最近、政府の「働き方改革」とか「休み方改革」とかなんとかで「プレミアムフライデー」というモノが導入されている。
これは、毎月の最終金曜日に仕事を早く(15時ぐらいに)終えてもらって、その分余暇を満喫してもらおう…というもの。
詳しいことはこっちでどうぞ
ただ、僕はこの話題を見かける度に
「プレミアムフライデーはね、プレミアムな人にしか来ないからプレミアムフライデーっていうんだよ」
と、口酸っぱく言ってる。
ちなみに、9割の人はプレミアムじゃないようで…プレミアムフライデーなんか一度も来ていない人が9割にもなるとか…。
これまで何回「プレミアムフライデーだった?」 1000人アンケートの9割が「1度もない」 | ニコニコニュース
プレミアムフライデー満喫、1割以下 店に客なしの現実:朝日新聞デジタル
好きで長時間労働しているわけじゃない!!
「働き方改革」「休み方改革」とか言うけど、好きで働いているワーカーホリックなんてごく一部。
大多数の人は仕事が片付かないから残業も土日出勤もする。
すごく極端な例…運送や営業など「ルート」がある仕事は、良心的な会社でも8時間…あくどい会社やキツいルートだと残業を前提に仕事を組んであるから、そのルートをカバーする人手と、ルートを決める上司が拘束時間を変えてくれないとそもそも、就労時間なんて減らない。
ブルーカラーなんか一生やることのないような…政府の会議で好き勝手な事を言うだけの学者・コンサルタント連中には眼中にもないかもしれないけど…就労時間なんて案外そうやって伸びてる。
…ちなみに、トラックのドライバーは全国に83万人もいるので、そんなに少数派の話でもない。
仮に、そんなこと僕が反論しても、政策サイドの人達から
「トラックのドライバーなんて田舎者で、おっさんで、貧乏人はプレミアムフライデーが来てもカネ使わないだろうから関係ない。カネの使えるプレミアムな人達に余暇を与えてカネを使ってもらいたい。」
といわれるのがオチだろう。
そんなこと言われたって、「お金があっても、簡単に休めない仕事」もいっぱいあるからね…。
そもそも、休日に休むような仕事は今も多数派なのか??
わかりやすいのは病院。
それも入院患者がいるような大きな病院は、正月だろうが、プレミアムフライデーだろうが休めない。
診察を休むことで「花金」になる人もいるかもしれないけど、診察を休んだって、大きな病院には看護師や医者が常に詰めてる。
販売系でも、スポーツ系でも土日にガッツリ稼ぐような人はプレミアムフライデーなんて言ってる場合じゃないし…。
そして、土日に休めないような仕事の多くはシフトの関係で、「誰かいなきゃいけない仕事」か、「他の人が休んでいる時が書き入れ時の仕事」だから働き方改革もクソもない。
こういう指摘をすると、どうせ政治的な人達からこう返ってくるだろうね…。
「そういう特殊な仕事じゃなくて、普通にオフィスや工場に勤めてる人達にプレミアムなフライデーを満喫してほしいの!!」
落ち着いて考えてみなさいって…。
オフィスも工場も自動化・デジタル化して、今そんなところで働ける人は名前を知られてる程度にいい大学を出たエリートか、ツテのある高学歴な学生さんと相場が決まってるだろうに。
もはや、プレミアムフライデーを取るのが先か、ホワイト企業に入るのが先かの鶏卵じゃないですか…。
データで示そう。
統計局ホームページ/III 変化する産業・職業構造(05年版)
統計局ホームページ/平成22年国勢調査(職業などの基本調査)
05年までは年々製造業が減少し、小売・卸売業の従事者が増えている。
05年・10年ともに小売・卸売が製造業を越えている。
他にも、医療・福祉業やサービス業が増えていて、2010年版では1割を越えてる。
特に05年の医療介護系は増加率の多い小分類を見ても上位を連ねているところがまた面白い。(※個人的には「宗教」の従事者が増えたのがけっこうツボだが、ここでは関係ない話だから割愛。)
何が言いたいかというと、
「職業や職種の性質上、土日祝日に休めない人が昔よりも増えてる。それは職業柄の問題だから、政府が休みを決めて解決する話ではない。」
…やるならむしろ、有休取得率を上げる方をがんばったほうが、恩恵を受ける人が圧倒的に多いように思えてしょうがない。
有休取得率(有休消化率)だって、日本は最下位なんだから…。
働き方・休み方改革=転職!?
有休消化のところにはもう1つ面白いデータがあったので、これも取り上げる。
まさか
「有休をとってもいいのに、今までむとんちゃくな上司と本人がキチッと話し合わなかったから、有休が取れなかった」
なんてことはないでしょ…。
シフトのある業務であれば、誰かが有給を取れば当然埋め合わせは必要だし、それを会社ぐるみで有給取得に積極的なところであれば、シフトについて積極的に予定を聞いてくれたりもするだろう。
実際そういういい会社に当たった時は楽をさせてもらったこともあるから、「有給取らせる気のある会社=有給の話、シフトの融通の話が飛び交っている」のは経験でわかる。
でも、上司が強引な人だったり、交渉しないと休みが勝ち取れないような職場もある。そういう職場は責任者の愚痴や煽りが色々聞こえてくる…。
こればっかりは職場の空気や文化の問題。
いや、会社単位ではそうでもない場合でも上司とウマがあうかどうかで、有給が取れたり、シフトがマイルドにも厳しくもなったりもする。
みんなで動くから定時が決まってたり、どのシフトになっても大差ない職場ならそういう小競り合いは小さいのかもしれない。
でも、夜中でも動いているような職場や、人の出入りが激しい職場になると…もう上司の裁量とか、職場に人がいるかどうかとか自分以外の要素が左右するし…。
待っててもプレミアムフライデーはおろか、土日祝日さえ来ないような人は職種を変えるか、職場を変えるか、上司を変えるかしないとどうしようもないのよね…。

もちろん、政府の政策で、今いる職場・今やってる仕事で有給が増えたり、働きやすくなるのが一番だよ?
でも、そうならない以上、自分ひとりだけでも「働き方・休み方改革」するしかないんじゃない?
プレミアムフライデーが来るほどプレミアムになれるとは思えないけど、仕事に対して持ってたマイナスなイメージや決めつけぐらいは変えてくれることもあるし…