今、盛り上がっているマンガ「その着せ替え人形は恋をする」の4巻読んできた。
この巻はコスプレ関係の話が多めで、新しいことをやってる。
もちろん、コスプレ周りの回は「アニメやゲームに出てくるかわいい衣装を着たい」から「小物も手作りしよう」「アイラインで印象を変えよう」「女の子でも男装できるぞ!!」と言った内容ですごいパワーアップしてるから、
「すごい!!こんな事もできるんだね!!!」
と驚かされることが多い作品で、面白いです!
だからこそ、当初の喜多川さんのキャラの魅力で読ませる部分とか、ラブコメパートは必然的に他の巻と比べて少なめになっていて、続けたからこそ描けること・読み続けてきたからこそ楽しめることをどんどんやっている。
新しいことの魅力を伝える上で言葉をどう選ぶか…がこの巻の感想を書く上でネックになって、言葉を選ぶために、3回読んだ。
もちろん、3回読んでもちっとも苦痛じゃないぐらいにクオリティ高いから、楽しい時間だった。
自分の趣味と実益も兼ねて、熟読した結果、
「喜多川さんの魅力で読ませるマンガとしてのパートも残しながら、より喜多川さんみたいな行動力おばけではない人が読んでも背中を押される作品になっていて、読者にとってより実用的な作品になってる」
という結論になった。
この作品って、3巻までは喜多川さんの魅力ありきなところがあり、そこが勢いがあって面白かった。
4巻では喜多川さんの魅力も残しつつ、一度違うキャラを挟むことでより喜多川さんをわかりやすく読めるようになっているところが良いなぁ〜と思いました。
「喜多川さんがぶっ飛んでて面白い」もすごくわかる。
このマンガを語る上で、大事なことの1つに「喜多川さんのぶっ飛んだ行動力」がある。
「好きな二次元キャラがいる」→「よしコスプレしてみよう」
「夏になった」→「よし、好きな子誘って海に行こう」
ぐらい当たり前に行動するぶっ飛んだ人で、主人公のごじょーくんは彼女に巻き込まれてコスプレ衣装を作ったり、色んな女の子と交流していくことになる。
この巻でも行動力は健在で、次に彼女がやりたいコスプレが「褐色の女の子」ということで、元々の白い肌から…
「褐色の女の子をやりたい!」
と所信表明して、次にごじょーくんに会う頃にはもう、焼いてる。
ギャルから黒ギャルへの華麗なる転身だよ!!
彼女の勢いがすごいから「すごい漫画に出会っちまった」というふうに思ってる人も多いだろうけど、彼女って割と王道ヒロインなんだよね。
というのも、4大週刊誌以外の面白いマンガをわざわざ探してきて読むようなオタクは、ごじょーくんに近い人で行動力がぶっ飛んでる喜多川さんのキャラに惚れ込んで読み始めた人が多いだろう。
このパターンはアニメ・マンガ界隈では大きな勝ちパターンの1つで、アニメだと「グレンラガンのカミナ」や、「ガッチャマンクラウズの一ノ瀬はじめ」あたりが有名。
ラノベだと「涼宮ハルヒシリーズの涼宮ハルヒ」はこの系統になる。
インドア派のオタクにとって行動力がぶっ飛んでて巻き込んでくれる人は理想のヒロイン像・アニキ像の1つといって差し支えないだろう。
本題はここから。
アニメだと…(尺の都合上)行動力があってみんなを引っ張っていくカリスマキャラとして個人崇拝みたいになってアニメが終わってしまうことがとても多い。
一方で、じっくり描く尺があるマンガだからこそ、その着せ替え人形は喜多川さん個人の魅力で読ませる作品から「行動力の源を掘り下げていく作品」へと緩やかに舵を切っていて、そこが面白かったし、作り方に誠実さを感じられた。
知ることは行動力になる
喜多川さんは割とぶっ飛んで「思い立ったが吉日」を実践している人だけど…彼女に近い「行動力がぶっ飛んだ女性」と長く付き合ってみると…行動力は才能もあるけど、知識と習慣で補えるものだと気付かされる。
「飛行機はこうやれば安く取れる(から、海外旅行も頻繁に行ける)」
「部屋の物を減らしてキレイにしておけば、いつでも好きなように転居できる。」
といったノウハウを色々持っている。
マンガやアニメだとその辺丁寧に語られないけど、行動力がある人が頭良く描かれていることが多いから、深く掘り下げるとノウハウを持っているのかもしれない。
その着せ替え人形では、これを別キャラとごじょーくんがコスプレを作り上げる過程や、喜多川さんのコスプレをより高いものに仕上げる過程で「知ることこそ行動力」を描いている。
別キャラの事例については4巻で一番驚くシーンだから、喜多川さんのコスプレに合う小物作りの事例で。
キャラの小物…これがなんと全部100均で揃う道具で作れちゃうのです!!
こんなこと「コスプレやってみたい」と思わないと知らないことなんですが…できちゃうんですよ。
喜多川さんの無茶振りとも言える要望を、親身に聞き続けたごじょーくんだから思いつくこと。
喜多川さんとのストーリーでは、喜多川さんの「やってみたい」という圧倒的な熱量に押されて見落としがちですが…実は1つ1つの値段を調べたり、(登場人物が学生ということで)低予算でやりくりするのを考えていくから、「行動力とはなにか?それは、やりたいという熱意と、形にするために調べたからこそつく知識だ!!」というこのマンガの教訓になる。
これが、他の登場人物だと、喜多川さんみたいな熱意ではなく、
そろ〜りと「やってみようかな…?」ぐらいからスタートして値段調べる
↓
「これならできそう!!」
↓
「実際にできた!!みてみて〜(^O^)」
という感じになるから…熱意が実践に結びつくまでのプロセスがわかりやすくて面白かったです。
行動力がある人ができてしまうと「彼女は特別だから」と思いがちだが、一番引っ込み思案なキャラクターが実際にコスプレするまでを描くことで「普通の人が行動を形にするまで」が描かれてて誠実な作り!!
そこが色々なアニメやマンガを読んでいる人、実際に行動力がある人に感化された経験がある人間にとってはすごく伝わる作り。
というのも、自分自身が先述した女性の影響で、やってみたいことは値段を調べる癖がついた。
「部屋キレイにしたいなぁ…せや、一人暮らし向けの安い掃除機ないかな?2800円!?買えない金額じゃないぞ!」
「部屋の臭いどうにかしたいなぁ…なるほど、重曹を部屋に置くだけで臭いが取れて、重曹は数百円でいいのか!!」
という感じで、今年は部屋がキレイになる経験をたくさんした。
だから、4巻での魅力はぼくにはとても刺さった。
でも、喜多川さんの魅力で読んでる人にはちょっとわかりにくい巻だったので、熱く語ることにした。
おまけ:異性を知ることで恋愛を描くテクニックも好き
4巻はラブコメ要素が2巻・3巻に比べたら少なめ。
でも、個人的には「その着せ替え人形は恋をする」らしい描写だと思ったのが、これ。
ごじょーくんのうぶさについての描写は色々あるけど…ここらへんはごじょーくんらしい。
というのも、雛人形の衣類や造形に興味がある彼らしく、「彼なりに女性を知ること=女性の服と、服への価値観をしること」という描き方をしてる。
恋愛マンガとしての乙女心みたいな部分は喜多川さんのテンションで描かれていることが多いこの作品。
ところが、ごじょーくんの恋愛描写は…というと、喜多川さんを通じて女性の服や下着への価値観・考え方を抑えることになってる。
一般男性にとって女性の服も人体も感性も謎だらけだから…「女性を知ることが恋愛」という描き方はとても王道で、等身大で素晴らしい。
と同時に、服に特化することでごじょーくんのキャラにマッチしていてとてもいい。
恋愛描写・コスプレ・読者へのメッセージどれをとっても王道や実体験をうまく咀嚼してこの作品らしい形に落とし込んでて、4巻も大満足でした。
よかったらお手にとってみてはいかがでしょうか。
関連記事:過去に書いた「その着せ替え人形は恋をする」の感想
マンガ「その着せ替え人形は恋をする」は色々ヤバいです!
1巻感想。この時からバランスが取れてて、すごく好きでした!話題になってくれて嬉しい。
【2巻感想】「その着せ替え人形は恋をする」がいよいよラブコメ展開に!!
2巻感想。衣装ができて見に行ってからの話…もう1巻を読んでからすぐに買って読みました。気になって仕方なかった上に、その期待を裏切らない圧倒的な内容に「このマンガ本物だ!」と確信したのをよく覚えてる。
【3巻感想】「その着せ替え人形は恋をする」に新キャラ登場!?そして物語は夏休みへ
3巻感想:新キャラ登場に失速が心配されたものの、これが喜多川さんが女の子にしか見せない一面を出したり、コスプレの知識やプロ意識を補強してて「これはいい新キャラ」となったのを覚えてます。