お前はまだ四川料理を知らない

少し前に、ずっと気になっていた中華料理屋さんの調味料が、「老干媽」だと言うことを突き止めた時、あまりにも嬉しくなってそれを記事にした。
中国の食べるラー油「老干媽(ローカンマ)」を知ったらもう戻れない…。
この記事をTogetterでまとめた時に、陳家私菜という中華料理屋のオーナーがツイートをふぁぼってくれたことある。

中華料理研究がマイブームになっていたぼくは、陳家私菜が開催する新作試食会に行くことに。

その模様は「陳家私菜の試食会に行ったら、俺の四川料理へのイメージが180度変わった!!」に記載した。
このでは陳さんが語ってくれたり、振る舞ってくれた料理をもとに「日本人が考える四川料理」と「本場の四川料理」について語っていく。

とにかく油がうまい四川料理

本場の四川料理を10品とかそれ以上食べると強く思うことは2つある。
それは、「辛いにも色々ある」ということと、「油がうまい」ということ。

それは実際に試食会の中でも陳さんが言ってたことでもあるし、実際に多くの料理を食べて感じたこと。

日本の町中華と、四川料理の根本的な違いは「油まで飲みたくなるかどうか」というところ。
確かに、にんにく油、ネギ油、海老油色々あるけど…もう、そういうの超越して複雑にブレンドされたスパイスが油に染み付いててそれが味を変えていくのが面白い。

四川料理も、揚げ物やお肉は多いから油ものは多いけど…油そのものがうまいから油の多い料理でも一緒に出てきた油までスプーンで飲んだり、ご飯にかけたりして食べてしまう。

日本で「ラー油」といえば、1ジャンルではなく1個体の調味料として言い表すことが多いが…四川料理ではラー油のバリエーションがとにかくすごい。

ラー油なのにフルーティーな香りがしたり、料理から滲み出たダシを吸ってうまくなったり、オリーブオイルみたいに食欲を増進する潤滑油のような役割をしたり…単に辛いものではなく、立派なスープになっていることがある。

今までは、「ちゃんと辛い唐辛子・ラー油で、しびれるような辛さが味わえるお店なら中華屋として優秀」ぐらいだった。首都圏広しと言えども、しびれるような辛さ(麻)をしっかり味わえる店がそもそも少ない。
でも、陳家私菜ではそれを超越して
「油そのものがうまい」
「麻辣の中にコクがある」
「麻辣にカシューナッツの香ばしさが乗っかって香りまで美味しい」
という次元まで来る。

加えて、プロの中華で魚介類はいい感じの半生に仕上げてくるからふわっふわで美味しい!!

「中華料理ビギナーの私がこんないいものを体験してしまっていいのか!?」
と思うと同時に、試食会で陳さんが
「本物を知ってほしい」
という言葉の意味をまざまざと見せつけられて、中華料理…特に四川料理については知ってるつもりだったと、学ばせていただいた。

陳建民が日本に広めた「美味しいウソ」が入りの四川料理

日本に中華料理(とくに四川料理)を広めた陳建民さんには有名な格言を残している。

「私の中華料理、少しウソある。でも、それはいいウソ。おいしいウソ。」

実際、中国に逆輸入された料理もあるほどの「おいしいウソ」だが…「おいしいウソ」の四川料理が浸透したことで、本物を出すお店は減って、「日本人は四川料理を知ってるようで知らない」という不思議な状態になっている。

陳家私菜での食事会では、「おいしいウソ」が混ざっていない本物の四川料理を振る舞っていただいた。

しかし、その時に説明がないと、それが本物の麻婆豆腐だったり、エビチリだったり、回鍋肉だと言われてもわからないぐらい別物。
別物は別物ですごーくおいしいんだけど…家でしっかりと辛いいい唐辛子やラー油、ほどよく海老を半生に仕上げるテクニックがないとできないような高度な料理だった。

それだけ手間やテクニックに裏打ちされた料理だからこそ…本場の中華料理は四川料理に限らず、高い!
一般大衆の「知ってるようで知らない中華」と別物の本場仕込みの味は、庶民の口にはなかなか入らない。

この傾向は日本もアメリカも同じ。
日本では陳建民さんがテレビで紹介する料理が、家庭で手に入れられる食材で作れるようにしたからこそ、日本向けのアレンジや、戦後日本人がはじめた中国料理屋さんも焼け跡にあったものや日本人の味覚がベースになった別物。

一方で、アメリカではパンダエクスプレスという世界に2200店舗あるお店も、中華風のなにか別の食べ物であって、中国のどこかで食べられる料理でもない。

「本場だからおいしい」とも限らないけど、中華料理は食糧事情とか、本場を知らない人でも作れるものが色んな国で別々の進化を遂げる。
そこが面白いところでもあるけど…「四川料理おいしい」というからには一度ぐらい本場を食べたかったし、それがインターネットでの偶然のやり取りから生まれたことにはすごく感謝している。

知識の上ではぼくも
「中国の回鍋肉はキャベツ使わないんだなぁ〜」
「そりゃ、日本の味噌を麻婆豆腐に中国で使うわけないよね」
ぐらいのことは知ってたよ。

でも、実際に食べてみないと、わからない。
食べてみると、新しい考えや人との出会いがある。
うまくてご飯がすすむのではなく、辛さと絶妙なタレのコクで「体がご飯を求めてしまう感覚」は本場の麻婆豆腐を食べた人にしかわからない!!

でも、結局は本場のお店を見つける・見つけないより「踏み出す勇気」が大事!

でも、慣れ親しんだもの以外に飛び込む時は、スタートは全部偶然。
偶然に対して自分で気になったことにゴーサイン出せるかどうか。

陳家私菜のTwitterみつけたのはほんとたまたまだった。
試食会だってほんと偶然にいいタイミングだっただけ。

でも、「行こう」と思ってほんとうに応募して当選して…それで体験できた。

「四川料理=すごく辛い」と思ってなんとなく恐怖を感じている人に言いたい。
確かに辛いものもあるけど…辛さの向こうにある新境地は実際に陳家私菜や、本場の四川料理を出しているお店に行かないとわかんない。

中華食材や、陳家私菜から学んだのは知識や体験だけじゃない。
たしかに、そういうモノもあるけど、「偶然の出会いを信じて、知らないものでも飛び込んで見ることが大事」という教訓なのかもしれません。

ぼくは試食会まで陳家私菜知らなかったし、老干媽見つけるために川崎で探した時も雑居ビルの3階の怪しい中華食材店に行かないとなかった。
このお店の扉が、ここまで来るきっかけ!!怪しい扉をくぐったから陳家私菜で本場の四川を楽しむきっかけになった。

陳家私菜にせよ、雑居ビルの怪しいお店にせよ、行ってよかったという人生のターニングポイントになっているから
「良さそうなものを知ったら、多少不安でも突き進んで、新しい体験をしてほしい」
と言わせて。

本場を知ってほしいシェフがいても、知識としてネットにあげる人がいても結局はそこに飛び込むのは自分だから!!

 

 

 

 

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