老害オタクです。時代はソーシャルゲーム読んでも、ラノベ読んでも、あるいはアニメを見ても…ハーレムで萌え萌えな作品ばかり。
かろうじて萌え萌えじゃなかった時代に滑り込み的にオタクになった僕には、今はしんどい時代。
萌え萌えを突き抜けてしまうと「石鹸枠」とか「バブみ」とか「なろう系」なんてのもあるらしいけど…ほんとしんどい。
でも、今回紹介するマンガはむしろ、石鹸枠で萌え萌えですごくソシャゲー的なマンガ「戦恋(と読んで、ヴァルラブ)」。
このマンガ、老害の僕が苦手なはずなソシャゲーでラノベでハーレムで萌え萌えな作品なのに、理由付けがキチッとしてるから理屈っぽい作品が好きな昔ながらのオタクが読んでも十分楽しめる。
あらすじ
イチャイチャしないと生き残れない。
9人姉妹のルームシェアラヴアクション開幕!
主人公はコワモテな顔つきが原因で、極度の人見知りになってしまった亜久津拓真。
その彼が、悪魔と戦う戦乙女(ヴァルキリー)の9人姉妹と一緒に共同生活を送ることになった。
また、戦乙女達は「拓真とイチャイチャすることでレベルが上がり、イチャイチャしないと悪魔を倒すことができない」ということで…人見知りな拓真には生き地獄なことに、デートをしたり、ディープにいちゃつくことで戦乙女はレベルアップするそうな…。
イチャイチャの内容もラフなところで手を繋いでデート。

それどころか、(合意の上で)OPPAIだって触りますからね、この主人公!しかも、直に!!(詳しい状況は、マンガを買って自分で確かめてね!)
ちなみに、残りの8人の戦乙女はこんな感じ。(画像のサイズがグズグズですが、ご勘弁ください。)


細部まで作りこまれてた「石鹸枠」
女の子、敵のデザインそれぞれの画力も、
イチャイチャするキチッとした言い訳がある設定も、
主人公の共感しやすいキャラクターやそのストーリー性も…
すごくきちっとしていて、00年代のアニメが好きな人が見てもキチッと見られる作品。1つ1つの仕事が丁寧で安心して見られる作品。
しかも、描く対象によって、目指している所が少しづつ変えて感情移入しやすいようにかゆいところまで手が届くような工夫が随所に見られる。
女の子は柔らかく、なめらかに、そしてリアルに!!
柔らかくてなめらかに…特に、服や肌の質感まで丁寧に描くことで、拓真がラッキースケベ的に触ったりした時にキチッと柔らかさが表現されていていることが、マンガでハーレムをやる大きな利点になってた。
これが細かい仕草や徐々に脱いでいく・途中から男が触れる絵が作れない描けないソシャゲー、ラノベとは、また違う味わいになっている所がミソ。
マンガだと、立ち絵以外にも細かいシーン・過程・やり取りに応じた動作までキチッと順序立てて描けるから、より具体的に…同じ題材でも女の子とキチッと恋愛したり、甘いやり取りをしているさまが手に取るように思い浮かぶようになっている所が、やり尽くしたジャンルなのに、受け手に新鮮味を与えてくれた。
また絵だけじゃなくて、拓真に対する感情についても「ハーレムの設定が活きる形」をちゃんと考えぬかれていた。
特に、女の子同士が拓真を話の種にしてる所がすごく「人間味」が感じられた。
というのも、この手のソシャゲー・ラノベの多くは主人公と1対1の女の子が複数名いるような作品が多い。
女の子同士で「あいつどう思う?」なんて下世話な会話もなければ、あからさまにくっつけようとするおせっかい(逆に、好きなのに女の子同士の人間関係から意中の彼に近づけないこと)も、ハーレム作品の女の子同士の間ではあんまり描かれない。
ハーレムである前に、同性の人間関係があることを匂わせて描いている作品が意外に…ない。だからこそ、ハーレムでありながら、その後ろに女の子同士の人間関係もキチッと描いている作品にリアリティを感じられて、一歩踏み込んだ深い作品に見えた。
女の子には女の子同士の事情とか世界観とか時間がきちっとあることが描かれているところまで描いたハーレムマンガなので、その部分を読んだ時に
「ジャンルとして苦手意識があったけど、このジャンルをきちっと描くとこんなに面白いのか!!」
と、衝撃を受けた。
それでいて、全員が主人公の男に特別な感情を持ってるわけじゃない人や、感情と行動の間に溝がある人など、細かくさをつけながら描いているため、9人もいるにもかかわらず、キャラが潰れたり、男と一緒にいる奴ばかりが目立たずに、面白いほどキャラが立っていた。
「なんでモテるかわかんないハーレム」じゃないところが素晴らしい!!
男の子…というか、主人公の拓真についても少し。
拓真はゴツく描き分けていながら、キチッと感情移入できるような過去のストーリーや、とっさの行動…メンタルの弱さや努力する様がきちっと描かれていて「女の子から好かれる・嫌われる・気にかけてもらえる理由」がキチッと論理的に説明できるような描写があるところが、単なるハーレム作品と違っていてよかった。
ハーレムモノの男主人公は人見知りとか唐変木とか使い古された設定になりがちだが、そのありふれた設定からどうやって脱却・差別化していくかでハーレム作品の面白さは決まってくる。
この作品の場合、ベタなんだけど、キチッとストーリーや生い立ち、女の子たちが彼を論評する描写など読者に男主人公に対して感情移入させる工夫が徹底されていたため、ハーレムでありながら主人公当人にも共感・応援できる作りになっていた所が洗練されていて、読みやすかった。
このように、昔の作品には当たり前のようにあった「感情移入できるような理由付け」「生々しさや人間味を感じるリアリティ・緻密さ」と最近流行ってる「ラノベやソーシャルゲームにありがちなシーン、設定」がうまく噛み合っているため、このマンガは新旧それぞれのオタクが見て面白いものになっている。
僕はそこを作品の中に見出すことができたため、「これはいい」「この作者すごい」と言いながらじっくりと楽しませていただけた。
いや〜ごちそうさまでした(^○^)
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