【ほぼ考察】マンガ「きみが死ぬまで恋をしたい」はネタバレなしで語れない!!

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百合というピーキーな媒体で連載されている作品なのに、描いていることが誰にとっても通用するような普遍的なテーマですごく感動したので、この作品の話しさせて。

このマンガをカジュアルに紹介したいなぁ…と色々考えた。
だけど、どう考えても核心に触れて語るぐらいじゃないと良さが伝わりきらないことに気づいたので、作品の考察という体で語っていくことにする。

ぼくは百合マンガほぼ読まないから、ツッコミや関連作品の情報はコメント・ツイートなどでお願いします。

あらすじ

まず、舞台は孤児院を兼ねた兵学校です。

魔法を使って戦う兵士として訓練しています。

その学校で寮生活している「シーナ」が主人公で、後に一緒に暮らす「ミミ」という子が噂になってます。

この子と一緒に相部屋になります。

そして、ミミとシーナの二人の共同生活が始まります。

百合マンガあんまり好きじゃない人でも世界観で読めるのがまずすごい!

百合姫で連載されている作品で、ジャンルとしては「百合」になる。

ただ、ファンタジー世界で学園の秘密を探る作風はハリー・ポッターっぽいし、
不幸で数奇な生い立ちの中から特殊な環境に入って、絆を見つけていく話という意味ではNARUTOっぽい。

だから、百合にそんなに詳しくない人が読んでも、大丈夫なぐらいには百合っぽくなく、それでいて作品を読んでいくとファンタジー的な良さと、百合らしい人間関係についての優しいメッセージが読める。

加えて、何度も読みたくなる伏線と小ネタ」のオンパレード!!
これはエヴァンゲリオンや、類似する「隅々まで伏線や小ネタが張り巡らされた緻密な設定・ストーリー」のアニメに慣れ親しんだぼくにとって、すごくありがたい。

それを紐解いていく面白さ、紐解いた時の尊さが深くてすごく好みでした!!

でも、それは(最新刊である)2巻までのお話をガッツリ語ることになるから、ネタバレを含む内容なので「ほぼ考察」とタイトルに入れたし、今から注意書きもする。

ここから先(↓)は 、この作品の重大なネタバレを含みます。

はっきり言って、紹介ではなく「考察」です。

この作品の面白さであり、肝心な部分についてガツガツ語っていくので、
・まだ読んでいない(けど、自分で楽しみたい人)
・自分なりの世界観を大事にしたいから人の意見を聞きたくない人

は、ブラウザバックすることをおすすめします。

 

この作品に込められた数々の伏線とメタファライズこそ本当の面白さ!!

まず、気づきやすいところから言うと…キスですよね。

何度も言うけど、ぼくは百合マンガ初心者で、女の子同士のキスってものに抵抗があった。
ただ、この作品に限って言うと、女の子同士がキスをする理由はちゃんとあって…「キスをすることで、魔力を注ぎ込んで、相手の傷を癒やすことができる」という設定を聞いただけで胸キュンな内容

このシーンはシーナとミミ以外の人物のものだけど…ミミがシーナにキスするシーンもある。

当然、戦いに強いほうが傷つかないから、この設定聞いた時点で、
「ミミがシーナにキスするシーンの方が確率は高いだろうなぁ」
という察しはつくんだけどね。

一方で、シーナは学校の常識に染まってない常識人。
だから、無邪気で幼いミミについても、学校での戦争についても、キスについてもあまりいい感情を持っていない。

だから、ミミがシーナにキスするという行為の意味は、キス単体「治療」の意味とはまた違った意味をシーナは持っている。

また、ミミがキスする時もちょっと特殊で、先生からこんな注意が入る。

土壇場で明かされた事実だが、キスによる治療魔法は失敗すると自分に痛みが跳ね返ってくる代物だそうだ。
よって、キスをしているのはシーナとミミに限らず、「自分が傷ついてでも他人を癒やす」という生々しいまでの愛情表現も内包してる。

それが様式美としても美しいし、彼女たちのキス1つ1つに着目して色々考えちゃうところがすごい。

2巻を読んだ後に1話でのミミの発言をもう一度読み返してほしい。

ミミについての噂話で、ミミがかなりイレギュラーな存在なことは説明されてる。

重要なとこだから少し大きめ。

ここ、1巻の「ミミは幽霊では?」といったうわさ話へのアンサー。
加えて、蘇生魔法のせいで、ミミが不死であることも明かされてる。

で、1巻の1話を見返してみると…ミミはファーストコンタクトで、シーナについてこんなこと言ってる。

1巻ではすごく何気なくシーナのことを好きになったように聞こえたセリフだけど…実はかなり重たいセリフだったことが明かされる。

そもそも、兵学校の中で(イレギュラーとは言え)強いのがミミ、弱いのがシーナなので…優等生はミミで、シーナは落ちこぼれ。
しかも、シーナはさっきも話したように兵学校に染まっていない常識人だから、この学校でやってる自体にもミミにも後ろ向きで、(少女として生活力が高いとは思うけど)あまり魅力的には描かれてない。

だから、ちゃんとスクールカーストで考えたり、人間社会で考えると不釣り合いに見える二人だけど…ミミは一目惚れも同然の言葉で、シーナを直感的に好きになってる

ミミ自体が幼くて真っ直ぐだから「ママみたいな匂いがした」は、ちゃんと読み解くと「一目惚れ」「運命の人」「命で繋がってる」みたいな捉え方ができる言い方をしてる。
しかも、ミミを幼く描くことで、大人が言いそうなありふれた言葉ではない独特の言い回しで重たい関係や予感を説明しているのがすごい!!

しかも、意味が変わったのは1巻のセリフたちだけではない!!

同時に、これはタイトルの意味も変わってくる。
「きみが死ぬまで恋をしたい」
は、ミミがシーナに向けた言葉だとしたら、ミミは魔法のおかげで不死身に近い存在だから「誓いは永遠」とか「一生あなたを愛し続ける」とかそういう意味に変わってくる

「きみが死ぬまで恋をしたい」
というタイトル聞いて重苦しく感じて逃げた人に言いたい。

文面よりもっと重いタイトルかも…

シーナから読み解ける物語の方が実はエモいものかもしれない…

この作品はミミばかりにユニークな設定が付随される。
一方で、シーナについてはあまり考えられてにくい。

くどいようだが、この作品のシーナって能力が落ちこぼれなだけでなく、戦争にもミミにも(特に自分に代案や解決策があるわけでなく)嫌がっているからウジウジと鬱陶しいキャラに見える。

しかも、力も代案も特にないシーナが2巻時点でやったことは「ミミの真実を先生・ミミ・シーナの3人で秘密を守ること」と「ミミが夜に戦争に行ったら、帰りをずっと待っておく」ということだけ。

ミミが戦争にでかけてみんなを守ったり、シーナが大怪我した時にキスして回復させたりとすごいことやってるのに不釣り合いでは?
と百合マンガ初心者の(同時に、このマンガを少年マンガっぽく読んでた)ぼくは感じてしまった。

このマンガ好きな人はBUMPOFCHICKENのsupernovaを今すぐ聞くべき!!!!

この辺がなんでだろうなぁ…とずっと考えてて、たどり着いたのは
「J-popっぽくない?」
という疑問。

J-popでも、「そばにいるよ/そばにいたいよ/そばにいることしかできない」とか、「愛を歌うよ」とか問題丸投げの役立たずな自分を恥ずかしげもなく歌い上げてる歌が多い。
「結局、お前なんもやってなくね?」
みたいにJ-pop聞く度にモヤッとした経験、ない?
ぼくは、歌に対してもJ-popみたいなことがかっこいいと思ってるクソガキにも同じこと思うけど…。

でも、J-pop的で聞くと無責任に聞こえる言葉はそんなに悪いものでもない。
もし、深い意味で伝えることができれば、すごく人間が行きていく上で必要な価値観でもある。

というのも、先日不釣り合いなぐらいできる友人から言われた。
「全部説明するのめんどくさいし、反対意見も多い。でも、あなたは私がやったことを全部覚えてるし、反対もしないからとても話しやすいんだ」
友人は仕事を色々変えてその都度成功してきた人だから、新しいこともするし周りは経緯も知らないし、前例がないから反対もされる。
そんな中で、特にサポートするわけでもなんでもないけど、反対もしないしやったことを覚えているぼくみたいな人はそれはそれで必要だと言ってくれてる。(それどころかご飯食べる時はほぼおごってもらってる)

その人のことを思いついた途端、シーナとかJ-popでいう「帰りを待ってる」「そばにいる」の意味は…正しくはこうなんだろう。

誰の存在だって 世界ではとるに足りないけど
誰かの世界は「それ」があって 造られる

BUMP OF CHICKEN :supernova

この意味、子どもの時はわかんなかった。
だけど、大人になってみると「人間関係ってこうやってできてるよなぁ」と思うことがすごく多くなった。

特におとなになってからのぼくは、社会的にも金銭的にも劣ってて
「なんでぼくなんかに優しくするんだろう?」
みたいに悩んでしまうことは多い。

ただ、大人の人間関係は必ずしもスクールカーストでもなきゃ、会社社会でもないから
その人の人生にとって必要ならあなたはそこにいてもいいよ
ってぐらいのスタンスが実は正解なんだよ。

シーナの生き方は自然体でそれをやってる。
ぼくは色々考えた挙げ句、一周廻って好きになったし、ミミの言葉の意味がますます重くなっていった。

ここまででもマンガでやっているテーマとしてすごいと思う。
それを百合という淡くて、ピュアに関係性を描くジャンルで、様式美として美しく、言葉として説教臭くなく描かれていて、ぼくはこの作品が好きになりました。

 

これが言いたいがために、ネタバレ有りの考察でしかこの作品は語れない!!
同時に、ネタバレしてでも強引に語りに行ってでも、自分の読者…同じような悩みを抱えた人に読んでほしいと思った。

マンガよりレビューに興味があった人は是非読んで!
原作知ってるけど、レビュー見た人は…あと3回読んで。
多分、ここで言い切れなかった秘密や優しい物語が見つかるから。

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これが「目」で語る戦いだ
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