本好きが愛した書店はもう懐古趣味の思い出になったんだよ…

最近、電子書籍の売れ行きが好調なぼくだが…未だに紙の本を愛してやまない人たちの存在がどうしても目につく。

電子書籍が発展途上の分野であることも否定しない。
だが、流石に「Amazonにも負けない」なんて豪語する書店員がいるのは予想外だった。

https://twitter.com/honyanohomma/status/1216666569805221888

すごくプロダクトインなつぶやきに
「お前マジでいってるなら、自己満足のマス×ベ野郎だな」
って正直思った。

念の為に言っておくが、紙の本が嫌いなわけでもない。
品揃えやこだわりのポップで奮闘している書店員にリスペクトもある。

しかし、「Amazonにも負けない」と言われた途端に…そんな畏敬の念も
書店をパーティー会場みたいに一生飾り立てていればいい
と、鼻で笑うような感情に変わった。

とは言え、ぼくもマンガという日本の出版物の文化を広めたい彼の同志だ。
いくらバカなことをいうバカでも、同志の努力が無駄になってしまうのは忍びないから、この記事を書くことにした。

日本のAmazonは電子書籍にかなりの力を入れてる。

紙ばかり売ってる書店員は知らないかもしれないが、Amazonアソシエイトでは電子書籍の売上には多めなマージンを提供している。

売上の8%のマージンを配っているだけでなく、Kindle Unlimitedの入会には新規登録者一人につき500円。

これはアメリカのAmazonに比べても高額なマージンだ。
アメリカのAmazonではマージンは4%で、Kindle Unlimitedも3ドルしかもらえない。

日本人はそれだけ本を読む。
紙の本自体の値段もアメリカより安く、(言語をしゃべる人数に対して)ラインナップも充実してる。

何より、日本の出版や取次のシステムが特殊だから電子書籍という商材の価値が上がっている
だから、Amazonのみならず、Amazon以外の電子書籍のプラットフォームを持ってる会社はAmazonかそれ以上のマージンを出して電子書籍を売ろうと躍起になってる。

売る側にとって、電子書籍はかなり優秀な商材
電子書籍は在庫、商域、蔵書数の制限がなく、値引きもできる
→紙の本はすべて逆。無限に良い本がそのまま売れる電子書籍に比べ在庫や書店に来られる人の数しか売れない。
電子書籍は本棚をプラットフォームごとに設置するため、一度そのサイトで買うとその人が本を買う時に、寡占できる
→紙の本は1冊そこで買っても、別の書店で買う人は多い。
ほしいと思った時にすぐに買えるため、バズったり、ネットで宣伝したらすぐに売れる。
→紙の本は書店に行って、最悪取り寄せるのを待たないといけない
Amazonや楽天などの大手サイトの場合、リンク経由で買ったものすべてが報酬になるため、本の宣伝からAmazonで日用品を買おうが、楽天トラベルを利用しようが全部収入になる。
→紙の本は本だけ。せいぜいトレカやゲームぐらい
紙の本を扱う会社はAmazonと勝負しちゃいけないし、勝負にもならない!

だから、いくら素晴らしい書店を作っても「Amazonにも負けない」なんていうやつはバカだと思われてもしょうがないんだよ。

竹槍とB29で戦ってるのと同じだからね。
どんな槍の達人だって、辺り一帯を焼き尽くされちゃどうしようもないでしょ?

だから、街の本屋はAmazonを持ち出してはいけない。
使ってる武器でもう負けてる相手を仮想的にしても分が悪すぎる。

そもそも、上場企業でさえ「古き良き本屋」がもう絶滅危惧種なんですよね…

日本に限らず、上場してない会社の方が上場してる会社よりも多い。

しかし、上場している会社が多いことや、その会社が多く投資されていることは業界を語る上での1つの目安となる。

そこで、上場している書店関係の銘柄をいくつか見てもらおう。

これは「株探」というテーマ別の銘柄や大株主を調べるのに便利なサイトから引用したものだが…古き良き書店は文教堂GHDだけだろう。

新品の本と文房具だけを扱い、古本もトレカも雑貨も扱わないような本屋が屋台骨を支えている会社は文教堂ぐらいしかない。
本屋が大好きな人は蔦屋書店やヴィレッジヴァンガードでさえ「いけ好かない」「あんなの本屋じゃない!」と怒る人がいるから…本当に純粋な本屋だけを取り上げると文教堂ぐらいになるだろう。

「丸善はちゃんとした書店を運営しているじゃないか!!」
というご指摘もありそうだが、実は…丸善は大学や研究機関への文教分野、図書館の運営が多くを占めていて本屋らしい本屋で持っている会社ともいいづらい。

投資をやってない人は
「大日本印刷があるだろう!」
と思うかもしれないが…社名とは裏腹に、紙の本の話なんか一ミリもしない会社になってる。
それどころか、色々調べた限り子会社の丸善に紙の本に関わる業務全般を丸投げして、もう紙の本の話をしたくない感じにさえ見える。

本屋原理主義の人たちを突き放す言い方をしたが、別に紙の本を扱う本屋が消滅したわけではない。
だが、本屋という業態は「本が好きな人のための本屋」から脱却してることはもうちょっと理解しておいたほうがいいだろう。

本屋を飾り立て、いい作品を紹介すること自体が悪いとは思わない。
しかしながら、経済的な視点で言えば、紙の本という商材の不便さや、大資本が本屋という商売を今どう捉えているか…それはちゃんと把握しておかないと、見当違いなことを言ってしまうことだろう。

お金や経済のリテラシーを教えてくれる義務教育がないからわからないことが恥ではない。
しかしながら…わからないまま雑な発言をして、自分と意見が近い人ばかりに褒められる世界観にいると、身の振り方を間違えることになるだろう。

お金の勉強に抵抗があるなら、とりあえずカードゲームをやってみてはいかが?

ここまで書くと
「書店員は、自分の本の知識を書店ではなく、インターネットで披露しろってことか!?」
と赤面しながら突っかかってきそうだが…そこまでは言わない。

そうした方が多分儲かるとは思うんだけど、こればかりはその人の人生だからぼくの意見を押し付けても良くない。

そもそも、文化的なことが好きでお金で判断するのが嫌いな人の可能性だってある。
そうなってくると「商材の特性をお金儲けの視点で判断しろ」とか「上場企業を分析して今どんな業態の本屋がきてるのかよく考えろ」なんて言い方をした地点で、汚いものを見る目で見てるかもしれない…。

そこで、
「カードゲームを始めることで、あなたがどんな人間で、どのように目的を達成したいかを今一度見つめ直してはいかがでしょうか?」
解決策として提案したい。

カードゲーマーには大きく分けて、3種類の人種がいる。
・とにかく勝ちたい人
・自分らしく勝ちたい人
・勝ち負けよりも好きなカードを使いこなしたい人
細かい定義はティミー、ジョニー、スパイクというマジック・ザ・ギャザリング(MTG)の用語について読めばいいのだが…とにかく、みんなが勝ちたいというわけではないからこそ、カードゲームは多様性が生まれやすい。

とにかく勝ちたい人は、「環境デッキ」と呼ばれる強いデッキをとにかく真似してらいい。
これは現実でもとにかくお金を稼ぎたい人は、人から嫌われていようが儲かりそうな会社や職種を選べばいい。

人々から
「このカードの性能はおかしいからバランス調整すべきだ」
「酷い性能のカードで力押ししてくるデッキなんて面白くないじゃないか」
といわれるかもしれない。

でも、
「みんなそれを利用したらいい。勝てるカードを使うのが正義だ!」
と勝ち続けてやればいいだけのこと。

ところが、ぼくは人よりも面白いマンガを見つけるのが好きなオタクだから、
「そんな勝ち方をしても相手の心に残らないし、自分で勝ち取った気がしないから面白くない」
と思ってしまう。そこで、自分なりのデッキを作って勝ちに行こうとする。

自分が好きなコンボやスタイルがあって、それを貫いて勝つことが好きなんだ。
そのために、カードの勉強もするし、自分の一番やりたいことのためにちょっと折れることもある。

あなたも書店なんて相対的に見たら不利なジャンルにいるから
「自分らしい勝ち方で、環境デッキに勝ちたい」
と思うようなカードゲーマーかもしれない。
だとしたら、ほんとうの意味でぼくと同じだ。

いや、書店をもっと勝ち負けを捨ててる場所だと捉えてるとしたら
「10回中9回負けてもいいから、人があっと驚くようなコンボを実現して、それをやり遂げたいんだ。」
とか、
「自分らしく遊ぶために友達と独自ルールを作って一緒に遊ぶのがいいんじゃないか!!」
というタイプかも知れない。

どんな遊び方を楽しむ人であっても、カードの性能は知っておいたほうがいい。
どんな生き方をするにしたって、お金の使い方や流れ方はわかっておいたほうがいい。

ただ、自分の人生に必要なことが何かを導き出す時、お金のことが絡むとついついフェアに考えられない人が出てくるだろう。

そんな時、ぼくはカードゲームをおすすめしたい。
カードゲームは自分がやりたいようにゲームをするから、自分がどんな人間で何をしたいと考えているかがわかるようになるゲームだから。

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マジック:ザ・ギャザリング

MTGでも、シャドバでも、ポケモンカードでも、遊戯王でも何だっていいんだけどね。
ただ、ぼくはシャドウバースをやりながら感じてることを、MTGで説かれている理論に言語化してもらったから「MTGすごいなぁ」と尊敬してるよ。

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