マンガ「半助喰物帖」を読むと、いつか作中の再現レシピを作りたくなる…そんな料理マンガです

マンガ「半助喰物帖」を読むと、いつか作中の再現レシピを作りたくなる…そんな料理マンガです

言葉にするのが難しいからまだ紹介してなかったけど…お気に入りの料理マンガがある。

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料理マンガと言っても、幕末からタイムスリップした武士が料理番を務めるマンガなので、和食中心のシブい料理が多く紹介されるマンガ。

一般的には、料理のマンガといえば、合法レシピや食戟のソーマのように演出で面白く(派手に)見せるタイプの作品が目立ちがち。
だけど、これはレシピや料理している姿といった、料理自体が魅力的な堅実な作品になっている。

あらすじ

まず、主人公は幕末の武士だけど…食べ物を確保しようとしたところ、井戸に落ちて死んでしまう。
その時に食いしん坊の半助さんが死に際に強く「江戸の職を食いつくさずには死ぬに死にきれぬ!!」と強く願う。

すると、江戸は江戸でも、150年ほど経過した現代へとふっとばされる。

多少怪しまれるも、客引きに誘われて居酒屋に入ることになるのだが…お金がない。
すると、酔っ払った女性が、寄った勢いと天性の人のよさで、彼の代わりにお金を払ってしまう。

(マンガに載ってないから)ざっくり調べたところ、半助がいた慶応2年ごろの一分銀は1つで5000円〜5万円ぐらいだそうだ。
だから、昔のお金が使えなくて困ってる半助を寄った勢いで人助けしてる彼女は実はすごーく得している。

でも、そんなことは全く知らないどころか、当の本人は寄った勢いでやってしまったぐらいの感覚だから面白い。

この前後に、半助は得意の料理で納得させ、無事女性の家に転がり込む運びとなっている。

ちょいちょい、言葉遣いややり取りが武士なんだけども…好戦的な武士ではない半助さんは、どっちかというと料理人に近い。
そのへんが、現代に馴染みやすい人格でもあるし、人間関係を作っていく面白さにも繋がっている。

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節々に挟まったタイムスリップトークが面白い。

人間のコミュニケーションの特徴の1つに「納得する」というのがあるだろう。
全部はわからなくとも、自分の中で知っているものの中に似ているものがあれば、ひとまず理解できたり、変わった意見でも丁寧や背景を理由を説明したらわかった気分になってそれ以上のコミュニケーションを省くことができる。

これが現代人同士のコミュニケーションであれば、出身や年代の違う人を参考にすると
「この人はこの言葉で納得するんだなぁ」
というモデルがいれば、作品の中でも会話の中でものをわかったり、わからなかったりする人間を作ることができる。

一方、江戸時代を生きてきた半助さんは、現代社会の中にあって江戸時代にはなかったものがわからないことがある。
同時に、半助さんが納得しようと思ったら江戸時代のものを作り手がうまく今のものと当てはめながら台詞回しを作っていかないといけない。

その結果、「マンションは長屋みたいなものですか?」とか、「美容院ってなんです」「髪結いだよ」と言う感じになる。
半助さんは見たことも聞いたこともないものに(意外とすんなりと)順応していく。
しかし、それは昔のもの・自分が知っている概念で説明されると、見たことなくても納得して受け入れることができる性質を丁寧に描いていることが大きい。

 

こうやって、半助さんなりに江戸時代の知識を使って、現代のものを受け入れていく光景が作中には何度か描かれている。
これが悪い意味での空気の読めない自分語りでもなく、知識自慢のうんちくでもない形で、江戸時代の知識や風俗をうまく描き出していて面白い

また、フィクションの手法だけではなく、読者が共感しやすい人間描写としても良くできている。
というのも、長く生きた人間ほどは自分の知ってるものや見たことあるもので近いものを重ねて、納得しながら受け入れるようにできているからだ!
これは自分語りでもなんでもなく性質的なものだから、少なくない人が共感するか似たような形で物事を納得しようとしている人物を思い出すことだろう。

この辺なんかもうんちくっぽく言える内容だけど、すごくシンプルでわかりやすい。

雑学と、人間味をうまーく噛み合うように出してくるこの作風好きなんだけど…伝わるかなぁ〜。

ぜんぜん違う世界の話なのに、自分の感覚に近い感覚として読める絶妙な落とし所になってるからとても読みやすいんだよなぁ〜。

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調理法を聞けば意外と簡単だけど、実際に作ったことのない絶妙な半助レシピ

料理がメインのマンガだから、料理の説明やたくさんのレシピは自分の目で確かめてほしい。

ただ…半助ならではのレシピが多くて、ぼくは「いつか再現レシピで動画を作りたい」と思うようなものがあることは伝えたい。

そこで、その1つだけこれを紹介したい。

お弁当で、酢の物や味を変えたご飯をメインに据えて、しぶ~く料理していくスタイル。
不可能ではないけど、実際にやった人を見たことも聞いたこともなくて「こんなアイデアがあるのか!」と個人的に驚いた。

ちなみに、これは2巻のお弁当についての回で収録されたお話。

1巻では少しだけ料理についての傾向が違う。
タイムスリップしたばかりの半助が現代の調味料や調理器具の特性を把握しながら作る料理バラエティのような光景で、これはこれで別の面白さがあった。
「料理のレシピを楽しむ」というよりかは、半助がおっかなびっくり料理するのを眺めるのが楽しかった。

しかし、2巻になってくると、慣れてきた半助がいぶし銀な和食で美味しいものを作る作品にレシピが路線変更されてくるため、このマンガでしか読めないようなユニークさを持ってる作品になる。
そのため、「再現レシピで動画にしてみたい」「動画化はともかく、実際やってみたい」と思うレシピになってて、料理マンガとして本当にためになるもの、見たことがないものを見ることが出きてこれもこれで好きになった。

最後に

安心感や居心地のよさが素晴らしい作品だからこそ、このマンガはあまり派手なマンガではない。
だから、レビューとしてやや薄味になってしまったかもしれない。
しかしながら、このマンガが持っている堅実な魅力、大人の生活感のようなものを読者に感じていただけたら、紹介した甲斐があって嬉しく思う。

タイムスリップものも、料理マンガも、史実をなぞったり、再現できてしまう分、どうしても堅実な作品が多い。その代わりに、丁寧な下調べをしないと作れない良作揃いなジャンルで信頼性はとても高い。
一方で、なかなかレビューで派手なシーンやわかりやすい1枚絵を抜き出しにくいから、「もっと評価されるべき作品」が埋もれやすいジャンルでもある。

ぼくは堅実で良作揃いこのジャンル…その中でも料理のレシピ、作中の台詞回し、作品の居心地のよさが素晴らしい半助喰物帖はもっと評価されてほしいです。
一部でも読めばわかる…言葉にできないけど、薄っすらと感じられる居心地のよさやストレスなく受け入れられる感覚…これが伝わっていればいいなぁ〜と思います。

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