「西武、死球多すぎ問題」を追いかけると思いの外根深かった

「西武、死球多すぎ問題」を追いかけると思いの外根深かった

先日、オリックス−西武戦で乱闘があった。
4回時点で西武が当てた死球が3つになり、ボールを当てられた若月選手がマウンドに詰め寄ったことで乱闘に発展。
これが原因でオリックスの佐竹コーチが相手の投手を小突いて退場。

結局、9回にも死球があって、1試合で合計4球も打者の体に当てた。

いつもならば、乱闘は面白おかしく報じられて
「プロ選手が殴り合いするなんて面白い!」
「野球選手なんだから野球で見せてほしい」
といった議論が巻き起こるのだが…今回は乱闘を起こしたオリックス側に同情する報道が多かった。

それどころか、西武側の辻監督まで謝罪する始末。

個人別成績を見ても、高橋光成は与死球数13でリーグトップ。そのほかでは、マーティン、榎田大樹、多和田真三郎、ニール、平井克典と、西武の投手陣が与死球数ランキングの上位を占めている。正捕手である森友哉の強気なインコース攻めのリードも少なからず影響しているだろうが、チーム防御率はリーグ最下位の4.38と、十分な効果が発揮できているのかは疑問だ。試合終了後、西武の辻発彦監督は「ウチがあてすぎ。プロとして恥ずかしい」とコメントした。
オリ激怒も納得 西武の与死球数がえげつない理由

西武ファンも「西武はプロの実力持ってる投手の方が少ない。特に中継ぎは尚更」とぼくによく愚痴るのだが…本当にバンバン当てる人ばかりだからびっくりする。

そんなわけで、西武の死球問題について調べてみると…思いの外闇が深かった。

そもそも、西武バッテリーはどのぐらい当てているのか?

まず、今年どのぐらい当ててるのかと言うと…これは死球ランキングを見てもらうのが一番いいね。

自分がオリックスファンだからこそ思う。「西武の当てすぎは看過できない」と。
実際、チーム別で調べられるサイトでチーム全体の与死球を調べたところ…なんと、オリックスにダブルスコアをつけるほど当てまくっていた。

・リーグチーム与死球ランキング(8月16日現在)
1,西武       77
2.ソフトバンク       50
3.ロッテ     42
4,楽天      39
5,オリックス   32
6,日本ハム    28

ちなみに、今日時点でのセ・リーグの与死球1位は巨人の49なので…西武バッテリーがいかにやりすぎなのかが、わかる。

さすがに多すぎて不審に思った人が、10年分調べてくれたので、調べた人のツイートから画像で引用。

ほとんど西武とソフトバンクで1位2位。
ここ2年で西武がずば抜けて当てるようになったけど…ソフトバンクだってかなり当ててる。

三振が取れないから優勝が少ない西武、死球が少ないから上位に行けないオリックス

与死球が多いほかに西武バッテリーの大きな特徴としては「奪三振が少ない」というのがある。
2019年8月15日時点で奪三振は12球団最下位。
108試合で687個三振を奪っているが…12球団中11位の中日でも813三振、パ・リーグ5位の日ハムで825三振奪っているので、いかにダントツで三振が取れてないかがわかる。

あまりにも気になったので、10年分調べてみた。

西武のチーム奪三振
2019(8/15) 687 12球団ワースト
2018   959 リーグ5位
2017   967 リーグ5位
2016   956 リーグ4位
2015   873 12球団ワースト
2014   916 リーグ5位
2013   984 リーグ3位
2012   816 リーグ5位
2011   860 リーグ5位
2010   927 リーグ6位

パ・リーグのチーム奪三振でいっつも最下位争いしているのが、ロッテと西武。
ロッテは外角を攻めるから死球少なめな代わりに三振も少ない。
西武は内角を攻めているから死球が多く、四球がそこそこで、三振は少ない。

逆に三振がほぼ毎年取れているのがソフトバンクやオリックス。
オリックスは投手は優秀な代わりに、外角メインのリードをする捕手が多かったから四球多めで三振も多い。
ソフトバンクは投手が優秀で、内角攻めもするから死球が多いけど、三振もいっぱい取る。(四球はやや多め)

三振が取れていようがいまいが、内角攻めをキチッとやったチームが死球も多いけど、順位も安定して高い。
でも、三振が取れる方が無傷でしのげる場面も多いため、内角攻めできているチーム同士なら三振が取れている方が強い。

…というのが、ここ10年ぐらいのプロ野球。
オリックスやロッテは死球を避けたお上品な野球をしているが、だからこそなかなか上に行けない。

「じゃあ下品になれというのか!?」
と思われるかもしれないが…こんな時代だからこそ上品に野球をするだけだと損をしてしまう。

今は野球のルールが選手の怪我防止や、試合の時間短縮のせいで、報復行動も、抗議もしにくくなってる。
コリジョンルールでタックルもできないし、警告試合になれば死球を当てたら報復行動としてチームを問わず退場。

2017年のヤクルトや、今年のオリックスのようにあまりにも多く当てられた時は、無理矢理にでも乱闘を起こして警告試合に持ち込まないと本当に泣き寝入りなるが…乱闘だけを見て「暴力に訴えかけるのは良くない」と言い出す人は一定数いる。

違うぞ!
乱闘は抗議行動の1つだ!!
70年代80年代は意図的に遺恨試合にしてエンターテインメントとして乱闘してた時期もあるけど、今の野球ではあまりにも品のない野球をしたチームへの抗議行動だ!!
むしろ、現代野球だったら、これ(抗議としての乱闘)がないとますますルールや怪我に配慮して野球しているチームが泣き寝入りすることになるんだから、乱闘ぐらい優しい目で見てほしいよ…。

西武の死球問題は80年代からずっとあった「東尾イズム」

Facebookの野球ファン同士のグループで議論していると
80年代西武も、東尾さんを筆頭に当てては乱闘して、近鉄なんかは報復行動して乱闘して…を繰り返してましたよ?
という話が出て、割と賛同する人が多かった。

少し調べてみると、工藤公康も渡辺久信も内角攻めをキチッとやる投手だったらしく、東尾修に至っては「四球が少ないのに、死球が多い」という…いわゆる「故意死球」の多い投手だった。

さらに、東尾は乱闘になって、マウンドまで殴りに来たデービスとの一幕を引退後に出演した番組で
「ヘボバッターでも当たれば一塁に行けるんだからありがたいと思え」
とまで開き直っていた。(「内角攻めをするのは相手を認めている証拠」というフォローも入れてたけど)

デービスの乱闘についても…テレビ番組ではいかつい黒人が東尾に殴りかかるおもしろ映像みたいに流れているけど…これも実際にはちょっと違う。あの喧嘩っ早い近鉄であろうとも乱闘はやっぱり「抗議」の側面があるのだ。

 86年に東尾(修)さんを殴った“事件”は、チームのための行動だったと僕は思っています。というのも、その試合、“北海の白熊”と称されたスラッガーの鈴木貴久がスライダーをバックスクリーンに放り込んだ。次の打席では「絶対に頭(を狙って)くるぞ」とベンチで言ってたら、本当に後頭部を狙ってきた。貴久も来るのが分かっていたから逃げましたけど、頭はまずいですよね。にもかかわらず東尾さんは「ケンカ投法」と言われるだけあって平然。それを見たデービスが「俺がやってやる」と言って行ってくれたというのが本当のところなんです。

金村義明が語るR.デービス「悪役にされたが、チームのための行動だった」

デービスという懐かしい名前が出てきて
「そんな昔の話されても…」
と思われた人もいるかも知れない。

しかし、西武の場合は昔話が関係ないとも言えない。
西武は指導者人事がとても保守的で80年代西武黄金期を経験した人や東尾修の薫陶を受けた時期のコーチが多い。
さらに、FAやトレードにも消極的なので、古い伝統が今も息づいている可能性はとても高い。

いま投手コーチをしている小野和義や、去年までは西武の投手陣を1・2軍で見てきた潮崎哲也などは東尾修監督の下でガッツリプレイしている。小野さんに至っては、東尾修が現役の時に近鉄にいたので当て返すことも多分しただろう。

東尾修以降20年以上現役時代を西武で過ごした選手しか監督をしてないという巨人みたいな純血主義。
さらに、GMや監督の人脈がきっかけで他所の球団の名選手がコーチになったり監督になるようなことが他の球団だとあるが…西武はこれも極端に少ない。

変えないから西武は監督の質が大きく外れることや、チームカラーを180°変えてしまうような大きな失敗はしない。
その代わりに、今の時代にやると浮いてしまう伝統や、かつての名選手だからできたことを今の選手ができなくて、問題になったり…ということが起こってる。

ナベQはともかく、工藤も東尾もコントロールはとてもいい投手だからこそ内角攻めや故意死球をしても試合が成立した。
でも、内角攻めをコントロールの悪い投手がやってもうまく行かない。

本当に危険球になる藤浪晋太郎ほどじゃないにせよ…乱闘に発展するほど多くの死球を当てることになってしまう。

西武ファンが怒るほど西武は編成がひどい!!

西武がどうしてこんなにノーコンピッチャーばっかり、内角攻めしかできない捕手が出てくるようになったかと言うと…原因はフロントなんだ。
西武生え抜きの選手の問題というよりもむしろ、フロントの権限で行う編成や、コーチ人事の問題が大きい。

まず、前述の通り西武はFA選手の獲得がとにかく少ない。
トレードも自由契約選手の獲得も少ない。
FAについては制度開始以来3人しか取っていなくて、それも大型補強は中嶋聡・石井一久だけ。
直近でとった木村昇吾は…FA宣言したのにテスト生になってるから…事実上自由契約選手みたいなものだからなぁ…。

そのくせ、FA宣言で出ていく選手は制度開始から数えると12球団で一番選手が流出している。
工藤公康・石毛宏典に始まり、最新の浅村栄斗・炭谷銀仁朗まで合計18人。
これ以外にもポスティングによるメジャー挑戦で抜けた人達もいる。

しかも、メジャー帰りは中島裕之だろうが、松坂大輔だろうと獲得に手を上げない。
松井稼頭央だって一度楽天を経由してから西武に取ってもらう有様で…とにかく出ていった人に冷たい
FA組も工藤公康でさえ、盟友だった渡辺久信が監督をしてなかったら西武を最後の球団にできなかっただろう…。

よそもそうかというとそんなことはない。
例えば、ロッテは出ていく人もいるけど、生え抜き選手が何年も活躍して最終的に神と崇められて引退するような人がごろごろいる。しかも、メジャー帰りの井口や阪神にいられなくなった今岡も引き取って引退まで面倒見てる。

例えば、カープのようにカープ一筋で戦い抜いた人に優しいだけじゃなくて、メジャーに出ていこうが阪神に出ていこうが復帰させてキチッと引退させてくれる球団もある。(ついでにいうと後にコーチになる石井琢朗も広島で引退)
一時期は主力が連鎖的に流出する球団だったけど、復帰を許す・強くて儲かる球団に生まれ変わることで大きく変わった。
広島が西武みたいな態度だったら、新井貴浩や黒田博樹を復帰させて感動の引退をさせるようなことは絶対ない!!広島が広島の態度を貫いたからあの永久欠番と感動が生まれたんだ!!

金満球団のイメージがあるオリックスでさえ、チーム出身のレジェンドにはオリックスで引退してもらおうと最後の最後にはオファーを出したり、FAで帰ってくる人をとる。
イチローに何年もオファーを送り続けたのは誰もが知る有名な話だけど、田口壮や谷佳知、平野恵一はちゃんとオリックスで引退してもらってる。(よそで引退した人もいるけど、帰ってくる人も決して見捨てない。)

野球知らない人は
「だからなんだ」
とか思ってるかもしれないけど、この「去る者は追わず」「去る者は許さない」の方針が西武の首を絞め続けている

今勝つための補強を編成が怠ってるだけじゃない!!
未来に勝つための投資も西武の編成は怠っている!!

 

西武が復帰しやすいチームだったらこんな投手コーチ・バッテリコーチは絶対にありえない!!

本来だ!!
本来なら80年代〜90年代に名投手を腐るほど量産した西武の投手コーチが近鉄出身の小野和義ってことはおかしいんだ!

捕手だって、伊東勤が長かったことを踏まえて別のチームのコーチを取るか、伊東勤にバッテリーコーチを長くやってもらうかしてもらわないと本当はおかしいんだ!!
西武時代に一軍出場もなかった秋元宏作ぐらいしかいないならなおさらヨソに声をかけないといけない!!

だって、この二人は実績的に最悪なんだよ!!
小野和義は…近鉄のコーチ時代にチーム防御率が一貫して酷かった。
最下位だったり、4点台で打たれまくっていたり…とにかく投手コーチとして期待できないような成績。
現役時代も防御率2点台が数回あるが、ほとんどが4点台5点台でとても誰かに教えられるような人じゃないのは過去の実績を見たら明らかだ!!(特に投手に厳しい西武ファンは納得しないだろう)

秋元宏作に至っては最悪だ!!
2001年〜2010年に1軍2軍それぞれのコーチを務めた横浜でも、2011年から1軍2軍それぞれのコーチをしている西武でも彼が長くチームにいるほどバッテリー事情はひどくなっている。
チーム防御率も捕手の質も年々ひどくなっていく。
それどころか、プロ野球ファンの間で「ベイズ★ボール」とまで揶揄される横浜暗黒期を作った戦犯とさえ言える。

素人でも経歴を調べたらとても期待できないようなOBに声をかけないと回らないほど西武の台所事情はひどい!!
でもそんなチームを作らないと回らないほど編成が未来への投資も、現在への投資もサボってきたからこんなコーチ陣しか集められてない。

さっき、ロッテ・広島・オリックスの例を出したけど…この3つは「引退戦略」がコーチ人事の幅を広げている。
顕著なのは広島で、広島で引退した生え抜きの活用はもちろん、広島優勝の基礎を築いたのは横浜から広島にやってきてコーチにも就任した石井琢朗なんだよ!元いた球団から出た時にしっかり絆を作ったことで、後々の優勝にきっちりつないでる!!

オリックスの場合は田口壮ヘッドコーチが引退戦略があったからこその就任となっている。
オリックスは「コーチとしても是非戻ってきてね」という方針だから日ハムで引退してコーチもやった中嶋聡二軍監督や、ソフトバンクで打撃コーチをした藤井康雄打撃コーチなど…コーチが90年代黄金期のような組閣になっている。
ここ数年の「生え抜き選手は、選手引退もコーチ出戻りも大歓迎」という方針があったから野手投手問わず若手が育つチームに生まれ変わっている。(個人でも話題にならなかったオリックスが個人で話題に上がることがすごーく増えた)

ロッテはもっと引退戦略を大胆に使う!
井口資仁をロッテで引退させたことで、監督に就任させたばかりか、井口経由で優秀なコーチをうなるほど集めた。
さらに、今岡誠もロッテで引退させたことで二軍監督をしている。
ロッテの生え抜き選手だけではありえないような監督・コーチ人事をロッテで引退させるという未来への投資で勝ち取っている!!

長くなってるからまとめ

西武のいい時は

すごい監督を呼んでくる→選手が育つ→大半は移籍しても何人かの西武一筋を貫いたレジェンドが監督になる→強い西武に愛着が湧いて残る人や戻りたい人が出てくる

といった、好循環を保っていた。
野手の方はまだ好循環が残っているから、日本で一番打たれるチームであると同時に打つチームでもある。
打つチームだから批判があっても勝っている部分もある。

一方で、投手の方は悪循環にも入っている。

森祇晶以降は外部から監督を呼ばないで回していく。

めぼしいレジェンドが監督やコーチを勤め上げるか、FA・移籍後に呼び戻してないからどんどんコーチの質が劣化していく

野球についての考え方が変わってないのに、それを再現するコーチと選手が劣化して悪いところばかり目立つようになる

それでもフロントは外部からコーチ・監督・FA・補強・引退する選手を囲い込む、優秀でまだ監督をやってないOBを呼び戻すといった戦略を取ってないことで西武ファンの中で不満が出る

この循環があっての、今のチーム防御率(リーグ最下位)であったり、与死球1位、奪三振最下位があるから…この問題は闇が深いよ。

西武はFAで流出した選手が多いということは元々は育成力が高いチームだったという裏返しでもある。
でも、彼らを呼び戻したり、新しい人を補充しないままやっているから、同じように内角攻めするチームでも当たって乱闘になるばかりでちっとも抑えられない状態になっている。

それどころか、西武のFA組を高い年俸で取り込んで引退もさせて監督やコーチに誘ってうまく言った球団まで出ている。
設備の問題もあるけど…年俸の安さもあって出ていく人はいるし、ファンも出ていくのを不安がってる。

菊池雄星が出ていく直前の2億4000万円はまだいいにしても、秋山翔吾は今でも年俸が2億3500万円は安くないかな?
中村剛也だって…4億1000万円が安いとは言わないが…もし同じ成績の選手が巨人やソフトバンクにFAしていたら5億以上もらっていたかもしれない…。

お金の問題だけが全てじゃないが…払わない・出ていった後に獲得に乗り出さない・呼び戻すことも稀…となれば、ファンは不安になるし、強かった時の伝統が活きていると言っても徐々に弱くなっていくのは仕方ない部分もあるのではないだろうか…。

 

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