも上手になりたい」とか色々あるけど、オタクにとっての上手って何?

…ないんだよ。

オタクだってものを作る側になることはある。
でも、それはオタクなクリエイターであって、オタクがみんな作る側でもじゃない。
極める側になるぐらい技能を研究したり、たくさんの作品を見たり見た成果を発表して詳しくなるチャンスはあるけど…オタクってだけならただの消費者。何の価値もない。

オタク的なことがなんの役にも立たないとは言わない。
体力・時間・お金が許す限り流行を追いかけて自分なりの意見や考えが形成されることはある。
ゲームやることで、ルールを覚えていくうちに戦術や思考法を身に着けて極めていくことはできる。
何らかの創作をすれば、当然ツールの使い方や、作品をよく見せるための演出やきれいに作るための技も身につける。

ただし、作品やリサーチした結果を公表しない限りは…オタクなんて全部自己満足
公表すれば、お金になることもあるし、優劣・叱咤激励があることで成長するチャンスや人と接する術を覚えることもある。
でも、オタクなだけじゃなにも生まれない。

ほとんどの運動部員は一度ぐらい大会に出るのを目標にがんばるが、創作や発表の場を作らないとそれもない。
部の人数が多すぎて大会に出られないにしても、集団生活の厳しさやサポートの大切さを学んだりするが…オタクにはそういうこともない。

ただし、逆に「目標を与えられない」からこそ伸びるのもオタク

ここで難しいのは
「自分の子どもがオタクになったら運動部に無理やり入れて持たせるべき?」
「オタクをやらせるにしても親と目標を共有していきあたりばったりを避けるべき?」
といった意見が絶対の正解とも言えないところ。

というのも、優秀な人がオタクになると運動部に入るよりも早く成功することもあるからだ。
実際問題、誰かに決められた目標がないからこそ、在学中に学生の枠を超えてプロになったり、仕事を取れた人も少数ながらいる。

自分で他人から決められた目標よりも上のこと…横一列の競争以上のことができている人はどんどんオタクになってほしい!!
標準的な教育の弊害を受けないオタクの世界で自分の才能を発揮してほしい。

でも、そうじゃない人は「とりあえず運動部」からスタートした方がいい。

「オタクをやるな」って言ってんじゃないよ?
でも、自分で課題発見能力もないし、秀でるだけの才能や行動力もない人がいオタクだけやるのはおすすめしないよ!

オタクが伸びるかどうか問題は高度に教育的な問題でもある

優秀な人や才能・行動力・課題発見力がある人は教育や無難な選択肢よりも伸びるというのは、何もオタクに限ったことではない。

オタク以外の通常の教育では、偏差値で輪切りにして頭のいいやつだけに
「このぐらい頭がいい子なら校則も決めないで自由にやらせたほうが伸びる」
とやってる。結果、頭のいい人はいい意味での放任主義な教育の中で勝手に伸びる。特に締め付けなくても自分で課題を見つけて結果を出す。
多少サボる時期があっても巻き返すだけの火力がある人も多い。

偏差値によって子どもの待遇を決めるのも絶対的な正解じゃない。
しかし、ろくに目標もなくいきあたりばったりオタクをやった結果なんの技能も身につかないし、楽しそうでもない人を多く目にしている現代の大衆を見ていると、
「とりあえず、できない君たちのために学校と先生がいっぱい課題をあげるよ。自由になりたかったらいい学校・いい就職を決めて自由になってね」
って言う方針は間違ってるとも言いにくいんだよなぁ…。

基本がない人、自分で動かない人は結局はダメになっていくし、基本もないから落ちこぼれた時に上に上がる馬力がないことも多い。
学校の先生や今の教育制度、あるいは団体行動をともにする同僚や先輩におかしいところはあるかもしれないけど…それを理由に一人になっていいのは一人でがんばれる人結果を出せる人やりたいことを貫ける人だからなぁ…。

「とりあえず運動部」
「とりあえず進学」
は都会の大人からすれば原始的に映る伝統にも思えるし、問題も多い制度だ。

でも、それを否定して別の方法で伸びていく人ってそんなに多くないんだよなぁ…。
人間なんて平均的には自分から行動しないし、平均的には課題を見つけたり武器を磨いたり自分でしないから。

オタクやるんだったら、好奇心と美意識だけは持ってきたほうがいいよ。

本当はオタクの世界に才能とか行動力を持ち込んでほしいけど…そんなのみんなが持ってるもんじゃない。
そもそも、人は成長もするし間違えることもある。
だから、オタクに限らずどんなことも自分が好きで極められるかどうか、向いてるかどうかなんて全てはわからない

それでも、オタクやる上で「これがあったほうが、なにもないオタクになりにくいよ」という楽しくて生産性のある方向に行くために大事にすべきものはあると思う。

ぼくはオタクライフに大事なものは「好奇心と美意識」だと考えてる。

好奇心は…興味の広さ。
男の人だとオタク的なことにしか興味ない人もいるけど、これが女性だとまた違う事が多い。
だから、1つを極めたいと強く望んでる人を除けば、好奇心を持って興味を広げていくことが大事だと思う。

例えば、オタク的な分析力で女性が見るような海外ドラマやゴールデンタイムのアニメを見ると共通の話題になって世界が広がる。運良くモテる人もいるだろう。
あるいは、時事問題や哲学的な題材を勉強すると学問の知識が身につけて、賢くなる。
テレビやアニメで見たことを自分で実践して旅や動画を作ってみたいと思えば、行動力もつくし動画編集や旅の段取りといった他でも応用できる知識がつく。

打算的にやるなら勉強や仕事と一緒なので楽しくないと思う。
しかし、自分が楽しいと思ったらジャンルを問わずに楽しんでいくと「何にもできないオタク」を大きく回避することができる。

美意識というのは「〜が美しい」という審美眼に近いものよりかは、「自分がどうなりたいか」という良心に近い。

自分の場合は、母親に「そんな事も知らないの!?」と子どもの頃に言われたのがすごーく嫌だったので、知らないこと恥をかくのはできるだけ避けたい。

さらに、バブル女の母は「オタク全般」を偏見でバカにしてた。
人に優しくできる人になりたいと同時に、ものわかりが悪い女に第一印象で舐められるようなオタクにはなりたくない…とオタク始めた時に真っ先に思った。

だから、オタク文化の魅力を語れて、優しくおすすめの作品を提供できる人になりたいと思ってオタクをしてる。
意識高いなんて揶揄する人もいるが、自分はそれがあったから人よりも詳しいジャンルをいくつか持つことができ、好きだと思う作品はがっつり見て語れるまでになれた。

結果、「お天道様が見てる」じゃないのだが…自分が親や運動部時代に接してきた一般的な人、オタクだけを基準に生きているわけじゃない女性におすすめできるかどうか、面白いと思ってもらえるかどうかみたいな「自分の中にある第三者的な基準」を大事にしている。
オタク的に面白いとか面白ければなんでもいいじゃなくて、誰がどう見ても面白いものをうまく自分なりに分けるフィルターを持つようにしてる。

これがブログや動画でレビューや読み物にする時には、役に立っている。
「面白いマンガを見つけたけど、このマンガが面白いのはオタクだけか?それとも、女性が読んでも楽しめるのか?」
「女性の本音がストレートに突き刺さる作品を見つけた。痛快だけど、オタクが読むとちょっと刺激が強いのかな?」
「面白いと言われてる作品だけど、どうもモラル的に引っかかる。これは限られた人なら楽しめるけど、みんなにすすめるのはダメだろう。」
と言った感じに、オタクとして色んなものを深く掘り下げようとすると、他人に勧めたい時や、面白さを言葉に出したい時に配慮が必要なシーンは多い。

その配慮をどこまでしたらいいか考える時に「美意識」や「良心」は必要だ。

オタクたちが交流の場として使うインターネットは技術上ボーダレスな世界だ。
しかし、これは逆に言うとインターネットは「つなげちゃいけない人」もつなげているため、事前にどんな人がこれを読むかを想定する必要がある。(全員に配慮する必要はないが、嫌われたくない層や自分がされたくない誤解にはきちっと心配りしておくべき)

もし、何にもできないオタクが何もできなくなる理由が
「ツイッターやSNSで議論する間もないほど、ゲームやアニメに夢中で毎日が楽しいから」
というならどうぞご自由に。それは1つの到達点なので、尊敬してる。

しかし、ネットでクダ巻いてて幸せそうでもなんでもない人であるなら好奇心を持って面白そうなところからもっとつついてみるか、自分の発言や作品選びに美意識を持っていい作品を勧めて仲間を増やしたり、どうなりたいというオタクライフの方向を考えるのに使ってはいかがでしょう?

以上、どっちかというと何もできないオタクからでした。

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◆関連記事:自分が世の中に(オタク関連で)思ってること

出版社よ!!頼むから活字の本も過去の本もKindle本にしてくれ…。
再評価されそうな本や、話題になっている新刊の本で電子書籍がない本が多すぎる…。紹介する側としてすごく困るから、出版社はもっとがんばって電子書籍作って欲しい。

マンガ「今日から俺はロリのヒモ!」はほんとクズ。クオリティも主人公もクズ!
「なにもできないオタク」を肯定するクズみたいな作品を読んでしまって「これは酷い」とさすがに起こった作品。なにもできないオタクではない人をそうやって描くことで醜悪さがヤバイ

スケジュール管理の極意は「秋本治の仕事術」に学ぶべし
こち亀の作者が書いた仕事術の本。自分はブログを書く際にスケジュール管理が甘くて量産できてないから、参考にした。本を購入した時ばかりは秋本治のすごさがキチッとわかるオタクでよかったと思った。(創作してる人の多くはスケジュール管理に苦しんでる中で一番大変なジャンプで休まないで40年書き続けてるんですよ!?天才ですよ)

 

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