中国の食べるラー油「老干媽(ローカンマ)」を知ったらもう戻れない…。

2年ぐらい前になるかな?
ブログで「小星星麺」というお店を紹介した時に、そこで出てくる食べるラー油がバカウマでずっと気になっていた。

どんな味がするかと言うと…
・花椒のしびれるような辛さ
・激辛料理などで使われるキレの良い唐辛子
・しかし、意外と口触りはマイルド
・食べるラー油特有の食感がある。
という本場の味でもあり、日本で流行っていた食べるラー油でもあるという不思議な食べ物が…美味しい中華料理屋ではたまに見かける。

 

最近、それが「老干媽」という中国では普通に売られているものだと知って、無性に欲しくなった。
そこで、川崎駅周辺のお店をしらみ潰しにさがして…ついには、雑居ビルの3階にあるすごく怪しい中華食材店まで行った。

正直、入ったらぶん殴られそうなたたずまいだが、ぶん殴るどころか、バックヤードで携帯をいじってるやる気がないおばさんが一人で切り盛りするお店だった。
接客とかおもてなしをかなぐり捨てて「欲しい物があるやつだけ来いや!」という中国スタイルの接客がここでは逆に信用に感じた。

そして、老干媽の中でも、飲食店でよく扱われるピーナッツ入りのやつを手に入れた。

このパッケージに色々気になることがある人もいると思う。

でも、まずは味の話からさせてほしい。
料理は食べてなんぼなので、まずは家で老干媽を楽しんだ感想から語らせてほしい。

 

老干媽があれば、家庭でも最高の中華が味わえる。

この際だからぼくは言いたい。
あまりにも辛さに慣れてしまうと、市販の標準的なラー油が「唐辛子の匂いがするごま油」にしか思えないのだ。

そもそもだ!!
もう本場のラー油は色から違う。
もっと燃えるような赤!!

色がすでに辛そうだけど…これはちゃんと辛い唐辛子を使ってるから。

実際に料理やご飯と合わせると甘辛で、甘辛を噛み締めていくとしびれるような辛さと、キレの良い辛さが全力で追いかけてくる。

だからこそ、「老干媽」なら…卵かけご飯に入れたって卵に負けない。

中国の人は卵かけご飯を食べないけど、中華テイストの甘辛くて、しびれて、ご飯がいくらでも進む…そんな卵かけご飯を作ることができる。

そんなわけで、ぼくは老干媽を買ったその日に、老干媽フルコースを作ってしまった。
麻婆の味の決め手になることはもちろん、餃子の味がしっかりしていればいいアクセントになるし、和風だしと合わせればトマトだって中華風のおしゃれなおかずに様変わり!!

クックパッド的なレシピサイトでは焼きそばや炒めものの味の決め手にこれを使う人が多い。
個性が強すぎて隠し味にならないんだよなぁ…。個性が強い食べ物同士で個性の強さで釣り合ってくる。

使ってみた感想としては、無理して中華料理作る必要もなく、固定観念で餃子作る必要もなく、アイデアレシピや普段の食事で攻めたほうが家では輝く。
中華料理で出会う嬉しさとはまた違う喜びを開拓してくれる。

男なら、学生時代に一度ぐらいあるんじゃないかな?
制服もかわいくて、私服でもまた別のかわいさに気づいて、同級生の女の子が無性に気になりだすこと。

それに近い感覚。
外食でこれをかけた卵かけご飯と出会うことはないし、焼きそばやトマトに混ぜるところもない。

でも、家用に老干媽を買わないと食べられない味だから…頑張って購入して家で楽しむだけの価値がある!
家に老干媽があるのはお店とも違うし、家にある普段のラー油とも違う特別な体験ができるから一度試してみて!

 

そもそも、老干媽(ラオガンマー・ローカンマ)とはなにか?

日本の調味料じゃないからこそ、調べてて面白かったのが、パッケージに秘められた老干媽の歴史だ。

このパッケージを見て色々と疑問に思ったことは多いだろう。
「貴州名物と書いてあるけど、貴州って何?」
「そもそも、老干媽ってどういう意味?」
「パッケージにはられているこのおばさんは誰?」
「でもお高いんでしょ?」
など、色んなことを感じた人は感度が高い!

まず読み方からして面白い。
老干媽は中国読みでは「ラオガンマー」といい、「ローカンマ」は日本語読み。
2つの名称が存在する。

日本では馴染みのない調味料だが、中国ではラー油専門メーカーになってからだけでも1997年から製造されている定番食品だ。
そのため、Googleでは中国読みを尊重して「ラオガンマ」と打ち込むと老干媽の漢字が出てくる。

日本でも総代理店が2002年から存在するが、日本では中華食材店か業務用スーパー、メガドンキホーテの一部でしか売ってない。
そのため、中華料理屋に入ってもツウなお店でしか老干媽を見かけることはなく、老干媽を付け合わせにかけられるだけでもそのお店はすごいと言っていいだろう。

ツウ向けな理由は販路の少なさもあるのだが、最大の理由は「貴州料理」の食材だというところ。
日本人が思い描く「辛い中華料理」といえば、四川料理を思い描くが、貴州料理はさらに辛い。

地理的には四川とも近く、あの一帯の人たちの味覚を表現する言葉では一緒に並んでいる。
四川人は辛さを恐れず、湖南人は辣さで威すことはできず、貴州人は辛くないのを恐れる
とまで言われるため、東京でも貴州料理のお店なんてほぼない。小岩に1店舗だけ有名なのがある程度だ。

そうは言っても、本場の四川料理だって、日本人からしたらかなり辛い。
そこで、陳建民のように辛さも含め日本人好みにアレンジを加えた料理が浸透することになった。
陳建民は辛い以外にも野菜や汁のある麺、コクを加えるなど料理のローカライズは多岐にわたる。

アレはアレで美味しいし、みんなで食べる時には好き嫌いが別れなくていい。
しかし、大人になると本場のしびれるような辛さを体験する機会もでてくる。すると、一度知ると無性に恋しくなる。

そんな、本場の味を知ってしまった人の期待も、老干媽は裏切らない

しかし、名前の意味は意外と辛さを感じさせない。
というのも、「老干媽」の意味は、「おふくろさん」なのだ。

日本で「おふくろさん」とか「おふくろの味」みたいなパッケージを見ても絶対に想像できないと思うが…しびれと辛さを愛してやまない地域では、このラー油が「おふくろさん」で通るのだ。

 

自分の名前も書けない人が打ち立てたラー油ドリーム

とは言ってみたが、老干媽の名前の由来はもうちょっと奥が深い。

老干媽を作ったおばちゃん(創業者)が、ラー油専門メーカーになる前は食堂経営をしていて、下宿先の若者たちからこう呼ばれていたことから「おふくろさん」となり、それが創業者のおばちゃんを指すから顔写真が使われている。

後にラー油専門メーカーになるだけあって、食堂をやってる時から、料理以上に付け合わせのラー油が人気で、徐々にラー油自体を売り出したり、ついには食堂を閉めて専門メーカーになった。
しかも、創業者は農村の貧しくて教育も受けられず、会社設立までは自分の名前が書けないような人だったという。
その人が食堂を開いて、自分が作ったラー油が売れて、年商500億の会社になって政治的にも経済的にも有力者になったというのだから、チャイナドリームはすごい。

詳しいことは、ウィキペディアを読んで見てほしい。
ラー油に興味がなくても、これ自体がいい話で感動するから本当におすすめ。
老干媽 -Wikipedia

貴州の話も、創業者の話も、老干媽の意味を日本人からみると意外過ぎる話も…調べれば調べるほど面白いもんだから

本場なのに、食べるラー油より安くしかもバリエーションも豊富

最後に、老干媽入門者に言いたい。

ぼくは、飲食店の付け合せによく置かれているピーナッツ入りを買ったが、料理に使う場合は豆鼓入りがおすすめ。


他にも干し肉入り、鶏肉入り、青菜を付けたものなど日本で確認できるだけでも老干媽シリーズ14種類ほどある。

しかも…意外と安い。
Amazonで買うと高くつくように見えそうだけども…実は日本の食べるラー油のベストセラー「辛そうで辛くない少し辛いラー油」買うより安い。

老干媽は一瓶280g、辛そうで辛くない少し辛いラー油は110g。
中華食材のお店で変えれば、値段も298円だから、4倍近く安い。
Amazonで買っても量と値段を考えると、食べるラー油買うよりも安い。

日本の食べるラー油はそれはそれで「ローカライズされた中華」として優秀だよ?
でも、安くて本場でうまいから、老干媽が食べられる人には老干媽をおすすめしたい。

それでは、良い老干媽ライフを。

 

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