本当にすごいマンガに出会った。まさかこんなことになろうとは…
色んなマンガ読んできたけど…
「ラブコメとして尊すぎて、読み進められない…」
と、読むのに2日かかったのは初めて!!
本来、「尊い」という言葉は重たい言葉だが…最近は、ネットスラングとして手垢のついた言葉でもある。
ぼくも手垢のついた言葉でこの作品の評価を語ることに、最初は抵抗があった。
しかしながら、温かい気持ち、優しい世界に触れるうちに
「尊いとは本来、自分も優しい気持ちになれるほど温かい作品やキャラクターに敬意を込めて使う言葉。この作品にこそふさわしい言葉ではないか!?」
と思い、タイトルに盛り込み、感想の一言目に盛り込むことにした。
数多のジャンルを1つのラブコメに詰め込んだ濃厚で甘い1冊!!
まず、この物語は、魔王と片思いの従者。
退屈していた魔王に、従者がさらっとプロポーズをする。
あまりにも唐突だったため、魔王が意志を確認すると
「子供は8人くらいほしいですね」
と満面の笑みで対応する。
しかし、魔王にはその気はない。
というのも、従者は魔王が拾って育てた子どもで、魔王はというと年の差が大きすぎるからだ。
「恋愛に年の差なんて関係ないよ」
という人には申し訳ないけど…相手と種族が違って、年齢差が開きすぎると…先に逝ってしまうから…奥手になるのよね。
その人を看取る覚悟がないとそもそも結婚できないという現実がまっさきに頭をよぎる…
ただ…好きなことは好きな様子。
すっかり意識してしまってキュンキュンしている。
異種愛、主従愛とかオタクがいかにも好きそうなファンタジーラブコメの要素を取り込みつつ、王道の甘酸っぱい恋の要素もしっかり入ってる(むしろそっちがメイン)というから、この作品は懐が深い。
懐の深い作品だからこそ、
「わずかな見逃しもないように」
と丁寧に読んでいたら、濃厚なラブコメ要素に当てられて、2日恥ずかしくなっては本を閉じるを繰り返して読み終えるぐらいになってしまった。
たらしか、バカか…とにかく恥ずかしいセリフの多い片思い従者にニヤニヤ。
なんでこの作品を読むのに2日もKindleを開けたり閉じたりしてたかというと…従者のキャラがあまりにも魔王のことになるとどぎつくなるからだ!!
男としてのケダモノ感と、深すぎて空回りしている愛情が節々に伝わってくるから…読んでいて、冷静でいられず、恥ずかしくなって本を閉じてしまうのだ…。
いや、また読みたくなって開くんだけどね。
こういう業が深いケダモノみたいな発言の多い男だけだったら、そこらへんのネットマンガでも描かれてるんだけど…これにちゃんと胸キュンして愛情を受け止めたいとも思ってる女性の思念が入ると、物語はとんでもなく尊くて、恥ずかしくなって一度ページを閉じてまた気になって開いてしまう。
ただ、この魔王側の愛情はちょっと目線が違うんだけどね。
聞き手に、従者とはまた違うメイドがいるから両方の本音と本音が間接的にぶつかり合うラブコメになってて、すごいんだよ…これ。
間接的だからこそ関係がじれったいぐらいゆっくり進むし、
間接的だからこそ、本音が生々しくこれがまた恥ずかしさを煽るし、リアルさが倍増する。
このマンガの魔力だよね…。
ラブコメって直接言い合うと、実は逆に本音が言えなかったり、バカップルっぽくてうさん臭くなることがあるけど、愛情表現が間接的なものと(間接的にしか本音を言えない段階を経た)直接的なものをしっかり描くことで、厚みがましてくことがわかって、それはもうたぎるものがあった。
たぎるって言えばいいのか、こみ上げてくるが正解なのかわかんないけど、恥ずかしさと深い愛情が伝わって直視できないものがこのマンガにはあった。
この作品って、オタクっぽいところや、バカップルすぎて痛々しいところもあるけど、そういう部分が苦痛にならずに読めるほどベースや根拠がしっかりして、とにかく「尊い!!」ってことばが似合うと思った。
ぼくはこういうものにこそ…この甘さと熱量にだけ「尊い」って言いたい。
そういう作品に出会えて幸せを感じたよ。
ラブコメと言わず、この二人の夫婦生活まで読みたい。
あんまり変わんないのかもしれないけど…変わんないなら変わんないで好きな作品そのまんま描かれ続けるのってそれ以上オタクとして幸せなことはないから。