マンガ「江戸前エルフ」は、ただのオタク!でも、そのゆるさが好き!!

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タイトルが好きで読んだマンガが、思いの外面白かったから紹介するね。

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講談社
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…このマンガはね、作者のマンガのスキルがとにかく高い!!
だから、何気ない日常をつづった作品で、特に派手なくとも奇抜なことも少ない作品でありながらマンガの中に流れる時間に思いを馳せて癒やされる作品となってる。

あらすじ

江戸時代から400年生き続け、高耳神社で祀られているエルフさんがいる。

ただ…エルフといいつつも、中身が引きこもりのクソオタク。
いつもゲームしたり、プラモ作ったり、玩具を集めたり…そこらのオタクとやってることが変わらないダメなやつ。
巫女を引き継いだ女子高生からいつも「神事ぐらい真面目にやれ」「引きこもりのくせにエナドリ飲んでんじゃねー」とか怒られてる。

でも、400年祀られ続けるエルフだから、ちゃんと町内では人気があって大量のお供え物が届く。
まともな神社ならば、米やお酒が届くのだが…PSVRやお菓子などエルフさんが好きなものが届く。

実在することが知られた上で祀られている神様ならではの面白さがある光景。
だから、神というより人気YouTuberやタレントに近い人気や親しまれ方をしているのがなんとも面白い。

一貫してこの雑でゆるい感じが続くんだけども…マンガ家の緩急が素晴らしくて読めてしまう。

数話で簡単に回収されるベッタベタなシリアスが入ってきたり、
割と本格派な食べ物や玩具の歴史的なお話が入っていたりして、
緩急をしっかりつけているから、題材や雰囲気がゆるくてもしっかり面白く読める。

このバランス感覚が一番面白いなぁ〜と。

日常モノでありながら、「設定の必然性」がしっかりしているのがすごい!!

江戸前エルフをシンプルに語るなら、ぼくは「ゆるふわな雰囲気なのに、設定の必然性がしっかりしているから面白い」という言葉で説明する。

設定の必然性」という聞き慣れない言葉を使ったから少し説明する。
面白いマンガを選ぶ基準の1つに「この設定である必要があるかどうか」というのがある。
これをぼくは便宜上、「設定の必然性」と呼ばせてもらっている。

めんどくさいオタクはすぐ自分の造語を作りたがるんだ…すまない。

 

例えば、このマンガでは「異世界から来たエルフ」という不思議な設定がある。
異世界やエルフを題材とした作品は多くあるが、その中での優劣や作品選びをどうやってつけるか考える時に、この「設定の必然性」が大事になる。
簡単に言うと「本当にその話は、このエルフじゃないと成り立たない話なのか?」を考える。

もし、下手くそなクリエイターだと本当に異世界・エルフでなくても成り立つ作品を作る。
いや、最低なケースでは、エルフの特徴的な耳や髪の毛を、せいぜい性癖の一部としか捉えなくて
「エルフに出会えた!やっぱ耳長いなぁ〜」
ぐらいしか、エルフについてきちっと触れられない作品もザラにある。

一方、江戸前エルフでは、エルフが持つ長寿な設定や、変わった見かけを周りがどう捉えたかを考えた上で、ストーリーやエルフの位置づけができている。

特にストーリーの根幹で歴史やジェネレーションギャップについて描いている部分が多いため、
「不老不死のエルフでないと作れない物語」
になっている。これは、物語の根幹自体がエルフぐらい長寿じゃないと成り立たないものだし、小話として出てくるネタの数々も、長寿なエルフとエルフよりも短命な人間の間でしか成り立たぬ話になっている。

 

不老不死で種族が違うともなれば、江戸時代の人が神様として崇めたくなるのもわからなくない。
アイドルやYouTuberどころか、科学的な生体実験もない時代なら…変わった風貌と長寿を持つエルフが「神として祀られる」という方向に行くのは大げさではない、丁度いい落とし所だろう。

しかし、人間にはできないことができて昔から祀られていても、当然若い子にはありがたみがわからないこともある。
カジュアルに会いに来る人も出てくれば、エルフの特徴を聞いても感動しないで雑なこと言うやつも出てくる。

かくいう巫女さんがこんな認識だし。

これ、一見なんの変哲もないコマだけど…このマンガじゃないと成り立たないやり取りだからすごい!!
他にも、エルフさんにPSVRをお供えしたおばあちゃんはエルフを信仰することに実感がわかない巫女さんにすごくいいことを言ってる。

こういう話が小出しに出てくるところに「あーこれは江戸前エルフでしか描けない話で、それがすごくいいからこのマンガはしっかり面白いなぁ」「もし、不老不死のエルフがいたらこういう形で信仰されるかもしれない」と思わせてくれる説得力がある。

マンガでしか成り立たない不自然な設定はいっぱいある。
でも、マンガとして納得して読めるかどうか、面白いと感じた時に受け入れられるかどうかは「設定の必然性」がとても重要になるんだ。

そこを抑えたうえで、ゆるいマンガを作ってるから
「ゆるいけど、しっかり面白くて安心して読んでいられる」

これはエルフさんのオタク気質にも同じことが言える。
これは一見すると余計なキャラ付けのようだけど…エルフさんの話をよくよく聞いてみると、人間のオタクではありえない方向に年季が入っている発言をしている。

いくらお菓子のおまけ集めが好きな人が好きな人でも「浮世絵から始まって、それを引いて嬉しかった」と言えるのはエルフさんぐらいじゃないかな?

こんな風に「設定の必然性」がしっかりしているからこそできる話が多い。
それは同時に、このマンガでしか見ることのできない話、見ることのできない感動が多いということ

こういう作品を見つけた時は、やっぱ格別だよ。

 

江戸前エルフが好きな人におすすめしたいコンテンツ4選

せっかく「設定の必然性」の話をしたので、この手法を忠実に取り入れていて面白いマンガを3つ、必然性を持った状態で自分にしか作れない動画を作るクリエイターを一人紹介する。

よかったら、そっちも楽しんでもらえると嬉しい。

1、半助喰物帖

作風が一番近いのはこれかな。

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江戸時代から来たお侍さんが、OLさんと同居して主夫をするという話。

料理マンガとしても歴史マンガとしてもすごい情報量がある作品だから、自炊をキチッとやるオタクは男女問わず好きそう。
女性が気に入りそうと言ったのは、半助が(現在に来る前は)所帯持ちだったせいで、基本的に恋愛に発展しないから「色恋が煩わしく感じている女性にとっても、理想の関係で読みやすそう」だから。
男は歴史もうんちくも好きな人多いし、和食メインの料理マンガって意外とないから…その道のオタクにマッチしてるから。

2、ライドンキング

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「異世界転生モノとして(は珍しく)異世界に行く必要性があるキャラクターを描いているマンガ」です。

内容は「乗り物や動物に乗るのが大好きな大統領が、異世界に転生してドラゴンや異世界にしかいない動物に乗って異世界を楽しみながら冒険していく話」です。
かなり評判高いから知ってる人も多いかもしれませんが、まだ読んでない人は是非。

3、姫様”拷問”の時間です。

ゆるさを楽しむマンガでファンタジー要素があって面白いのはこれだと思う。

「囚われの姫が拷問を受ける」
というハードなあらすじとは裏腹に内容がゆるすぎてみんなハッピーという、意外性…。

このマンガでしかできない空気感でぼくは大好きです。

4、谷やん(谷崎鷹人)チャンネル

「料理ができる大食いYouTuber」という彼にしかできない動画を上げてる人です。

一人で5キロ6キロの食事を調理して、それを自分で平らげるという、普通の人には不自然極まりない動画を作る人。
しかし、彼が大食いで料理ができるからこそ、できてしまうという奇跡の動画です。

すごく稀なことですが、「設定の必然性」はフィクションだけではなく人間にも当てはめることができる。
でも、自分しか持ってない特技や、才能を持っている人ってレア。だから、人間でできる人は少ないよねぇ〜。

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