ぼくが好きなVtuberさんの一人に周防パトラさんという人がいます。
単純に声がかわいくて癒やし効果が高いから、まず歌が良いんです。
次に、この声で女オタク特有のキャッキャウフフした感じを出すわけですから…いいんですよ。
そして、配信やらせても話が面白い。
素晴らしいのは間違いないんだけど…素晴らしすぎて1つの疑問が湧きました。
パトラさん…手際が良すぎない?
Vtuberとしては(トップがチャンネル登録者100万人以上で、100万人未満で全体で見て50〜100位の間のパトラさんは、)大手の一人に過ぎません。
でも、この人はオンリーワンでかつマルチでかつ異色であり、何よりも目指してる方向が違うんです。
普通、VTuberはもっと浅く広くを目指すが、手際が悪くて積み上がらない
Vtuberというと、普通は
・生配信をできるだけやりまくってスパチャ収入に力を入れてる。
・配信内容はゲーム実況でさえなく、ゲーム脳でも問われない雑談配信多めな人も…。
・少しでも自分のファンを広げるために、2回に1回ペースでコラボ配信をしまくる。
・ホロライブ、にじさんじなど大手事務所に入ってコラボグッズ化、メディアミックスを駆使しての新規層を獲得しようとする。
みたいなビジネスモデルがセオリーなんです。
これはこれで良いんですよ?
だって、めちゃくちゃ儲かるんだもん…。
2020年の世の中が大変な時に、ウェブの世界では見ず知らずの人に札束を投げ続ける集団がいて…それが積もって1億ですか。
金額がぶっ飛びすぎて、「Vtuberは陰キャのキャバクラ」と言われて納得されるのもわかる気がします。
まだ今年を振り返るのは早い気もするけど今年見たツイートの中で一番好きだったのは「Vチューバーは陰キャのキャバクラ」ですね…これは本当に大好き
— 不純@アサシンの女 (@fffjjjnnnfgo) November 17, 2020
色んなご意見はあるかと思いますが、
さっきRT先で「キャバ嬢に貢ぐのは貢げば貢ぐほどちやほやしてくれるから。Vに貢ぐのも貢げば貢ぐほど認知してもらえやすいから。どっちも本質はそんなに変わらない」って言われてて妙に納得した自分がいましたね。両者共に大前提として今より上にあげたいって気持ちもあると思うけど
— 不純@アサシンの女 (@fffjjjnnnfgo) November 17, 2020
問題は、ここからなんです。
2020年のスパチャ1位にもなった桐生ココさんですが…卒業してます。
理由は
「台湾を国だと認めるようなGoogle上の表記が、bilibili動画で見ている中国人の怒りを買って、中国人アンチからの攻撃が過激化。そこにホロライブからのフォローがないどころか2020年ナンバーワンVtuberに対して、案件もコラボも避ける仕打ちを行う」
ということが起きたんですね。…ちなみに、同じくスパチャ上位勢の湊あくあさん・兎田ぺこらさんも中国勢に難癖つけられて痛い目を見てます。
スパチャや広く浅く認知してもらうビジネスモデルはたしかにうわ振れるとすごいです。
しかしですね…広すぎて何が混じってるかわからないファン層に自分のチャンネルをめちゃくちゃにされると一瞬で吹っ飛ぶ砂上の楼閣なのです。
しかも、Vtuber事務所には芸能事務所や政治家みたいな権力もノウハウもないからトラブルが起きたらもうおしまいです。
いや、そもそも事務所自体が未成熟すぎて、キズナアイさんみたいに人気が高いのに内部分裂してひどいことになるケースだってあります。
だから、ぼくは今でもホロライブで好きなVtuberがいないです。
基本的に個人勢か、ほそぼそとがんばってる事務所のVtuberさんを応援することが多いです。(※ただし、鈴鹿詩子さんは除く。彼女をにじさんじが受け入れてることのほうがおかしい)
逆に、玄人志向すぎて文化を作ってしまったのが、周防パトラさん
一方、周防パトラさんはチャンネル登録者だけなら大手の一人に過ぎません。
しかし、彼女は声入りのASMR配信では…Vtuberどころか、国内でもトップなんじゃないかと思います。
実際問題ですね…DLsiteという声入りのASMR作品を多く販売しているサイトでは、作品が約43000ダウンロードされて、全年齢作品のASMR分野で歴代第一位を獲得しています。

何がすごいかというと3点です。
1、周防パトラさん自身も、スパチャを累積で5000万円以上もらいながら、DLsiteでも年商5000万円前後のサイドビジネスがある。(多角化経営の成功)
2、作品販売による収益なので、スパチャのように「一人から多く」ではなく、まんべんなく沢山の人から得た収益で5000万稼ぐ。(安眠ASMRをメインとしたユーザー思いの配信で多数の支持あり!さらに、同人作家として食べていける才能。)
3、「声入りのASMR作品」という分野ならば、上坂すみれさん・茅野愛衣さんなどアニメで大人気のプロの声優さんにも勝てるし、同人で人気の声優さんでも全年齢では周防パトラさんには勝てない。(Vtuber自体の可能性を開拓したパイオニア)
なんです。
他のVtuberや事務所がやれ「売上だ」「効率だ」「人気だ」と言ってる時に、簡単に潰れない手堅いビジネスモデルと、マニアックなファンやヘビーユーザーの評判を勝ち取りに行ってるんですね!すごすぎです!!
「いうて、DLsiteなんてニッチなサイトで勝っても井の中の蛙ちゃうんかい!?」
むしろ、逆です。
DLsite自体がハイレベルですが、特に音声作品はプロもアマチュアも入り乱れていて競争がすごいです。
嘘じゃないです、本当にアニメ声優としてトッププロ張ってるような人も、同じ土俵で作品を売ってます。


そんな中でVtuberを名乗る世間的には得体のしれない人が勝つんですよ?
厳密には畑が違うとは言え、トッププロの声優にVtuberが声の演技で勝つんですよ!?
スポーツで言うと、
ソフトボール選手が人気も稼ぎも何十倍のプロ野球選手に勝つような、
まだまだ日本勢が弱かった時代に、世界最強クラスの競走馬を日本に招いてまとめてなぎ倒してしまったトウカイテイオーみたいな…そういう次元の話です。
メダル獲得、テレビ出演・企画で女子ソフトボール選手のスゴさが知れ渡っていくと、プロ野球のスカウトに抜擢されることまで起こります。

トウカイテイオーがジャパンカップに日本馬として7年ぶりに勝ってからは、それまでの世界と日本の差が縮まるように風向きが変わっていきます。
周防パトラさんはそのぐらい歴史を変えちゃったんです。
彼女がVtuber出身で、DLsiteで大成功を収めたことをきっかけに、次々と作品作りができるVtuberさんは同人作家の側面を強くした人がドンドン注目されるようになっていくんです。
…でも、ちょっとできすぎてませんか?
黎明期ならともかく、ある程度成熟した分野は「できすぎたヤツ」が歴史を変えます。
女子ソフトボールには女子ソフトボール史上最高の投手である上野由岐子さんがいます。
トウカイテイオーは、七冠馬シンボリルドルフを父に持ち、本人も賞金や勝利だけじゃ語り尽くせない謎記録をたくさん持ってます。
じゃあ、周防パトラって何者?
それだけできすぎた人がなんでVtuberしてるの?
「周防パトラ=桃箱説」はすべての疑問に応えてくれる&本人の好感度が上がる!
まず、「桃箱って誰だよ」って人のために言うと…10年戦士の歌い手、声優です。
ゲームの完成度はともかく、Wiiのゲームソフトなわけですから、この頃には企業案件を請けられる立場にいたことになります。(そして、ニコニコ百科事典の記事ができたのもこの頃なので、2010年には知られていたみたいです)
桃箱としては引退しているため、本人が投稿した動画は残ってません。
しかし、ニコニコ動画とYou Tubeがまだまだ断絶してた時期だったこともあって、本人が消した動画も、代表作は残ってたりします。
You Tubeでは清純な作風だけど、ニコニコではゴリゴリにオタク臭い作風で…うん、めっちゃ好きですね。
そうそう、スタイリッシュなのもちゃんと残ってますよ。
ちなみに、桃箱さんの作品ではないんですが、この人の作品でめちゃんこ有名なのが「インドア派ならトラックメーカー」です。丸一日ずっと流し続けたこともあるぐらい好きな曲です。
「えーでも、周防パトラさんってそんなに歌動画多くないじゃん…。歌が得意なら、You Tubeも歌で突き抜けていけばいいのに」
と思う人もいると思います。
仕方ないじゃない!
そんなに歌ばっか投稿したら、桃箱感出ちゃうんだもん。
加えて、自分で曲作っちゃう技術とかも、ここまでの一連の流れを見ていけば、色々納得です。
あ、そうそう。
周防パトラとしての歌の動画は少ないですが、歌に強い自覚はあるからちゃんと「有料コンテンツ」としてお歌もございます!
Amazonで歌、DLsiteでASMR作品、Vtuberとして配信や実況という三刀流なんですね。宮本武蔵どころかゾロですね!
「歌い手兼配信者でしょ!ASMR配信者としての桃箱さんがないとまだパトラ=桃箱とは認められない!」
もちろん、DLsiteには桃箱時代の音声作品もちゃんと残ってます。
「甘音缶」というサークルで検索すると出てきて、Vtuberになる前に音声作品作りや販売の実験を個人サークルでやった形跡があります。良かったら探してみてください。もちろん激似どころかほぼ本人です。
この時点で、「周防パトラ=桃箱説」が本当なら、できすぎてた理由は説明できます。
パトラさんは新人ピュアピュアなVtuberの皮を被った、10年戦士の歌い手・生主・声優で声のなんでも屋です。
動画投稿者としても、同人作家としても実績がありまくるからこそ、マニア受けしたコンテンツも作り、媒体をまたいだ多角化経営もできることも納得です。
アニメ業界で言う京アニみたいなもんです。
元々の京アニは、2003年まで元請けでアニメを作らなかったからオタクや業界人しか知らないアニメ会社だったものだから、突然すごい会社が出てきたように見た人もいたと思います。
ところが、下請けながら仕事ぶりが評判すぎて、元請けの仕事をほとんどやってしまったり、ジブリ作品に参加したり、元請け側が京アニのためにスケジュールを調整したりと、立場が逆転気味でした。
それだけ仕事ができる会社が、新しいことをやる決断と、ブランドイメージを確立したら無敵ですよね?
10年戦士の声のなんでも屋が、オリジナル作品を出しても売れるようなブランドイメージの上で仕事できたらそりゃ無敵です。だから、ぼくからすると逆に好きになりました。
そして、桃箱さんの存在は「Vtuberの世界を見渡す時」にすごく使えるんです。
東方同人で大暴れしてたVtuberは…強いし、推せるぞ!!
実は桃箱さんを知ったきっかけは東方ヴォーカルでした。
「周防パトラさんの前世は桃箱です」
と聞いた時に、普通そこから調べる人が多いと思いますが…ぼくは
「あの桃箱さん!?東方ヴォーカル作品を出してるあの桃箱さん!?5年以上前から知ってるぞ、その人!!」
と、ビビリ倒しました。
そうなんです、東方ヴォーカル系の作品には色んなサークルを残していて、自分のサークルにこだわらないで色んなサークルの作品に出て歌いまくってます。(逆に言うとそれだけ人から呼ばれるほど優秀だったんです)

だから、僕にとっては桃箱さんって、東方の人なんです。
そして、東方同人で思い出したんですが…東方同人出身の豪傑が二人ほどバ美肉化してましてですね…
歌ったり、生配信したり、ゲーム実況したりしてますが、本来はマンガ家です。
それも、東方Projectの二次創作作品のマンガで「がんばれ♥がんばれ♥」というその道では知らない人がいないほどの名言を生み出した伝説のマンガ家です。
もうひとりが、ライフ先生とも繋がるのですが
この人も東方Projectの二次創作作品で有名な人です。
東方音楽に限って言えば、3本の指に入るぐらいの有名人だと思います。
というのもですね、
「(゚∀゚)o彡゜えーりん!えーりん!」
の元ネタの曲になった歌ってます。
この顔文字やフレーズをニコニコ動画のユーザーで知らない人はいないと思うので、アラサーのオタクさんはビートまりおさん知らなくても、この人の曲や作ったものには触れたことがあるという、状態になってます。
この二人はレジェンドすぎて、「本人の声のまま」登場するバ美肉スタイルのVtuberですが…落ち着いて考えてみると、この人達だってコンテンツの製作歴は10年20年戦い抜いてきた歴戦の猛者です。
Vtuberのほとんどは企業も演者もそこまでのキャリアはなかったりします。
しかし、東方同人出身者や、表の世界で目立つ仕事をしてこなかったクリエイター達からすると
「自分だけのブランドを0から確立すること」
以外は全部できる上に、キャリアもVtuberの運営会社以上に長かったりするため、個人で持ってるノウハウが半端なかったり、Vtuberブームに依存しない動きができたりするんです。
周防パトラさんも、ライフ先生も「新人でーす」みたいな顔でVtuber始めるが、あまりにも立ち回りややりくりがうますぎて「お前のような1面ボスがいるか」状態になるんですよね。

こういう人はそう多くないから、時代の流れにはならないと思います。
しかし、「末永く活動してくれる人にスパチャしたい」「事務所に絞られない個人勢や、事務所にモノが言えるぐらい優秀な人を応援したい」という人は、推し選びに参考にしてもらえたら嬉しいです。
あとがき:これ書いた人
Vtuberの前職・過去を「前世」と呼ぶの、パワーワードすぎて好きww
そして、前世がベテランのやり手だと2回目のブームで地位を確立した有吉さんみたいでエモい。でも、「Vtuber 前世」と検索しても出てこないのに、大ベテランのライフ先生と渡り合う兎鞠まりこそ最強ではないかと勘ぐってるww
— 三沢文也a.k.a.青二才 (@tm2501) August 1, 2021
個人的には、ライフ先生をリードし、バ美肉なのにガチ恋勢を生む兎鞠まりさんが最強の存在じゃないかと正直思ってる。正体知りたすぎる。正直、何者であってもすごく楽しめそうww